その日は舞台の稽古の日で
車で稽古場へ向かっていたところでした


幹線道路がとても混んでいて
一本外側の道を通っていました


幹線道路以外の道は「止まれ」が多いので
ゆっくりしか走れませんけど
それでも大渋滞の道よりは確実に進めます


何回めの「止まれ」だったか忘れましたが
ふと左手を見ると
ある家の出入り口らしき真ん前に
ボロボロになったタオルが置かれていました
…と思ったら動いたので凝視してしまって


目が合いました
老猫でした


まぁお家の出入り口に居たし
飼われているのだろう!と踏ん切りをつけて
その日は稽古場へ


翌日も気になって(やはり渋滞していたので)
同じ道を通ると
居ました
同じ場所に


帰りに雨が降り気になってまた通ってみると
やっぱり同じ場所に居ました
庇がないから濡れっぱなしで


家に帰ってからずーっと悶々として
次の日の朝とりあえず
猫用キャリーバッグを持って出ました


その日は稽古の時間が違ったためか
いつもの場所に居らず
帰りに立ち寄りました


勇気を出して扉をノックしてみました
(インターホンがなかったのです)


2度ノックしても応答がありません
ただガラス戸なので中の明かりは見えます


3度目は大きな声ですみませーんと
すると
その老猫と似た齢の老夫婦が
対応してくれました


その時その老猫は
じっと私の足に寄り添っていました


それを見て意を決して


突然お訪ねしてすみません
数日前からこの前を通って
この老猫を見かけていました
この老猫は飼われているのでしょうか?


と聞いてみました
怒られる覚悟です


すると話好きそうなおばあさんが


いやー飼っているというか
来るから外でエサだけあげていて
下痢だから中には入れてないからー


と話している最中に横からするりと
若い猫が家の中に入っていきました


その若い猫は飼われているようでした


この老猫は他の猫は中に入っていくのに
自分は入れなくて
雨の日も台風の日も暑い日も寒い日も
ずっとここでご飯をもらうために
じっとしていたのかと思うとやるせなくて…


すぐに
この老猫を私にくださいませんか?
と言っていました


先方はとても驚いていましたが
体つきからすると重病にかかっていることは
間違いないということを話して
私が最後までお世話すると伝えたら
快諾してくださいました


そんなわけで
晴れてウチの子になった『おばあちゃん』


名前がずばり『おばあちゃん』です


病名は『重度の膵炎』
あと少し遅れていたら動けなくなっていたと
間に合ってよかった
というより
もっと早くに出会えていれば…
そんな複雑な心境です


舞台本番中1週間は病院で加療入院をしていて
やっとお家に来ました


洗われて疲れちゃったかな?
洗って少しはボロボロのタオルから
脱却したかな


膵炎は完治しませんが下痢は命取りなので
治療を続けて早く治してあげたい





ペットも病気をします
実は食べ物で健康寿命が大きく変わります
少し高くても
年齢や体質に合わせたフードを選ぶ
すると医療費が下がる


どっちにしてもお金はかかるものです
これからペットを飼う人には
こんな状態でも守っていく覚悟が必要と
知って欲しい


ちなみに現実として…
私が保護活動をしていることを知っている
懇意にしている病院の先生の計らいがあっても1週間の膵炎の加療入院と検査で
8万円です


ご参考まで