先週末に、ユナイテッド・シネマにて鑑賞。
去年の10月以来、念願だった映画館行きでしたお願い



西川美和監督の作品は、過去にDenkikanにて『ゆれる』と『ディア・ドクター』を鑑賞済み。登場人物の心理描写が見事で、是非また彼女の作品を観たいと思っていました。

この作品は、佐木隆三著のノンフィクション小説『身分帳』を原案に、人生の大半を、裏社会と刑務所で過ごした男、三上(役所広司さん)の人生の再出発の日々を描いています。

出所した三上は、身元引受人の世話になりながら、アパートに住み、カタギの生活を目指します。
真っ直ぐ過ぎる性格で、時に直情的な行動を起こしてしまう三上。
悪戦苦闘する彼の姿に、やがて親身になってくれる人達も現れて…。

複雑な生い立ちを経て、カタギではない人生を過ごしてきた三上に、当初はなかなか共感が抱きにくいかも…と思っていたのですが、この社会での【生き辛さ】は多少感じる事があり、感情移入してしまう場面もありました。
「格好の取材ネタ」とばかり、三上にすり寄ってきた若手テレビマンの津乃田。彼に接するうちに、本気で三上を取材するようになり、やがて彼の人生を小説に書くことを決意します。

素晴らしい作品ほど、感想を表現することが難しいです。
ひと言では、表せません…。
【感動】を求めて、映画館に行ったつもりではなかったのに、
三上の育った養護施設を訪ねる為に来た福岡の宿の温泉浴場で、三上の背中を、津乃田が洗うシーンで、堪えていた涙腺が決壊😢
それからは、壊れた蛇口のようになり、着用していたマスクがびしょ濡れに💦
(鑑賞された方でしたら、この辺りのシーン分かって頂けるかと…)

決して、【お涙ちょうだい】的な感動ものではなくて、【厳しさの中にある、温かさ】を感じる作品だと思いました。


普段は、ヤクザものはあまり観ないのですが(それでも『ゴッドファーザー』や『ソプラノズ』などは好きですね)、【濃密な人間ドラマ】という点では、とても興味深いジャンルだと思います。

主人公の三上が、九州の暴力団の親分の所に身を寄せるシーン。
暴力団の厳しい実情を描いていました。

その背景を知るのに、大いに参考になるドキュメンタリーです↓



2016年にDenkikanにて鑑賞。
「本物の…」ということで、ドキドキしながらの鑑賞滝汗
グラサン曰く「昔は、背中に【モンちゃん】入れたオッチャンを銭湯でも普通に見かけていたぞ」と。
ひと言でいうと、【今は、その世界で生きていくのは非常に大変…】という感想でした。

余談ですが、実父が20年くらい前に、小学校の同窓会に行き、当然ですが懐かしい同級生たちと再会を果たしました。
その中に、【今は大阪で、その筋の人】になった人がいたそう。
子供の頃、よく遊んでいた幼なじみだったらしく、父は非常に再会を喜んでいました。
それからはお互いに、御中元や年賀状を出しあうようになりました(もちろん純粋に友達として)。
ところが、しばらくして、その人から「ご迷惑をかけるといけないので、お付き合いはこれでおしまいにしましょう」という手紙が届きました。
それを読んだ父は、とても残念そうでした。
後年、このドキュメンタリーを観て、その事を思い出しました。


ちなみに、この映画『すばらしき世界』の英語タイトルは『Under the open sky』と付けられています。

お読み下さいまして、ありがとうございました🍀