先日、年賀状作りのために両親が我が家にやってきた。

 

と言っても、両親は絵柄を選ぶだけで作るのは私。

 

はがきサイズのワード画面に絵柄を配置し、実家の住所と両親の名前を入れるだけの簡単なものなのだけれど、作業する私の後ろに立つ両親は「それにしても、すごい時代になったねぇ」と繰り返す。

 

 

「昔は百何十枚も、全部手で書いていたんだからなぁ・・・。今はすごい時代だよなぁ」

 

「そうだよ、裏も表も全部筆でねぇ。すごい時代だよ」

 

「昔はこの時期になると、子どもたちはイモを掘ってハンコにしたりしたよなぁ。あの頃は楽しかったなぁ」

 

「そうそう。いい時代だったよね。なかなかインクが乾かないから部屋中にはがきを並べたりしてね」

 

「あー、そりゃあ楽しかったわ」

 

 

そんな二人の話を聞きながら、小学生の頃のことを懐かしく思い出していると、唐突に母から質問が飛んできた。

 

「ねえ。今じゃ、学校でもイモでハンコ作ったりしないでしょ?」

 

 

せっかく懐かしい思い出に浸っていたのに急に現実に引き戻された私は、ちょっと皮肉っぽく返した。

 

「さすがに、パソコンはやっても、イモのハンコはやらないんじゃない?」

 


「そうだよね。パソコンの時代だもんね」という母の声は、ちょっと残念そうだった。

 

 

 

年賀状を作り終えても、私の頭の中では、小学生の頃の年末年始の懐かしい思い出が次から次へとよみがえり続けた。

 

 

指に竹のとげが刺さらないように恐る恐る竹ひごを曲げた凧作りや、洋服を粉だらけにしながら作ったいびつな形の鏡餅

 

障子貼りでは、私はいつもはがすのを任された。

障子紙をすべてはがし終えると、骨だけになった桟を炊事手袋をはめた母が冷たい水で洗う。

それから、乾かされた桟は畳の上に寝かされ、骨の一本一本に刷毛でのりが塗られると、桟の上部に合わせるように筒状になった新しい障子紙が置かれる。

障子紙がずれないように兄が紙の角を押さえると、「いいよ!」という掛け声に合わせて、母が筒状になった障子紙をサーッと手前に転がせる。

それを繰り返すと、真っ白でピンと張った障子のできあがり。

 

太陽の光をきれいに通過させる真っ白な障子は、部屋の中をかしこまった空気に変えて、私の背筋までピンと伸ばされるような気分になった。

 

 

 

 

 

 

「すごい時代」「楽しい時代」

 

「すごい時代」「いい時代」

 

 

 

あと40年もすれば、「今」が「すごい時代」から「楽しい時代」「いい時代」に移り変わるのだろうか。

 

 

 

「あの頃は、楽しかったね。良かったね」・・・って。

 

 

 

 

 

 

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