【「生きている」≠「いのちがある」】ということを「なるほどなぁ」と穏やかに納得させてくれた人がいる。

 

私たちは日常生活の中で、「あの目は死んでいる」「あの心は腐っている」と、命あるものに対して「死」を示す言葉を使う一方で、こんなことを言う。

 

「秋風が囁いている」

 

「川のせせらぎが唄っている」

 

命ないものに「生」を示す言葉を使う。

 

 

 

いっけん、情緒的なふわっとした話のように感じるのだけれど、このことを私の教えてくれたのは解剖学者の三木成夫先生だ。(「いのちの波」(平凡社刊)に書かれいていることを参考にしています)



解剖学者といえば私の中では、科学的であって、情緒とか哲学とはかけ離れたものだと思っていただけに、上のような内容が解剖学者の先生のご著書に書かれていたのはなかなか衝撃的なことだった。(三木先生は、養老孟子さんの師でもあるようです)

 

科学的な知識もないうえに情緒的な感性を持っていない私のような人間にとっては、命あるものに「死」を示したり、命ないものに「生」を示す言葉を理解をすることも、感じ取ることも簡単ではなくて、心の内を正直に暴露すると「わかるようで、わからない。・・・けど、なんとなくならわかる」

 

 

しかしこのような感覚を、日常生活の中でものの見事に手にされている方もいる。

 

昨日開催させていただいた信州こどもホスピスプロジェクト「ゆうきの会」主催【イノチのあり方】の講座の参加者のおひとりがこんなことを語ってくれた。

 

 

 

―――園児と一緒に山にお散歩に行ったとき。

 

あまりのも自然がきれいだったので、思わず一枚の葉っぱを手にしました。

手の上の葉っぱは、あまりにも美しくて・・・

 

色のグラデーション、葉脈の流れ、絶妙なかたち、葉っぱ裏に生えている産毛・・・。

 

これは絶対に人には作れないと思いました。

 

すべてが完璧であるその姿に、神様がなにかしら仕掛けてくれたことを感じたんです。

 

そしたら・・・

 

(ご自身の胸の辺りに手を当てながら・・・)「私の身体も、この葉っぱと同じように完璧に作られているんだ。神様が作ってくれたのだから、大丈夫なんだ」と思えたんです。

 


私にはとても表現することができない「いのちの流れ」・・・つまり、何十億年も前から私たちの命は繋がり続け、終わることのない旅を続けていることを実体験として捉えていることにとても感動した。

 

移動手段も持たず、目や耳や鼻を持たない植物たちが、太陽の光や風の声、土の様子を正確にキャッチして、途切れることなく生き続けている姿に「命の営み」は個体で行われているのではなく、連続していることを感じる。

 

 

これを人で言うならば、「命が与えられ、生きている」という事実が、人に授けられたなによりも大きな役割ということなのだと思う。


しかし私たちは(私だけかもしれないけれど)、どんな実績を残したのか、なにを成し遂げたのか、どんな功績があるのか・・・と言うことでその人の価値を計ってしまうこともある。

 

けれど、この間違いが拡大されてしまったら、実績や功績が「その人の価値」だという勘違いにとどまらず、「命の価値」「命の優劣」だと思い込む過ちにまで至ってしまう。

 

 

2016年、相模原の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入居者に対する殺傷事件が起きた。

 

(なぜ事件を起こしたのかの理由は、なんだか胸が痛くて書けません・・・検索してください)

 

事件のあと、被害者の名前は公表しないことになったのだが、その理由を被害者家族はこう述べられた。

 

「日本では、すべての命はその存在だけで価値があるという考え方が当たり前ではなく、優生思想がつよいため」だと・・・。

 

 

大自然が与えたいのちに優劣などあるはずがないことを、深く心に刻みたい。

 

(今回写真を撮り忘れてしまったので、先月の講座の時の写真を使いまわし・・・ヘヘッ)

 

 

 

 

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