つい最近、母が手術を行うため入院をした。
とはいっても未病の処置で、「どちらでもいいけれど、手術をしておきましょうね」という程度。(すでに退院しています)
そんな簡単な手術でも、渡された書類は山ほどあって、そのうち何枚かは本人の署名と連帯保証人の署名が必要だった。
母は書類に書かれている文章にサッと目を通すと、【本人の署名】欄に名前を書き、「保証人のところに名前を書いてね」と言って、横に流すように書類を私に渡した。
「はいよ」と言って【連帯保証人の署名】欄に名前を書くと、その横にあったのが【続柄】を書く欄。
私はそこの空欄に【娘】と書き終えてから、「あっ!」と気づいた。
「続柄って、本当は『長女』って書くんだよね。間違えちゃった」と言うと、母からは、「娘だから、それでいいんじゃない?」とお気軽な返事が返ってきた。
そんな些細なやり取りなのだけど、私はきっと、無意識に「長女」と書くのを避けたように感じるのだ。
なぜなら私には、【続柄】にちょっとしたアレルギーがある(のかもしれない)。
と言うのも、子どもの人数を明記する必要がある書類だと、私の場合はこうなる。
〇〇〇【長女】
○○〇【次男】
「長男を抜かして、次男」というのが、意外なほど心をざわつかせる。
かつてはこのザワザワを避けるため、渓太郎は他界しているのにも関わらずこう書いた。
渓太郎【長男】
〇〇〇【長女】
○○〇【次男】
しかし、これならまだいい方で、以前、健康診断かなにかの書類を書いていた時は、「どう書こうか・・・」と迷い、一旦ペンを置いてしまったほどだった。
なぜならその書類は、健康診断ならではで、出産回数を書く欄があったのだ。
私の場合、「出産回数」と「子どもの数」が合わなくなる。
だからと言ってなにか問題があるわけではないのだけれど、渓太郎を子どもの数に入れられないことへの抵抗感が胸の中を漂った。
しかし、今回の母の書類に私の子ども達は無関係。
それでも無意識に【娘】と書いてしまったところを見れば、「逆縁の傷跡」は意外と深く私の心に潜んでいるのかもしれない。
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