渓太郎に余命宣告がされてからの私は、医師に意味不明な質問を投げかけたり、言動をしてしまうことが多かった。

 

なぜなら、その時の私の心は現実社会からかけ離れたところに存在していて、四六時中「死」や「死後の世界」のことばかりグルグルと想いをめぐらせていたのだから、当然、不安や心配も「死」や「死後」のことだった。

 

 

渓太郎は本当にいなくなるのか・・・

 

天国とはどういうところなのか・・・

 

天国では幸せに暮らせるのか・・・

 

死んだら、渓太郎の身体は健康になるのか・・・

 

そして。

 

死んでも渓太郎は成長できるのか・・・。

 

赤ちゃんで小児がんを発症してしまった渓太郎は、1歳を過ぎても普通食を食べたこともなければ、歩いたこともなかった。

 

だから、おいしいものを食べさせてあげたい、自由に歩き回らせてあげたいという思いが深かった私にとって、死後の世界でちゃんと成長してくれるかどうかは大問題だったのだ。

 

 

 

そして、ある日。

 

そんなことばかりを考えていた私は、往診に来た主治医に、無意識に思わず質問を投げかけてしまった。

 

 

「ねえ、先生。人は死んだらどうなるの?」

 

 

自分の発した言葉に、(とんでもないことを訊いてしまった・・・)とハッとした。

 

だけど、ずっと抱え続けた疑問だったのだから、いまさら弁解の言葉も思い浮かばない。

 

 

(あー・・・。霊媒師でもない医師に、私はなにを訊いているんだろう・・・)

 

 

 

―――しかし、次の瞬間。

 

 

後悔の波にのまれそうになっている私に、医師は涙を浮かべながらこう詫びてきたのだ。

 

 

「お母さん、ごめん・・・。私、医者なのにからない・・・」

 

 

(医者なのに・・・)

 

 

医師ではわかるはずもないトンチンカンな問いを投げかけた私に「医者だからわからない」ではなく「医者なのにわからない」と答えたのだ。

 

 

 

するとそれを聞いた途端、私の中に積もっていた孤独感が一瞬にして消え去り、ヘンな質問をした自分がちょっとおかしく思えてきた。

 

 

「ハハッ。先生にわかるわけないよね」

 

 

私の顏に、ちょっとだけ笑顔が戻った。

 

 

 

―――いつ聞いたのか、誰に聞いたのかも忘れてしまったのだけれど(もしかしたら主治医本人から聴かせてもらったのかもしれない)、かつて主治医は、患者家族からこんなことを言われたことがあるらしい。

 

「先生には、病気を診るのではなく、その人を診る医師になってほしい」と。
 

 

そして渓太郎の主治医はその願い通り、渓太郎の病気だけを診るのではなく、渓太郎そのものを診てくれる医師となった。

 

けれど、それだけでは終わらなかった。

 

医師は、患者家族までも診てくれていたのだ。

 

 

 

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2回目 「いのちと命」 ~さまざまなカタチの死について~ 【8月26日(土)】(残席2)

3回目 「いのちと命」 ~いのちの中で「生きること」~ 【9月16日(土)】(残席3)

 

4回目 「いのちの中で生きる」 ~幸せの意味~ 【10月28日(土)】(残席3)

5回目 「いのちの中で生きる」 ~存在=愛~ 【11月25日(土)】(残席3)

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