【今後開催される講演会・おはなし会の情報】
2月17日(日) 「足元に光を照らすおはなし会@松本
5月19日(日) 講演会@東京
6月9日(日) 「いのちと心のおはなし会」@半田市【予定】
6月10日(月) 長野保健医療大学
6月22日(土) 講演会@長野
6月中 「足元に光を照らすおはなし会」@金沢
11月9日(土) 株式会社ワイズクルー30周年記念講演
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こんにちは。本当の愛と幸せを届ける講演家 中村美幸です。
ご訪問下さり、ありがとうございます。
このブログでは、小児がんを患った長男(渓太郎)との闘病、別れを通して知った「幸せ」や「愛」、「命」「生きること」について綴らせていただいています。
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「若い者にはいっぱい可能性があるんだから、今のうちに、いろいろ挑戦しておけよ」
春になったら大学生になる息子に、そんなエールを送った実家の父。
遠い目をするおじいちゃんに、(どう反応したらいいんだろう…)という困った表情を浮かべた息子は、「そうだね」と言って照れたように笑った。
戦中に生まれ、3歳で父親(私にとっては祖父)を亡くした父は、幼いころにはひどく貧しい暮らしを強いられたと聞いたことがある。
まだ10歳にも満たないころ、家族のために一人で井戸を掘ったとか・・・
運動会に使う鉢巻きを買えず、学校をさぼって山に隠れていたとか・・・
小学校でのお弁当の時間。
目の前で、アンパンを食べている先生の姿に憧れ、「いつか自分もアンパンが食べられるようになるんだ!」と心に誓いながら、おかずの入っていない日の丸弁当を食べていたとか・・・。(そのためか、父は今でもアンパンが大好物だ)
そんなことを思い出していると、私の頭の中に、甘いアンパンを思い描きながら井戸を掘る、「ノブ少年」(幼少の頃の父)の姿が浮かび上がった。
(「鉢巻き、買って!」とも言えず・・・どれだけ悔しかっただろう・・・)
(甘い、甘いアンパン・・・食べたかっただろうな・・・)
(きっと・・・やりたいこともいっぱいあったはずだ・・・)
そして、頭の中にいるノブ少年に視線を向けたまま、それから数十年が経ち、おじいちゃんになった父に聞いてみた。
「お父さん。なにかやりたかったことあるの?」
すると、「そりゃあ、あるよ!」と、急に目を輝かせたかと思うと父は、声を弾ませながら話し始めた。
「例えばな。あの海に潜るやつ・・・なんて言ったっけな。そうスキューバーだ!」
「海に潜るやつね!!いいねえ!」
「あとは、空も飛んでみたかったなぁ。スカイダイビングっていうやつな」
「空ね!どっちもスリルあるよね!」
「そうだなぁ。俺もなぁ・・・」と言うと父は、また遠くを見つめるような表情を浮かべながら続けた。
「タロ(息子)くらい若ければ、挑戦するけどな・・・。いくらなんでも、もう無理だ」
さすがに「やってみたら?」と言えるわけもなく、私は「そうだよね」と言ったまま、仕方なくついたままになっていたテレビに視線を移した。
しばらくボーっとしていると、ふわりと頭に浮かんできたのは、数か月前に交わした父との会話。
「まさか自分が80まで生きるとはなぁ・・・」
「・・・え・・・なんで?」
「俺の親父は38で死んでいるし、兄たちだって40代、50代で死んでいるからな。俺はいくら長く生きても、70までだと思っていたよ」
「そうか・・・」
「でもなあ・・・美幸。人生なんて、あっという間だ・・・」
(人生なんて、あっという間・・・かあ・・・)
寂しいような、悲しいような・・・あきらめのような・・・何とも言えない父の表情に、切ない気持ちがこみ上げた。
(幼いころから苦労続きで・・・お父さんにとっては、辛い人生だったのかな・・・)
そんなことを思っていると、ただ視線を向けていただけのテレビから、次のニュースが流れてきた。
『小学4年生の女の子の虐待死』
冷たいシャワーを浴びせられたり、十分な食事もあたえられず、何時間も立たされ続けた・・・と・・・。
(・・・・・・この子にとっての一分一秒は、どれほど長かっただろう・・・)
(・・・・・・朝が来ることを、どれほど恐れていたのだろう・・・)
テレビに映るかわいい笑顔に、ギュっと抱きしめたい衝動に駆られていると、再び父の言葉が浮かび上がった。
「でもなあ・・・美幸。人生なんて、あっという間だ・・・」
貧乏を強いられたとしても、やりたいことができない人生だったとしても・・・お父さんの人生は辛かったわけじゃないね・・・。
―――渓太郎の最期の瞬間が目に浮かぶ。
苦しい治療から解放され、ほっとした表情を浮かべた渓太郎・・・。
冷たいシャワーや体の痛み・・・
必死に求めても、どうしても愛をもらえなかったむなしさと絶望・・・
そのすべてからの解放された今、女の子はほっとしているのだろうか・・・。
それが、この世で叶わなかったことに胸が痛い・・・。
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