ムスメが一人暮らしを初めてから、昨日で1週間。

 

 

「お姉ちゃんがいなくてさみしいね・・・。ゴールデンウィークには帰ってくるからね。」

 

「お姉ちゃんはね。大学生になって、一人暮らしを始めたんだよ。」

 

 

「お姉ちゃん」という言葉だけが理解できるキラは、そんな説明をすればするほど「キューン、キューン」と、さみしそうに鳴く。

 

 

二日間、なにも食べずにムスメの帰りを待ち続るキラに(このままだと死んでしまう・・・)と思った私は、ムリヤリおやつを食べさせた。

 

いつもだったらおやつを見ただけで大喜びをするはずなのに、今は口元まで運んでようやく一口・・・また一口と、なんとか食べる。

 

しかしおやつは食べるものの、「キラちゃん。お母さんと遊ぼうよ。」と声をかけても一瞬目を開くだけで、ムスメがいつも座っていた場所から離れない・・・。

 

 

そんなキラの姿が、渓太郎の遺骨から離れられなかった自分の姿と重なった。

 

 

 

ご飯を食べることよりも、外にお散歩に行くことよりも・・・大切な人にそばにいてい欲しい。

 

・・・誰もその人の代わりになることなどできない。

 

 

 

ゴールデンウィーク・・・

 

帰省したムスメに、キラは一目散に駆け寄るだろう。

 

そして、これ以上ないくらい大喜びをするに違いない。

 

 

 

人は、ただ存在するだけでいい。

 

それだけで、どれだけ多くの幸せを与えているのだろう・・・。