「渓太郎くんもようやく、この学生たちと同じ年になったね・・・。」
学生に向けて私がスピーチをはじめようとした直前、
教授が静かにつぶやいた。
長野大学の一年生にスピーチをさせていただくようになって、今日で5年目。
その間、渓太郎はひとつづつ年を重ねていき、
講義を受ける学生たちと同じ年になった。
目の前に並ぶ学生の姿を一人ひとり、目でたどりながら
(いつの間にこんなに大きくなったのだろう・・・。) と、
渓太郎の姿を重ねてみた。
すると・・・
私の口から自然とこぼれた言葉は
「すごい・・・。」
・・・奇跡だと思った。
人が誕生し、無事成長を重ねて大学生になれるなんて。
そんな心が震えるような思いで始まった私のスピーチを学生たちは
まるで同級生の母親が語っているかのような身近な者の言葉として
受けとってくれたのかもしれない。
~*~*~*~*~* 学生たちの感想 ~*~*~*~*~*
『母や父の大きな愛が私には注がれていることに気づくことができた。
私はその愛を忘れてしまっていた。
常に美しいものを追い求めているくせに、
すぐ近くにある美しいものには気付けていなかった。
今までたくさんの経験を積んできて、
自分が見えている視野や視界は既に豊かであると勘違いしていたが、
視野や視界は広がり続ける宇宙のようであり、
私自身の視野や視界は広げる余地がある。
世界中の子どもたちの夢や願いを叶える手助けがしたい。
また教員を目指す者として、
勉強することの幸せを伝えられる先生になりたいと思った。
どんな子どもにも愛を与え続けていきたい。』(女子学生)
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『「当たり前の幸せ」
「大切な人の存在の大きさ」を改めて感じました。
今、生きていることがどんなに素晴らしいことか、
忘れかけていました。
大学に入学して、一人暮らしを始めたとき、
まずはじめに感じたのが「家族の大切さ」でした。
「おはよう。」
「おやすみ。」
すべて大事なことだったんだ・・・と、泣きながら感じました。
身近すぎて鈍感になってしまったことに、
もう一度ゆっくり寄り添ってみようと思います。
自分の痛みも、他人の痛みもわかる人間になりたい。』(女子学生)
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『お話の中に出てきたテレビアニメを見れたことに感謝する子どもの姿が
とても印象的だった。
私はどれほど物事に感謝しようとしても、
人への感謝や学べる感謝くらいしか思いつかなかった。
しかし
テレビを見れること
散歩ができることなど
ほんの些細なことでも幸せだと感じた。
しあわせは作ったり、 探したりするものだと思っていたが、
本当の幸せは常に身近にあるのだ。』(男子学生)
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