ピンクリボン月間11 乳癌治療の進歩 ホルモン受容体、HER2以外の因子の発見・治療開発へ | HER2タイプ乳癌ステージ3C 経過観察中シングルマザー

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HER2タイプ乳癌のこと、治療のことなどを書き残しておこうと思います。温かい目で見守っていただければ、幸いです。アメンバー申請、コメント、メッセージ、リブログについては、「はじめに(私のスタンス)」テーマ内の記事をご一読下さい。

ご訪問ありがとうございます。

私は、4~5年前になりますが、

乳癌の中でも少数派の、タチの悪い
HER2タイプ
  (ホルモン陰性~私は非反応~、HER2陽性)
初診で局所進行のステージ3C
の乳癌を、

標準治療の集学的治療
  (術前抗がん剤 アンスラ→タキサン+ハーセプチン
   →手術  全摘+レベル2までの腋窩リンパ節郭清
   →放射線照射 胸骨傍を含む胸壁+鎖骨上
   →術後ハーセプチン術前と合わせて1年)
で治療し、

私の乳癌に対してできる、
当時の最大限、最良と考えられていた治療
 (その後も医学、医療、治療は進歩しています)
恩恵にあずかったと感謝している
一乳癌罹患者として、
ピンクリボン月間にちなんで、
ブログを書いています。


先のいくつかの記事で、乳癌治療の歴史

ハルステッド理論→フィッシャー理論

       ↑こちらの記事もよろしければご覧ください。
               (リンク貼っておきました)

   手術でどんなに広く乳房領域を
   切り取っても、再発転移率をそれほど
   減らせなかったことから、

   乳管(に出来るのが90%、他に小葉など)
   から浸潤して、比較的早い、小さなうち
   から、リンパ管や静脈に流れ(微小転移)
   それが遠隔臓器で成長して遠隔転移
   となる乳癌があることが分かってきて

   手術は縮小し、微小転移撲滅目的の
   放射線や全身療法である薬物療法を
   組み合わせた集学的治療が行われる
   現在の治療に変わってきたこと


ホルモン受容体とHER2タンパクの
    発現有無で分類した
    サブタイプ別の治療へ

       ↑こちらの記事もよろしければご覧ください。
               (リンク貼っておきました)

    転移しやすいタチの悪い乳癌かどうかは
    癌の顔つき(グレードで表す)で予測でき
    顔つきの悪い乳癌は
    ホルモン陰性、HER2陽性の
    可能性が高い。

    以前は、
    癌がどれだけ大きく成長しているか(T)、
    リンパ節にどれだけ転移しているか(N)
    遠隔臓器に転移しているか(M)
    といった、癌の進行度合い
    すなわち、ステージだけで
    必要な治療、特に抗がん剤治療の要否
    を判断していたようですが、

    タチの悪さ、すなわち、転移するリスク
    (転移する可能性)の高さを判断する指標
     として、
     また、治療が効く可能性を判断する
     指標として、

    ホルモン受容体HER2タンパク
    発現有無という、
    乳癌の生物学的特性を診て、

    組み合わせで大きく4つのグループに
    分けられますよね、
    (それをサブタイプと呼んで)、

    そのサブタイプとステージによって

    どこまで治療をしなければならないかや
    微小転移撲滅のために、どの薬物療法を
    するか、を判断する
    現在の治療に変わったこと

HER2陽性の治療の進歩

  当然、タチの悪い因子である
  HER2をターゲットにした治療の
  研究・開発は進んできており、

今のところ
・1stライン ハーセプチン+パージェタ
・2ndライン  カドサイラ
        (ハーセプチンに殺細胞性抗がん剤を
         くっつけた抗体薬物複合体ADC)
・3rdラインや脳転移のある場合
   ラパチニブ+殺細胞性抗がん剤ゼローダ
       (低分子チロシンキナーゼ阻害薬。小さいから
          関門をくぐって脳まで届くと言われています。
          またHER2だけじゃなくHER1も阻害。)

  ~3rdライン以降は、
     ハーセプチン+パージェタ
     +殺細胞性抗がん剤 の、
     殺細胞性抗がん剤を変えていく治療を
     されている方々も多くお見受けします。
     3rdラインの治療選択と効果が臨床研究
     (統計解析)されているようです。


開発中なのが
・抗体薬物複合体(ADC)のDS-8201など
    ※最近、薬事申請された

・作用の仕方が違う(CD16Aに作用)
     抗HER2キメラ抗体margetuximab

・HER2だけじゃなく、HER1,4も阻害する
    チロシンキナーゼ阻害薬 ネラチニブ 経口

・副作用が軽いんじゃないかといわれている
    チロシンキナーゼ阻害薬tucatinib 経口
    ※サンアントニオ2019で2相試験の結果が
       発表されるらしい

など

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▼新ターゲットの発見と治療開発

抗HER2薬の開発と並行して、

今までは、ホルモン受容体とHER2タンパク
の2つの因子しか、治療のターゲットがなく

タチの悪いと言われていたホルモン陰性
(HER2陰性) いわゆるトリネガですが、

他の因子と、それをターゲットにした
治療開発が急速に進んできています。


●遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HOBC)
   BRCA1,2の遺伝子異常 に対する
   リムパーザ(オラパリブ)

  ※トリネガだけじゃなく、
    ホルモン陽性も対象。

●PD-L1に対する抗体薬物複合体
   いわゆる、免疫チェックポイント阻害剤

テセントリク(アテゾリズマブ)が
   つい先日、PD-L1陽性の手術不能トリネガ
   乳癌に適応が拡大されました。

   ※乳癌プラザ(江戸川病院)の田澤先生情報
     によると、陽性率はトリネガの40%
     らしいです。

   術後補助療法(アジュバンド)も
   第3相試験中で2021年申請予定とのこと。

   HER2陽性の術前療法でも、抗HER2薬
   との併用の臨床試験が開始されています。

・PD-1抗体のキイトルーダも第3相試験中
   なお、キイトルーダは昨年末に癌腫横断で
   MSI-Highのラストライン(標準治療のない
   患者)として認可されています。

   HER2陽性にもDS-8201との併用の
   臨床試験が開始されています。


●PI3K/AKT阻害薬

ipatasertib、capivasertib
    来年申請予定のようです。

・トリネガだけじゃなく、
    ホルモン陽性/HER2陰性で
    フェソロデックス(フルベストラント)併用
    でよい結果が出ている模様。


割合的にはタチの悪い乳癌が少ない、
予後が良いと言われている
ホルモン陽性、HER2陰性乳癌でも、
再発転移する乳癌はあり、
分子標的薬が開発され、最近認可されて
使われ始めています。


●ホルモン陽性乳癌へのCDK4,6阻害剤

・イブランス(パルボシクリブ)
・ベージニオ(アベマシクリブ)
リボシクリブ  日本では未承認


というように、
新しいターゲット因子と、
治療が次々に開発されてきており、

共存していけば、その先に寛解もあるかも
しれないし、癌で死なない、
そういう時代が近づいてきている、

と、

さらなる医学、治療、医療の進歩に
期待しています。

私は一乳癌罹患者でしかないので、
他癌腫のことはよく分かりませんが、
同じように、ターゲット治療の開発が
進んできていて、

遺伝子検査の解析によって、
さらに、治療の開発が進み、
治療の恩恵にあずかる癌患者が増えることを
願い、祈っています。


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