先の記事で、
免疫チェックポイント阻害剤
アテゾリズマブ(テセントリク)の
国際第3相臨床試験Impassion130
の中間解析結果
(ASCO 米国臨床腫瘍学会学術総会)
や、
待ちに待った、日本での薬事承認
適応拡大』
の記事を、
少々遅れましたが、発信させて
いただきました。
では、キイトルーダの乳癌の臨床試験は
どうなっているんだろう?
と、ずっと気になっていたのですが
つい先日のESMO欧州臨床腫瘍学会で
(これはホットな話題かな)
KEYNOTE-522(術前のpCR率)の
良好な中間解析結果が発表された
ようですね。
それを次の記事でご紹介する前に、
キイトルーダ単剤での国際第3相臨床試験
の結果が5/29に発表されていましたね。
そちらを先に書いておきます。
MAY 20, 2019
Merck Provides Update on Phase 3
KEYNOTE-119 Study of KEYTRUDA®
(pembrolizumab) Monotherapy
in Previously-Treated Patients
with Metastatic Triple-Negative Breast Cancer
■試験概要
・転移性トリネガ乳癌の
2ndラインまたは3rdラインの試験
※すなわち、前治療でアンスラサイクリン
および/またはタキサン既治療
・対象群 キイトルーダ単独
比較群 治験担当医選択の抗がん剤
ゼローダ(カペシタビン) 27.4%
ハラヴェン(エリブリン) 53.9%
ジェムザール(ゲムシタビン) 4.8%
ナベルビン(ビノレルビン) 13.9%
・622人を1:1で割付け
・第1評価項目:OS
■結果
・残念ながら、主要評価項目のOSで
優位性を示せなかった。
・PD-L1発現
CPS1以上 の割合 約65%
CPS10以上 の割合 約31~32%
CPS20以上 の割合 約17~18%
・CPS1以上で
OS中央値 10.7ヶ月 vs 10.2ヶ月
(HR 0.78 95% 0.57-1.06)
12ヶ月OS率 45.6% vs 44.7%
・全患者
OS中央値 9.9ヶ月 vs 10.8ヶ月
(HR 0.97 95% 0.82-1.15)
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【Myブログの関連過去記事】
★ 2017/8/1 投稿
===(以下、↑より抜粋転記)===
2016年5月2日
ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジ(Journal of Clinical Oncology)
▼KEYNOTE-012試験
・複数の固形がん(胃がん、尿路上皮がん、
頭頸部がん、乳がん)を対象とした、
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)
単独投与の第1b相臨床試験。
・このうち、転移のある進行トリプル
ネガティブ乳がん患者で、
腫瘍細胞にPD-L1発現が認められた65人
(全体の58.6%)のうち、32人を対象に
キイトルーダを投与。
・治療効果の判定可能者 27人
・奏効率(腫瘍が一定以上縮小)18.5%
・腫瘍制御率(腫瘍の進行を抑制)25.9%
期間の中央値は1.9か月。
6か月時点での腫瘍制御率は24.4%
・OS中央値11.2か月
6か月時点のOS率は66.7%、
12カ月時点では43.1%
ーーー
■日本で実施中(参加中)の国際臨床試験
▼KEYNOTE-086
・予定実施期間 2015年5月 ~ 2017年11月
・転移性トリプルネガティブ乳がんに対する
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)
単剤投与の第2相試験
▼MK-3475-119/
KEYNOTE-119
・予定実施期間 2015年10月 ~ 2017年9月
・転移性トリプルネガティブ乳がんに対する
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)と
抗がん剤単剤を比較する第3相試験
▼MK-3475-355/KEYNOTE-355
・予定実施期間 2016年7月~2019年12月
・トリプルネガティブ乳がん初回治療として
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)と
抗がん剤併用の第3相試験
・併用薬剤は、Nab-パクリタキセル
(アブラキサン)又はパクリタキセル
またはゲムシタビン(ジェムザール)
+カルボプラチン(パラプラチン))
【参加資格ポイント】
・再発転移してから化学療法の治療歴なし
・初期治療(I~III期)の治療が完了している
・再発転移までの期間が6ヶ月以上経過
・術前/術後補助療法で全身治療を受けた
場合、アントラサイクリン系薬剤による
前治療歴を有する
・測定可能病変を有する
・PSが0又は1
・無作為化から12週間以上の生存が
・測定可能病変を有する
・PSが0又は1
・無作為化から12週間以上の生存が
見込まれる
===(以上、2017/8/1より抜粋転記)===
キイトルーダ単剤の奏効率はそれほど
高くなくて、
早いタイミングから使うと、または
抗がん剤との併用で
奏効率、pCR率が上がる。
※それは、抗HER2抗体(ハーセプチン)や
同じく免疫チェックポイント阻害剤である
PD-L1抗体のアテゾリズマブ(テセントリク)
と似たような感じですね。
※夢の新薬であったといえる、ハーセプチン
の単剤の臨床試験試験での奏効率も20%
くらいで、決して高くはなかったけれど、
キイトルーダ、テセントリクなどの
免疫チェックポイント阻害剤同様、
すごく効く人には完全奏効もするし
何より腫瘍増大を抑えて現状を維持する
腫瘍制御率が高くて、副作用が小さいから
長く使えて画期的にOSを延ばしている、
臨床試験以上の効果を臨床医が実感して
いる、私自身、自分の癌に使って観察し、
4~5年経過して今があるから、
実感しています。
私の癌は先に画像を掲載しているように、
毎回エコーで主治医が計測してくれて
腫瘤が縮まなかった通り、
ハーセプチン+ドセでは縮小しなかった、
私の癌の腫瘍を縮小させたのはFEC、
昔ながらのアンスラサイクリン系殺細胞性
抗がん剤。
HER2陽性乳癌は増殖が速い、増殖の速い
細胞を無差別攻撃する殺細胞性抗がん剤の
奏効率も高い。
でも、ハーセプチンのない時代には、
すぐにリバウンド、また増大してきて
しまうタチの悪い癌と言われていた、
HER2陽性乳癌に対して、
ハーセプチンは、その最増大を抑え、
じわじわ癌を兵糧攻めにしてくれる、
副作用も少ないから長く使える、
だからOSを画期的に延ばした、
夢の新薬と言える薬剤。
免疫チェックポイント阻害剤は
ハーセプチンと似たように
効くのではないかと、
素人なりに、自分事として、
(そして、多くの、特に若年の方も多い、
同病の皆さんのためにも)
期待を持って、動向をウォッチしています。
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