術後の初診療。
患部に溜まった
廃液を注射器で抜く、
という、
針・注射が超苦手な私にとっては、
ハードルが高い処置の日。
実は、患部(乳房切除跡)には、
感覚がなかったので、
痛くなかったです。
(それでも怖い、私)
処置が終わったら、ホッとして、
帰ろうとしてしまいました。
T先生:
座って。
まだ、術後の病理検査結果を
お話していない。
私:
そうでした。
すごく大切で気になっていたことなのに、
注射針の恐怖、緊張で、
すっかり頭から飛んでいました。
■術後病理検査結果
▼原発腫瘍遺残
・化学療法効果判定:Grade 1b
(やや有効、中等度の効果)
・浸潤径:1.2cm
・乳管内進展:2.1cm
・脈管侵襲:高度 Ly(リンパ管)2、v(静脈)1
・HER2:2+
(Fish法で陽性判定 シグナル比:2.3)
・ホルモン:非反応 ERゼロ、PgRゼロ
・悪性度: 高 (核異型度3、核分裂像2)
▼腋窩リンパ節転移 なし
・ 転移数0/郭清数4
私:
皮膚浸潤はなかったですか?
T先生:
なかった。
私:
郭清したリンパ節の個数が
異常に少なくないですか?
通常、15~20個って書いてありましたが。
T先生:
個人差があるから。
しっかり取ってますよ。
(この時点では、それ以上聞けず)
私:
壊死はしてなくて、癌が残った、
脈管侵襲も高度ということは、
リンパや血管に癌は垂れ流しだった
ということで、遠隔転移の可能性が
とっても高いですよね。
術後に、FECを2回追加
できませんか?
T先生:
できません。(キッパリ)
術前化学療法で
pCRしなかった場合に、術後に抗がん剤
を追加して効果があった、という
エビデンスはない。
私:
エビデンスがないことは構わないです。
FECは、6回まで標準治療の範囲内
ですよね。
術前に言えばよかったですかね。
壊死していることに期待などせず。
T先生:
量を増やせばいいんじゃないかってのは、
医者だって、まず考えることで、
昔、大量の抗がん剤が投与された
時代もあったけど、
生存率が改善しなかった。
だから、今は、やらない。
臨床試験結果に基づいたエビデンス
で、 標準量が決まっている。
私:
そもそも、臨床試験の母集団って、
ステージや種類(サブタイプ)
が混在しているので、
※ステージ3までの術後補助療法の
集団は一括り
その結果だけでは、
参考にはなっても、
それ以外はダメです、というほどの
納得性はないですよね。
人間の臨床試験では、救命措置
(クロスオーバー、他の治療)もする、
現代医学が癌を克服できていない以上
長期で見た時の生存率が変わらないのは
当たり前のような気がするんですが。
T先生:
臨床試験結果のメタアナリシスで
標準治療が決まっている。
私:
自分のステージやタイプと関係ないもの
を含む結果を、メタアナリシスされたら、
さらに、自分に当てはまるか懐疑的
ですよね。
私:
FECの間、腫瘤は縮小し続け、
ドセ+ハーセプチンで縮小しなくなった
のだから、結果論ではありますが
FECを6回やっていれば
pCRが得られたんじゃなか、
と。
投与量が足りなかった
んじゃないかって思うんですが。
HER2タイプに
アンスラサイクリンが
よく効くという説もありますよね?
T先生:
投与量が足りなかった可能性も
否定はしませんが、
僕は、
抗がん剤が効かないか、
耐性を持った細胞が
生き残った可能性の方が
高いと思う。
最近では、pCRしたら予後がよい、
という説と異なる説も出ているし、
pCRしても、転移する人もいる。
癌細胞が1つでも残って、それが
成長したら、転移するわけだから。
がん幹細胞説もあるでしょ?
私:
? 何ですか?
T先生:
女王蜂と働き蜂のような。
活発に転移してくのが、働き蜂みたいな
細胞で、働き蜂は抗がん剤でやっつけ
られても、女王蜂は動かないから、
抗がん剤にやられないで残る。
根治術で取り除いたわけだから。
私:
女王蜂から複製されて女王蜂になる細胞
もありますよね?
T先生:
そりゃ、あるでしょうね。
私:
複製された女王蜂が、体内を巡っている
可能性もありますよね?
T先生:
あるかもしれないですね。
HER2タイプには分子標的薬
があるから。
残り14回、ハーセプチン
をやって、再発・転移率を下げる。
私:
そのハーセプチン+ドセの効果が
(腫瘍縮小という点では)
出なかったんですが。
ドセは 脱毛以外の副作用も出なかった
ので、ドセが効かなかった可能性も
大きいような気もしますが。
どうしても、
FEC2回追加する
ことはできないですか?
T先生:
気持ちは分かるけど、
医師として、根拠のない
治療はできない。
(キッパリ)
私:
患者が、自己責任で、
どうしてもやりたい
って言っても?
T先生:
僕は、医師として、
勧められない。
セカンドオピニオンに
行ってきたら?
他院でやるという意見があれば、
上に上げやすい。
患者がやりたいって言ってるからって
上に上げたら、馬鹿かって言われるだけ。
僕は、医師として勧められないものを
上げられない。
私:
では、
セカンドオピニオンに
行ってきます。
お勧めの病院はありますか?
T先生:
がん研、がんセンター、聖路加、
順天、女子医大、虎ノ門、都立駒込、、、
中村先生の昭和大とか。
私:
がん研有明、がんセンター、聖路加
中村先生のところに行ってきます。
(中村先生のセカンドオピニオンは、
3か月待ちと分かったので断念)
T先生:
放射線治療はどうしますか?
私:
放射線は一回しかできないですよね?
今すると転移後にできなくなりますか?
今、やらない方がいいですか?
T:
一回しかできないけれど、
やるなら、今、やった方がいい。
放射線は、○○さん(私)判断で、
どちらでもいいですよ。
私:
皮膚、腋窩リンパ節レベル3、
胸骨傍リンパ節は手術で取ったわけじゃ
ないので、勿論、やります。
局所再発防止のために。
(やらないという選択を、私がするとは
思っていなかったでしょう>T先生)
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この記事だけお読みになる方が
誤解をするといけないので
念のため補記します。
直後の記事を読み進めていただければ
お分かりになっていただけると思いますが
▼私の手術直前のサンアントニオで
FEC6回がAC4回に優位性を示せず、
アンスラサイクリンの心毒性の怖さを
分かっているから、
FEC6回をする医師はいないはず。
術後のFEC追加は医師の選択として
あり得ないはず。
▼pCRしたら予後がよいかどうかは
やはりサブタイプによって異なり
HER2陽性やトリネガでは
pCRすれば予後がよい、
とのメタ解析結果が
2018年12月のサンアントニオで発表され
ています。
(私はサブタイプ別に臨床試験結果や
論文を見ていたから、
やっぱり、そっちの方が当たっていた)
▼さらに、2019年3月のザンクトガレンで
HER2、トリネガは術前化学療法が
より推奨され、
pCRしなかった場合、
HER2陽性の場合はカドサイラ、
トリネガの場合はゼローダの追加が
(患者集団では)予後を改善する
臨床試験結果に基づき、推奨される流れ
になっています。
(2019/11/2 紫字追記)