前回に続き、ゲルツ ミニコード(Goerz Minicord)の調査結果のまとめです。
今回は製造番号をべースに、仕様変遷、台数などを整理しました。
■総括表
今回確認できた製造番号240台余りを、仕様変遷の対応表にまとめました。
■製造番号と台数
製造番号には、上表のとおり欠番があります。欠番の理由は不明。
#106〜7,469。計7,500台。
8,000番台〜9,000番台は欠番。
#10,014〜10,419。番号未確認なるも、#10,9xxがあり、計1,000台。
現在確認できた距離指標はfeetばかりなので、米国向け専用番号かも知れません。
この仮設を証明するには、追加調査でmeter表示の有無を確認する必要があります。
11,000番台〜14,000番台は欠番。
#15,101〜17,209。計2,5000台。
#18,000番台はMinicord IV試作機(CdSメータ内蔵)。試作機は数台。
従って、製造台数総数は、7,500 + 1,000 + 2,500 = 11,000台と推定。
■カラーバージョン
黒色(Black)は、#106〜5,590。
茶色(Brown)は、1台4,000番台(貼皮交換品?)を除き、#5,601〜17,209。
従って、#5,600あたりから黒色から茶色に切り替わった。
金色(Gold)は、#6,500番台(Minicord III銘)と、
#16,000番台(Minicord銘)にあり。
■シンクロ(Sync)の有無
シンクロ無しは、黒色#106〜4,098。但し、黒色シンクロ改造品もあり。
シンクロ付きは、#4,280〜17,209。初期のみ黒色で、#5,600〜茶色(一部、金色あり)。
従って、#4,100〜4,200番台を境に、全てシンクロ付きになった。
■ロゴ(Logo)
"Minicord"は、#106〜17,209の全範囲にあり。
"Minicord III"は、#5,527〜#15,996。
"Minicord 3"は、#5,500番台のみ。
■レンズ鏡筒の色
初期(#106〜3,164)のみ黒色。#3,310以降は白色。
従って、#3,200番台あたりで、黒鏡筒から白鏡筒に切り替わった。
■meter/feet指標
1951年欧州で発売当初はmeter表示だけが、1953年米国販売を契機にfeetが追加された。
feetは製造番号が#1,000番以降なので、初期の製造台数は年間500台(1,000÷2年)程度と推定されます。
Minicordの製造期間は1951年〜1960年)頃と推定し、年間平均1,100台(11,000台÷10年)。
日本の16mm(Mamiya 16, Minolta 16等)と比べ、非常に少ない製造台数です。
m指標は、0.4, 0.7, 1, 1.5, 2, 4, 8, ∞
feet指標は、2, 3, 4, 5, 6, 8, 12, 25, ∞
となっています。
白鏡筒のレンズ(#3,200〜)にはm指標(0.4〜8m)と、
白鏡筒のfeet指標(2〜25ft)があり。feetは前期と後期で刻印位置が異なる。
(1)前期=feetが鏡筒の前方(写真左)。#3,200〜5,676
(2)後期=feetが鏡筒の後方(写真右)。#5,651〜
従って、#5,650あたりから、(2)に変更された。
■本体とレンズの製造番号
初期の#2,000近くまでは同じ番号ですが、それ以降は番号が少し異なります。
但し、試作品は本体とレンズは同じ番号。レンズ鏡筒に絞り(F2〜F11)があり、CdSメータ指針と連動します。
■前面パネル(Front Panel)の線の太さ
#6,000番台の初期のものだけ、線が細い(左側)。通常は太線(右側)。
■裏面にASA感度表示板(Film Indicator)
#10,000番台と#15,900番台のみに認められる。ASAなので米国向け。純正品か?サードパーティ品か?不明。
と言うことで、Goerz Minicord調査結果のまとめです。
約10年間に亘り製造されたので、結構いろんなバリエーションがありますね。。。
幼子も時は流れて変貌し