Konica Iの調査(1)種類 | 見よう見まねのブログ

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今回は戦後間もなく発売された、Konica Iの調査です。戦後のカメラ史を知る上で、絶好の教材です。

Konica Iと言っても、実際の型名表示は無く、単に「Konica」が上面に刻印されているだけです。

その後発売されたKonica IIからは型名が上面や前面に刻印されているので、容易に見分けがつきます。

調べて見ると、Konica Iは非常に多くのバリエーションがあり、量産過渡期の変遷を如実に示しています。

 

Konica-Minoltaはカメラ事業から撤退し、保守関係を含め2006年4月Sonyに移管。

その後、保守は2010年4月にKenko-Tokinaに移管されました。

HPにあったカメラの歴史もそのまま移管されており、今でも見ることが可能です。

1940〜1950年代に発売された機種一覧
https://www.kenko-tokina.co.jp/konicaminolta/history/konica/1940/list.html
https://www.kenko-tokina.co.jp/konicaminolta/history/konica/1950/list.html

 

上記によると、

■1948年03月、コニカ I (ヘキサー 50mm F3.5)。「コニカ」を冠した最初のカメラ
■1950年04月、コニカ I (ヘキサー 50mm F2.8)。ヘキサー 50mm F2.8を搭載した「コニカ I」のマイナーチェンジモデル
■1951年08月、コニカ I HN (ヘキサノン 50mm F2.8)。レンズを大口径ヘキサノン F2.8に変更する等した「コニカ I 型」の一つ

 

一方、wikiの情報は、Konica Standardという型名や、発売時期など少し異なります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/コニカのカメラ製品一覧#コニカスタンダードからIIIMまで

■コニカスタンダード(1947年発売)
対米輸出および米軍PXでのみ発売された。レンズはヘキサー50mmF3.5。製造国名が「Made in Occupied Japan」になっている。
■コニカI(1948年発売)
一般向けとしてはコニカブランドの初めてのカメラ。コニカスタンダードとほぼ同じカメラである。レンズはヘキサー50mmF3.5。
■1950年にヘキサノン50mmF2.8を搭載したモデルが追加され、距離計二重像が黄色く着色されたものに変更された。

 

いずれにせよ、現物確認が大切ですので、ネットで情報を収集しました。

前回、SamocaflexやAuto Terraは生産台数が少なく(1機種数千台レベル)調べるのが大変でしたが、Konicaの場合は生産台数も格段に多く、現存するものも多数あり。

60年程前のカメラですが、メッキが美しく、新品同様の輝きを維持している個体も多々ありました。流石、一流メーカの製品ですね。

 

Konica Iの調査結果、非常にバリエーションが多いのに驚きました。

初号機なので、量産が安定するまで、いろいろ構成部品や表示が異なるのものが次々に生産されたのが実態でしょうか?

 

■Konica Iの外観変遷

 

  初期のもの(シャッターが黒縁) それ以降のもの(シャターが銀縁)

 

■レンズとシャッターの変遷

レンズの名前は小西六(戦前は六桜社)の6のギリシャ語ヘキサ(Hexa)に因んで、ヘキサー(Hexar)。

その後、ヘキサノン(Hexanon)の改名されました。

wikiのStandard型は、型名表示も無く、外観でも区別できないので、この名を使うのは誤解を招き、不適切ですね。

 

製造番号から判断し、シャッター & レンズの変遷は次の通りです。

□ Konirapid(黒縁)→Konirapid(銀縁)→Konirapid-S

□ Hexar 50/3.5 or 50/2.8 → Hexanon 50/2.8

 

【1】Hexar 50/3.5+Konirapid(黒縁)

 

【2】Hexar 50/3.5+Konirapid

 

【3】Hexar 50/2.8+Konirapid

 

【4】Hexar 50/2.8+Konirapid-S

 

【5】Hexar 50/3.5+Konirapid-S

 

【6】Hexanon 50/2.8+Konirapid-S

【注】Hexanon 50/2.8はKonica II(1951年発売)に搭載されており、Konica Iの後期に先行採用されています。

 

【7】シャッターが修理で交換されたもの

Compur-Rapidに換装  GB-Kershaw 450に換装

これ以外に、本体とレンズの製造番号が不整合なものがあり、同様に修理交換されたものでしょう。

 

■Made in Occupied Japan(以降、MIOJと略す)表示

【1】製造番号が初期のもの

今回調査で、製造番号4xxx〜7,xxxにMIOJの刻印があり。ケースにも、MOIJの刻印。

 

【2】その後、目立たない底面のシボ革にMOIJの刻印。

 

【3】本体に刻印が無く、革ケースにのみMOIJの刻印。

 

【4】後期のものは、底面のシボ革刻印が、「MADE IN JAPAN」に変更。

 

【5】最終期は「MADE IN JAPAN」の刻印が底面の裏蓋開閉ノブに移動。

 

MIOJは戦後の米軍統治化にあった日本の実情を反映していて、興味深いものがあります。

Konica II型(1951年12月発売)以降はMIOJの表示は完全に無くなりました。

1951年9月8日、サンフランシスコ講和会議で日本の主権回復が認められ、これ以降、「Made in occupied Japan」から「Made in Japan」に変更になったのでしょう。

 

■米軍通信部門(UA Army Signal Corps)向け

wikiによると、1860年設立の古い歴史の米軍組織です。

https://en.wikipedia.org/wiki/Signal_Corps_(United_States_Army)

 

上面に、"U.S. ARMY SIGNASL CORPS"の刻印があり。

製造番号は今回調査で、78,3xx〜78,4xx付近のみなので、100台程度の少量生産と推定。

 

 

尚、同時期のCanon IIIA(1951年4月発売)にも、"U.S. ARMY SIGNAL CORP"の刻印が底面にあるものがあり。

 

米軍向けにはその後一眼レフ(SLR)の時代になっても、以下の軍用カメラが納入されています。

Nikon F(KE-48C、KS-80A=モータードライブ付き)

Canon F1、New F1、AE-1、など

Topcon Super D(米海軍に数千台)納入)

 

外国製の軍用カメラとしてはLeicaが有名ですが、他にも多々あります。

軍用Kadorn。裏面に、"SIGNAL CORPS U.S. ARMY"の銘板。上部に朱色で三角印のものもあり。

軍用Bolsey。上部に、"SIGNAL CORPS U.S. ARMY"の銘板。

軍用Kodak Signet 35(KE-7)、軍用Kodak 35

軍用Argus C4

 

次回は調査した製造番号(Body & Lens)を整理し、時系列的な流れや生産台数などを推定して見ます。果たして上手く行くかな?

 

占領の証悲しや隠しても