本日は東洋館。
出番の数時間前、相方とカラオケで新ネタのネタ合わせ。
ネタ合わせ中に相方が言ってくる。
「今日多分めちゃくちゃ客少ないよ」
「え?なんでわかんの?」
「雨降ってるし、ゴールデンウィーク明けだし、今日普段よりチケット割高だし」
という長年の経験から出る直感的な答えだった。
まぁ、客少なくて重いくらいが新ネタを試すにはちょうどいい。
あったかい反応だとスベった時の致死量が計り知れない。
ネタ合わせを終え、劇場に入る事にした。
劇場の扉を少し開け、客の入りを確認する。
15、6人くらいしかいない!!
舞台では、メンバーが夫・妻・娘というガチンコの家族3人で時代劇コントをする『ザ風林火山』師匠が熱演していた。
夫でもあり、座長の『鳴海五郎』さんが、女装姿で舞台から下りて、客席のど真ん中で客をいじりにいじっていた。
すぐ扉を閉めた。
全然違うし似てないのだが、女装の感じや色合いが影響して、怪獣ゴモラが暴れているみたいに見えた。
「今日はなかなか過酷な戦いになりそうだな」
そう感じた。
そういえば今日は5月10日。
去年のブログにも書いた「魔の日」だ。
いつもあったかい東洋館に、一年に一度だけ現れる絶対零度の日。
楽屋に入ると、スベり終えた芸人たちが言ってくる。
「今日は客少ないし、重いよ」
まぁ、新ネタをやるにはちょうどいい。
新ネタというのは、自分に馴染むために一回は客前でスベっておく必要がある。
ブリの臭みを取るため一度湯通しするように、サッと舞台でスベることで「この台詞をもうちょっと短くしよう」とか「キャラをこうしよう」というのが浮き上がってくる。
出番直前まで、相方とネタ合わせをして舞台袖に向かう。
準備をしていると、袖で先輩芸人たちが色めきだっていた。
なんだ?と思い、耳を澄ます。
「おい!客席に川平慈英がいるぞ!」
え?あの?
皆確認するために舞台上のキャットウォークから客席を見る。
「川平慈英だ!」
くぅ〜〜〜!
なんで?今日に限って!
今日は「魔の日」だよ!
舞台に向かい、ネタをする。
「むむむ」といった反応だった。
今日思った事
ダメな推理小説のタイトル:冤罪警部の事件簿、そして誰かしらいなくなった