自由な発想による表現と伝統的で精緻な技法が共存する人形表現で、日展を中心に工芸造形界の第一人者として活躍を続ける作家・奥田小由女。1936年に大阪で生まれ、3才で広島県双三郡吉舎町(現在の三次市吉舎町)に転居、多感な少女時代を中国山地の自然豊かな地で過ごします。高校卒業後に上京し、人形の基礎を学びつつヨーロッパ各地の芸術に触れて感性を磨きました。光風会展、日本現代工芸美術展、日展を中心に作品を発表し、抽象的で斬新な造形スタイルを生みだします。さらに1976年に同郷の日本画家・奥田元宋と結婚、色を多用する作家のそばでの暮らしは作品にも影響を与え、色胡粉による抒情的な表現へと作風を変化させました。愛と夢が込められた作品は、近年では平和への強いメッセージとともに発表されています。

精力的な制作を続けるとともに、2014年からは日展の理事長に就任し長期にわたりその要職を務めています。これまでの功績から2020年には人形作家(工芸)として初めてとなる文化勲章を受章。夫・奥田元宋の1984年の文化勲章受章に続き、夫妻各々の受章は史上初のこととなります。これを記念し、奥田小由女の創作の軌跡を改めて振り返る大規模な回顧展として本展を開催します。白胡粉一色で仕上げられた「白の時代」と呼ばれる初期の作品群や、広島県に収められたレリーフの大作《天翔る賛歌》、本館所蔵の最大作となる《月の別れ》などの大作、日展に出品された近年の代表作(当館初公開作品を含む)など一堂にご紹介します。また、夫である日本画家・奥田元宋が慈照寺(銀閣寺)に納めた襖絵《山霊重畳》などの代表作をともに展示し、同じ原風景を持ちつつ、人形と絵画というそれぞれの芸術表現を追求し、高めあった夫婦二人の足跡を辿ります。

【会場】
 奥田元宋・小由女美術館
 (広島県三次市東酒屋町10453-6)

【会期】
 2022年4月29日(金・祝)~2022年6月14日(火)

【休館日】
 毎週水曜日(ただし5月4日は開館)

【開館時間】
 9:30~17:00
 ※5/16(月)、6/14(火)は満月のため開館時間を21:00まで延長
 ※入館は閉館の30分前まで

【入館料】
 一般:1,000(900)円
 高・大生:500(400)円
 中学生以下:無料
 ※( )内は20名以上の団体料金
 ※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は無料

【会期中イベント】
●満月ロビーコンサート「Romance of May 」
 出演者:若松弥々(わかまつ やや)ピアノ
 日時:2022年5月16日(月)①昼の部(14:00~) / ②夜の部(19:00~)の二回公演
 定員:各回50名
 ※事前申込制。電話(0824-65-0010)
●満月ロビーコンサート「月の光〜clair de lune〜」
 出演者:中所優子  (なかぞ ゆうこ)ピアノ
 日時:2022年6月14日(火)①昼の部(14:00~) / ②夜の部(19:00~)の二回公演
 定員:各回50名
 ※事前申込制。電話(0824-65-0010)
●満月ロビーコンサート「せんはうたう」
 出演者:加藤和也(かとうかずや)サクソフォン
 日時:2022年7月14日(木)①昼の部(14:00~) / ②夜の部(19:00~)の二回公演
●ワークショップ「ねんどでつくろう」
 内容: 手触りのいい造形用のねんどを使い楽しく動物などをつくってみよう
 日時: 5月29日(日)①13時~/②15時~
 講師: 美術館ロビー
 参加定員: 10名(各日とも)
 対象者: 小学校低学年向け
 参加費: 無料
 申し込み方法:5月24日(火)までに電話(0824-65-0010)にて(先着順)
●茶室「待月庵」呈茶開催
 会期中の土・日・祝日を中心に呈茶サービスを行います(有料)。
 5月16日(月)、6月4日(土)、6月5日(日)、6月12日(日)、
●ロビートーク
 日時:5月22日(日)各13時~
 講師:当館学芸員
 定員:各日30名(先着順)

【常設展】
 『文化勲章受章記念 奥田小由女展-元宋作品とともに』の会期中は、奥田元宋と奥田小由女の作品は展示していますが「常設展」は実施しておりません。

【お問合せ】
奥田元宋・小由女美術館
☎0824-65-0010
URL:http://www.genso-sayume.jp/index.html