今村選手が挑戦したアワーレコード

僕は中距離選手のロケなどもあり、中距離競技の勉強も兼ねてJCFスタッフとして会場入させていただいた。

前々日の30分走では、ケロっとした表情でレースペーストレーニングをこなしていた今村選手。

「それでも30分過ぎてみないとわからないですよね」と笑いながら言う表情は本当にこの挑戦を楽しんでいるようだ。

世界記録を取りに行くと言うプレッシャーが無い分、どこか心の余裕を感じる。

クレイグコーチはこのコロナ禍で、レースが無く目標を見失う選手にとってとても良いチャレンジだ!と言う。

 

 

 

 

当日

普段は暖房の入っていないベロドロームは肌寒さを感じるが、このチャレンジのために暖かく準備されたベロドロームは10:30のスタートをゆっくりと待つ。

自転車のポジション規定の確認、そして自転車の重量の確認で思わぬトラブル

想定していた重量では無く、メカニックが重り?を抜く作業があるなど少々焦ったが、その時間今村選手はウォーミングアップをしていたので全く気付いてもいない。

全てが今まで行ってきた準備の確認作業の中、スタートラインへ....

そして1分のカウントダウンが始まる。

何度もDHポジションの確認をし、スタートしてからスピードへのせるイメージ作業もしているようにも見える

アワーレコードで最も重要なスタート➡︎加速(スタンディング)➡︎シッティング加速➡︎維持(ペースを落とさない)

維持の区間でペースを落とさないためには、スタートでのパワーロスを最低限にし、なるべく大きな力を使わずスムーズにトップスピードまで上げなければ命取りになりかねない。

カウントダウンが始まり、10:30スタートを切った。

 

スタートして4~5歩の縦の動き、そこからはゆっくりと自転車を振り丁寧にパワーを使い過ぎないように上げていく。

アワーレコードの1周目を振り返ってみる

イエンス・フォイクトは1周目3コーナーまでにペースを乗せようと飛ばし気味のスタンディングスタート 23.57sec

カンペナールツは4コーナー過ぎまでスタンディングしてゆっくりとペースに乗せる 24.54sec

ローハンデニス:3コーナーまでのスタンディングだが、1周目ですでにペースは速い 23.6sec

今村選手はゆっくりとした加速で3コーナーまでスタンディング24.83sec

狙うペースのアップダウンは、狙いが選手個々にあるので、スタートだけ見てみるが

遅過ぎず速過ぎず動画で見ると他の選手よりも遅いスタートに見えるが、良いスタートが切れたことは間違いない。

 

個人的には座ってからペースを上げる為に大きなトルクを出すことはマイナス要素もあるので、カンペナールツの様に4コーナー過ぎあたりまでスタンディングを続けても良いかな。とは思うが、選手の好みもあるのでその辺りは自分の個人的な見解。

座り直しが何度かあったが、回数が増えることなくゴールまで行けたのは良かった。

後半残り2分くらいからペースを上げたが、経験が少ない分パワーを分配することは今回はやらなくて良かったのだろう。

最後の2周は15秒台と異次元のスピードだった。

疲労とともに頭が上がり気味になっては、少し下げてを繰り返していた様に見えた。この辺りの修正は良かった。

バンクの特性をよく理解し、とても低いパワーで走っている様に見えたが、PMのデータを見ていないので見た感じといったところ。

 

良い物を見せていただいた。