photo: Atsushi Tanno
イベントの数日前、日本列島は未曾有の巨大台風に襲われました。
前日のフライトは全便欠航、鉄道も次々に運休を発表。
日本中が麻痺に陥り、青凪の芸術祭も三日間のうち初日の中止を発表。
Mamma Mia...
ええい、自転車に乗れなくてもアートライドは成り立つ!
と息巻いていましたが、肝心の僕が現地に辿り着けなければお話になりません。
出発を前々日に前倒し、運休直前の最後の新幹線に飛び乗って在来線に乗り継ぎ、なんとか松山に辿り着きました。
しかし。
なんと、当日は快晴!
青空を見上げて感謝しました。
photo: Atsushi Tanno
さて、果たして参加者の皆さんは無事に来られるだろうか?
ふたを開けてみると、来られなかったのは東京からの人達だけで、高知県から前日泊りがけで参加の方、とりあえず空港まで行ったら運良く飛行機が飛んだという大阪から遠征の方をはじめ、こんな悪条件の中を6名もの方々が参加してくれました。感謝。
ロードバイクだけでなく、クロスバイクやブロンプトンで参加の方もいます。
こんな風にいろいろな自転車、様々な走り方をする人たちが一緒に走るライドって、実はとても楽しいものです。
ロードの速度についていかれなくなったら、帯同するサポートカーに乗って休憩すればいいのです。
誰もがマイペースに楽しめるライド。
スタート地点は、日本を代表する名湯「道後温泉」。
改修中ですが、それでも見応えのある建物です。
photo: Atsushi Tanno
最初に向かうは、四国遍路の51番札所である石手寺。
photo: Atsushi Tanno
続いて大正11年に建設された純フランス風の洋館で国重要文化財の「晩翠荘」、昭和4年に建設された松山県庁舎と松山を代表する近代建築を訪問し、レトロな街並みの残る三津港へと走っていきます。
photo: Atsushi Tanno
三津は戦火を逃れたこともあり、古い建物が今でも多く残る地域ですが、ここに若い人たちが集まっておしゃれなショップを開いたり、アーティストがあちこちにアートを施したりと、新旧の魅力が混ざった楽しい地区になっています。
三津に来たら、当然三津浜焼きを食べなくては!
三津浜焼きはこの地域ならではのお好み焼きで、紅白のちくわが入るのが特徴的。
そばとうどんの2種類から選べるのですが、個人的にはうどんがめちゃめちゃ美味しかった!
大阪でも広島でもそばを入れますが、さすが四国?うどんは小麦の効いた味でローカルフードの美味しさ抜群でした。
photo: Atsushi Tanno
食事が終わると、500年以上の歴史がある「三津の渡し」へ。
自転車のまま、小さな船に乗り込みます。
水面が穏やかで、この港を使う漁船に囲まれながらゆったりとした時間を味わいました。
photo: Atsushi Tanno
興居島へはフェリーで渡り、みかんに覆われた山を走ります。
photo: Atsushi Tanno
勾配がきついみかん畑の真ん中を走っていくと、瀬戸内と松山を一望できる展望台へ。
太陽の陽が注ぐ水面は光り、その上を飛行機が飛んでいきます。
穏やかな瀬戸内の自然を堪能しながら、路面に落ちているみかんをインベーダーゲームのように躱しながら島をぐるっと半周し、四国本島へと戻ります。
photo: Atsushi Tanno
ここからは、ゴール地・青凪へと上る最後の峠へ!
なだらかな上り坂ながらも、10kmは上る最後の山岳コース。
ここからは山頂まで各々、マイペースで走ります。
最難関は残り1km、8%ほどの上り。
「ヒルクライムはパス」と途中で車に乗ったメンバーもここからは一緒に走り、山頂のリトリート青凪へ到着!
photo: Atsushi Tanno
最後はみんな走りきった満面の笑みが溢れ、大満足のライドとなりました!
さて。
アートライドの本番はここからです。
自転車を置いて、インフィニティプールへと直行。
写真では知っていても、実際に本物を目の当たりにすると誰もがこの光景に感嘆の声を上げます。
今日のライドと、出会いに乾杯!
疲れた体にシャンパーニュが沁み渡り、最高のこのシチュエーションに身を置く快楽が脳にも刺激を与えてちょっと飛びそうになりながら、最高のシャンパーニュを味わいました。
陽が傾いてきて、少し肌寒くなってきたので、そのまま地下のプライベートプールへ。
アーティストによる映像インスタレーションで、この日は「アートプール」に変身していました。
プールに飛び込んだり、泳いだり、ジャクジーに全員で入ってライドの話が尽きなかったり。
ピクチャーウインドウが美しいサウナにもシャンパーニュを持ち込んで、アチチチと騒いだり。
他愛ないことでも、経験したことのないことをやってみると本当に楽しい。
今回のライドが唯一無二なのには、芸術祭の一つとして開催されていること。
他のアーティストの作品も見ながら参加できるのが、とても面白い試みだったと思います。
ウォールペイント、ガラスペインティングのライブパフォーマンス、フラワーアート、音楽ライブ、DJ、舞踏、映像、対談。
live painting by kuroma
自転車の背後に小野豊の作庭、さらに奥にはSUIKOのグラフィティというアートの重なり
たくさんのアーティストの作品を見ながら時間を過ごし、最後の時間を過ごします。
7つある客室の一つ「ガーデンスイート」を会場に、走ったばかりのライドの写真を上映しました。
気持ちよく走った思い出、最後の辛かった思い出、美味しかった思い出。
色々な思い出がまだ色褪せない時に、今日の自分を振り返ります。
こんな所あったな~、こんな風に走っていたんだ、こんなにもいい笑顔でいる自分を再発見してもらいました。
photo: Atsushi Tanno
写真を担当してくださった丹野篤史さん、写真の力でどこにもない自転車イベントをやりたい!という僕のワガママに100%応えていただきありがとうございました。
既存の制度や常識、主流的なものに対抗する芸術運動、「オルタナティブ」。
今回のイベントで、僕が最もやりたかったこと。
そして、ここに集まっているアーティストが全員オルタナ・アーティストと知って、嬉しさが溢れまくりました。
たとえば能勢伊勢雄氏とか、なんか難しかったけど超かっこいい↓
オルタナに生きよう。