数ヶ月ほど前のこと。
「どうしてもメカニックとして本場ヨーロッパで活躍したい!」
という一人の中学三年生の夢が、巡り巡って僕のもとに届いた。
現在、高校一年生になった彼はすでに未来の自分像に向かって歩き始め、その目には十年後の自分像が鮮明に見えている。
思い返せば、僕が彼の年の頃にはツール・ド・フランスのステージで美人なお姉さんにビズしてもらう(ステージ優勝して)のが夢だったし、その映像がすでに自分の中にあった。
メカニック見習いとしてヨーロッパで受け入れてくれるところはそう簡単に見つかるわけもなく、かつて僕がお世話になったNIPPO ViniFantini EuropaOviniの大門監督に相談したら、快く承諾してくれた。
帯同するレースは、二週間にわたって中国内陸部の高地で開催される「ツアー・オブ・チンハイレイク」(アジア最大級のステージレース)。
ヨーロッパではなく、あえてこのレースに呼んでくれた理由として、
「長いステージレースに帯同しないと、メカニックとしての本当の厳しさに触れることはできないし、レース中にどんなことが起こり得るか、それにどう対応していくかを体験し学ぶこともできないから」とのことだった。
未来を切り拓いていくには、
- 「どうしてもしたい」という強い意思があること
- 失敗など考えず、先ず一歩前に踏み出せること
- 未来の自分をまるでテレビを見ているかのように想像できること
それらがとても重要だ。
ダメならダメでいいじゃないか、その時に次の一手を考えれば。
ふと思い出してみると、自分の選手生活はずっとずっとその繰り返しだったな。
「経験」は決してお金では買えない貴重なものであることを、ぜひ身を以て体験してきてほしい。