「身体を絞るという概念」を、根本的に考え改める事にした。
というのも、自分はスプリンターとしてここまで走って来たが、年を重ねることによって身体の反応(神経系)が弱くなって来ている事を感じているからだ。
自分が生き残る道は何なのか?
プロ選手というのは そのチームが 「チームに必要な力」を持つ選手を選び、評価されることで契約が成り立っている。これは一般的な仕事でも同じ事がいえるだろう。
選手は 普段のトレーニングや普段の生活まで 常に選手としてのあり方を考えながら生活しなければならない。
しかし、これが間違った方向に努力をしているとすれば、それは無駄な事になってしまう。大事な事は、努力をする事ではなく結果を出す事だからだ。
身体を作る(食べる)事も それと同様に結果を出さなければならない。そして それによって競技力アップに繋がる事が前提にある。

自転車選手にとってダイエットはとても重要な課題である。それは、車と同じでエンジンの大きさ・パワーに対して「体重=車重」が軽ければ上りや、加速、燃費といった面で大きなアドバンテージがあるからだ。
150km~250kmの長いレースを走り、山岳もこなすロードレーサーにとってこの課題は常につきまとっている。
そして、グランツールを語る中で5000kcalや8000kcalも消費するといった話題を耳にするが、自転車に乗っている人が全てそんなに消費するわけではない。

運動をした事がある人なら分かると思うが、空腹というのは身体の1つの反応で、エネルギーを欲しがっている身体のサインだ。
このサインがでると、人は何かを食べたい衝動にかられる。そして、コンビニが100mおきにあり、所狭しと立ち並ぶレストランや安い牛丼屋さんを目にする日本では、このサインが出ると居ても立ってもいられない。

私は今迄、数多くの栄養士さんと話しをして、レースや合宿などに帯同した時は食べ物の事について良く話した。
しかし、なんど実践してもなかなかダイエットが出来なかった。
そして、164cmという小さな身体に62kgという体重はやはり重すぎるのだ。
私は毎年シーズン終盤8月~10月迄は常に体調が良く、それならいっその事シーズンOFFを無くしてみたらどうだろう?と思った事もある。
しかし、年間80以上(MAX113レース)のレースを走った身体と頭は疲れ果てていて、流石に1ヶ月は休まないと 次のシーズンに疲れを持ち越してしまう。

さて、今年はどうか?
11月にカナリア諸島で行われたチームキャンプでは64kg(体脂肪率6.4%)と例年通り?の増加があったものの(前日食べ過ぎたのもある) 今現在2月には59kg台に落として来ている。
さて、我流ダイエットプログラムを実践していて分かった事は、人間の身体は意外とタフでエネルギーを蓄えているという事。そしてかなり頑張って食べる量を落としても1度もハンガーノックに至らなかった。
食べる物のタイミング、必要な時に必要な物を摂取するという約束さえ守れば、身体は意外と動くのだ。
そして体重が落ちる上で大切なのは、筋肉をうまく絞る(削ぎ落す)という作業。
これは筋肉が萎んでしまってはいけない、走る筋肉というのは横ではなく縦に太くなるのが正解か不正解かの目安。

今年のタイ合宿では ほとんど乗り込むという事はしなかった。
これにも理由があり、書くと長くなるので書かないが、ダイエットの成功の秘訣にもなっている。一般的には有酸素運動をするとダイエット効果があると言うが、我々の様に毎日何時間も走っている選手にとっては ダイエットの手段にはなり得ない。
それも含めて 競技の特性と食べる物のタイミングと食べる物を選ぶ事で、みるみる身体は絞れて行く事が分かった。
そして、間違った物を選ぶと空腹感が強く、何かを食べないと居ても立っても居られない状況に陥る。
しかし、きちんと食べるタイミングと食べ物の約束を守っていると、空腹になっても我慢ができるし、食べる物を探す程の空腹感は無いのだ。

年をとると若い頃のように走っていれば強くはならないし、考えていても正解を見つけなければ変化は起こらない。
人にとって必要な事は、変化を起こす事。頑張る行為は 自己成長とのロジックが合って初めて頑張る価値があるのだ。

さて
じゃぁ、何をしたらいいのですか?
という言葉が聞こえてきそうだが、私が思うにその人の目標や、今の現状、生活スタイルを考えて答えを出さないと意味が無いと思っている。
5%の体脂肪の人と20%の人、生活スタイルによってアプローチは変わってくるからだ。

「自転車・ごはん」第2弾、本気で考えてみようかな。