コペンハーゲンに入ったのは約1週間前、体調も気持ち的にも良い状態。不安材料があるとしたら、レースが10日ほど空いてしまった事くらい。
その代わりトレーニングは本番を想定して出来たので、自信を持ってデンマークの地を踏んだ。

こちらに着いてからは、フミと幸也と色々と話が盛り上がり、練習も普段とは違った感じでリラックスしてトレーニングが出来た。
レース2日前のカーペーサーでは40kmしっかり足を回せたので、久しぶりに軽い足が戻ってきた。最後は最高時速78km/h!!!(速かった)
そう言えばトスカーナから持ってきたオリーブオイルが好評だった。やっぱりイタリアのオリーブオイルは美味いわ。
コースはラインで28km、そのまま周回コースに入って14kmを17周回する238kmする266km。
上りは2カ所しかないが、ゴール前と4km地点の上り以外は高速で流れるスピーディーなコース設定。道の細い箇所もあるが、集団で突っ込まなければ危なくはない。

レース当日
パンにありったけのジャムとパスタ、チーズ、あきたこまちのご飯を食べて準備完了。
スタート会場には9:00に着いたのだが、寒い寒い。
しかしスタッフが温かい紅茶とコーヒーを用意してくれたので、スタートオイルと共に身体の外と中から暖まる。
スタートは国別に呼ばれる、日本チームもいつの日か1番始めに呼ばれたいな!と思う。

レースが始めると落車しない事だけ願ってスタートラインをきった。
ニュートラル走行中に周りの選手の雰囲気から、前半はなかなかアタックが決まらない展開になるのでは?
案の定アタックは決まりかけるも集団のスピードが速く、なかなか容認される逃げができない。そのまま集会コースに入ってしまったのでさぁ大変、ラインコースと同じようなスピードで突っ込むもんだから、あちらこちらでフルブレーキがかかる。
選手もモチベーションが高いものだから足を使ってでも前へ前へ入ってくる。
今年のコースは今までになく平坦なコースで、ちょうど群馬CSCの心臓破りがもう一つ増えたようなコース設定だ。

やっと前にでれた時、ちょうどチームメイトのブラジル人(ブルガレッリ)がアタックしてようやく集団が落ち着いた。フミや幸也と言葉を交わし、今日の好調を確認。
8分差がついたところでイギリスチームがコントロールを始め、集団内も少しづつレースモードへ。集団を引くスピードが速すぎないか?と思っていたが、前との駆け引きをしながらなのでまたスピードが緩む事はわかっていた。
しかし自分がスプリントに持ち込みたくないチームだったら、このイギリスのペースにハマってはいけない。どこかに打開策を見出すはず……と思っていた。
残り7周くらいからペースが落ち、イギリスの思う壷になりそうになった時アタックがかかり始めた。

やはり!
アタックがかかるのはゴール前の上り。
補給で集団が詰まって後ろは身動きが取れない。しかしアタックをかけるとしたらここしかない。
なぜならその先は高速コーナー、そのまま2回目の上りと集団を篩にかけるにはもってこいの場所だからだ。
残り6周、またもゴール前の上りでペースが上がりそのまま2回目の上りへ。実はこの周回コースに入ってきた1周目に道の細い場所で危なく落車しそうになった事があった。
ペースが上がり集団が慌てた時にもう一度くるのでは?と思っていたら、後ろで落車があり集団が半分ほどになっている。
集団内を探すがフミと幸也が居ない。
後ろから集団で復帰する事を願ったが、次の周ではチームカーの隊列が来てしまったので1人で戦わなければならなくなった。

前半から集団の動きは見ているし、誰がどんな動きをするかはわかっていた。
コースのどこで前に居なければいけないか、どこで休んで良いか、どのチームが上手く機能しているか。
全てを頭の中でシュミレーションして周回を重ねる。
残り2周、思っても見ない事が起きてしまう。右足内側こう筋が攣ってしまった。
ペースは速いし激痛が走るが辞めるわけにはいかない。人生で1度のチャンスかもしれないから。マッサージとストレッチで誤魔化し、攣らないポジションを探す。
コースの上りを使って刺激を入れ、攣る事は解消した。
最終周回、今まで上りという上りは全て400w以下に抑えて来たが、ここからは勝負!ダンシングで勢いよく上って行く。最終周回は辞める選手も多いので、中切れがあっても埋めないなんて事があったら大変だ。

2つの上りを超え、残りは10km。
集団後方で最終コーナーのイメージを作って行く。コーナーを抜けたら後はペースが上がって行く一方だ。
残り2.5kmのロータリーで集団の真ん中へ上がって行き、前を伺う。早く上がり過ぎても外から来た選手にかぶされてしまう、遅ければ取り残される。
最終コーナーは右のインを行くのが正論、しかしどのチームもそこを狙っている。
左に勝機あり、タイミングを見計らって前へそしてコーナーへ、10番手程の場所で入れた残りは800m
左斜め前から受ける風と、その前の位置どりの使った力で「呼吸が溺れてしまった。」(水の中に潜ったらクシャミをしてしまったようなもの)←他の言い方が思いつかない。
気持ちと身体を落ち着かせる為に風を受けないように中へ入る。
しかしペースは上がる一方、落ち着かないままスプリントに入って行く「もういくしかない」ある力を全てペダルに伝えるも、力が出ない。。。。
そのまま集団でゴールへ。

結果30位
2011年の世界選手権が終わった。

何をしてるんだ??
そんな気持ちで一杯だった。いつも課題にして来て、パリ~ブリュッセルではちゃんと出来たのに。。。なんでココで出来ない。

レース後、あそこはまだ早かったんじゃない?とも言われた。
しかし、10位でゴールする為にココに来たのではない。今までの女子やU23のレースを見ていて、勝機はあそこから生まれると判断したのだ。しかし、それが間違っていた可能性もある。
悔しいがこれが今の自分の力なのだと言い聞かせた。

不運にも落車に巻き込まれてしまった幸也とフミはもっと悔しい思いをしている。
あそこに3人が並んで入った事を想像したら、今回表彰台もあったのでは?と妄想してしまう。しかし、それがリアルに想像できる今の日本チームは強い。
世界の強豪国に対抗出来る術をもっと高めて、来年の世界選手権は6人で参加したいものだ。

現地に応援に来てくださったファンの方々、日本で応援してくださっていた皆さん、ありがとうございました。
ジャパンカップで会いましょう。