全日本選手権前、6月8日~18日までの10日間トレーニングキャンプをした。


集まる前に確認事項。

「来る前に2~3日乗り込みしてきて!」
合宿に来る前に疲労状態で来るの?と思う方もいると思うが、そうなんです。(笑)
元気な状態で来ると、レースと一緒でガンガン踏んでしまうペダリングになってしまう。
そうすると、合宿前半の4日ほどは元気だけど後半になるにつれて

疲労で体調も上がっていかなくなってしまう。

よく、練習で150kmくらい走ると後半ドンドン踏めてくる時ありますよね?
あれって、前半からガンガン踏んでしまうと後半バテバテで踏めなくなってしまうんです。


トレーニングも合宿も一緒。
後半になるにつれて、体調が良くなっていかないといけないわけです。
自分は4日~6日まで250km、130km、180km走って、7日休みで8日からの合宿に入った。


合宿は 基本的に乗り込みを中心としたロングライド(5時間~7.5時間)の中に、

ローテーションや上りの反復、美麻ロードのコースを使ってレース走が主なメニューだ。


自転車の事しか考えない(考えられない)時間というのは、自分を見つめなおす上でも重要な期間。
朝9時半から夕方4時~5時まで練習すると、残りの時間は体を休める事に集中できる。


先日サッカーの本田選手x中田英寿の対談の中で面白い事を話していた。
「日本の選手は練習の時すごくウマイと思う。世界1かも。でも、試合で使える練習じゃないんだよね!」
これって、とっても良く分かる。
今回の合宿は レースで走れるように練習する、この事にこだわって練習した。


しかし、練習と回復だけの時間の過ごし方も頭に良くない!
ということで、
合宿中にバッティングセンターへ行く事もあった。
ここで大当りだったのが、なかじ!
140km/hの球をほとんど空振りせず打っていく。

初めは乗り気じゃなかった選手たちも、こういったことになると興奮して

疲れや食べることへの執着が無くなり、リラックスできるのだ。


この10日間の合宿に入れた休養日は1日。
まぁ、21日間で2日休みのジロを走っている幸也に勝たなきゃいけないんだから!

(笑)当然?


あと、温泉にも行った
日本といったらやっぱり温泉でしょ!
140m?ほどの大きな露天風呂で、話をしながらゆったりとした時間を過ごす。
こうした時間に選手の本音を聞くのも良い事。合宿に対してどう思っているのか、

チームのビジョン、今年の目標はなんなのか、最近あった楽しい事。
チームスポーツは常に近くで同じ時間を過ごしているから、

仲間の事を分かっているつもりになっている事が多い。
意外とその選手の腹の内というのはこういった時間に話してみないとわからない事もあるのだ。


練習は競う事ではない、自分の弱い部分をさらけ出すのが練習!

自分事になるが、スプリンタータイプの選手は乳酸が出やすい体質をしている。
簡単に言うと疲れやすいってこと。
だから練習は誰よりも先頭を引いて、人よりも多くのメニューをこなし、

練習の最後には自分の勝ちパターンの練習を入れる事が重要なのだ。


さて
いろいろと書いたが、今回のレース前、正直自分は不安にかられた部分があった。


それは、今までタイで1人合宿をしてレースに臨んでいた時

「このレースに向けて自分はこのスタートラインに並んだ誰よりもキツイ練習に耐えてきた。

負けるはずがない」 と思って臨んできた。


しかし、今回はチームメイト全員と合宿を共にしてきて、

正直自分よりも走れている選手ばかりだった。
そういった意味で、自分は1番練習してきた自負が無かった。

しかし、喜びを分かち合うと大きな喜びになるのと同じで、

苦しみを分かち合ってきた仲間は皆信頼しあえる同士だという事も分かっていた。


そしてレース直前、皆一同に緊張していた。


俺も言葉にならないくらい緊張している。

でもそれは、俺たちがやるべきことをやってきたから緊張してるんだ。

大丈夫、今日は勝つぞ!

と 円陣を組んだ。