ふきのとう | 信州戸隠の宿坊 宮澤旅館のブログ

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   ぽかぽか陽気の春の日もあれば、キリッと身も心も引き締まるような寒い冬の日もあればと、年度末の3月は自然界も何かとお忙しいようです。
  春の始まりの象徴といえば梅か桜かと思うのですが、ここ戸隠では写真のようなふきのとうでしょう。ひょっこりとたくましく頭を出したその姿を、運動会の保護者よろしく喜んで写真に収めたのですが、よくよく見るともみじの落ち葉が囲んでいて、ああ、自然とはまさにこういうものかと、掃除をしなければという使命感を放っぽり出して通人ぶるのもまた似合う、春の訪れです。
   ふきのとうには男と女とありまして、ここいらの人はそれを「オスッタマ」「メスッタマ」と呼んでいます。メスッタマの方が食べるにおいしいということで、好んで採られるのがメスッタマ、残されるオスッタマと、冬と春の境には人間模様のように、ふきのとうの男女にも様々なドラマが繰り広げられるのです。
   憐れ、オスッタマのいいなずけメスッタマが人間に奪われる悲劇なのか、着飾って人間に選ばれるその日を待つメスッタマ達の華やかな世界なのか、近いけど遠い、会いたいけど会えない動けないオスッタマとメスッタマの恋の物語か、見分けのつかない私のような人間にこれはメスッタマだと採られるオスッタマ達のドタバタ喜劇なのか。
   冬には冬の、春には春の自然の恵みに感謝しながら、無意味なことに頭を使うのも楽しい、春の訪れです。