ゴーンショック! | 宮沢たかひと Powered by Ameba

私は政治家の汚職に強く憤り、政治浄化のための政党ガバナンス改革や政治家資質についてブログに投稿してきましたが、この度のゴーン事件で「ビジネスマンリーダーもここまで堕ちるのか!」とショックを受けました。これもゴーン氏の暴走を許したお粗末なコーポレートガバナンスの結末であり、ゴーン氏周囲のニッサン経営陣への責任追及は免れないでしょう。

 

2017124日、 丈人氏 『増補  21世紀の国富論』 の感想をブログに投稿しましたhttps://ameblo.jp/miyazawa007/entry-12241205041.html)。

 

原丈人氏は短期利益を追求する株主資本主義、行き過ぎた市場経済万能資本主義、ストックオプション制度、アメリカ型グローバリゼーションなどの問題点を指摘しています。特に、アメリカ大企業の経営者と労働者の受け取る報酬額格差の倍率が200倍以上という途轍もない額になっていることを指摘し、報酬に対する価値観の日米格差を再認識しました。また同氏は以下に示す 「公益資本主義のもとで、日本を中長期の繁栄へと導く制度」6項目を提唱していますが、極めて優れた施策と思います。


法律上、会社の公器性とステークホルダーや社会への責任を明確にすること。

中長期の株主を優遇できる制度をつくる。

革新的な技術を事業化し、新しい産業をつくる仕組みをつくりあげる。

ROE(株主資本利益率)に代わる新しい企業の価値測定法を確立する。

単に投機家に利するような極端な規制緩和を改める。

GDP(国内総生産)、GNI(国民総所得)を補完するような経済指標をつくる。

 


ところで、国内企業の役員報酬について「2017年役員報酬・賞与等の最新実態(労務行政研究所)」という興味深いレポートがありました(https://jinjibu.jp/article/detl/rosei/1925/)。それによると、社長の年間報酬は最低720万円・最高11448万円、5千万円を上回る企業は合わせて35.9%となっているそうです。日本企業の役員の報酬は無難なレベルと思いますが、一方でゴーン氏の報酬がいかに法外なものかわかります。

 

ビジネスの世界では経営者が頭脳を駆使して企業に利益をもたらし、株主などのステークホルダーが潤えば、役員らがどれだけ報酬を得ても構わないという風潮があるようですが、それは違うと思います。その商品やサービスを買う消費者(国民)がいて、社員が現場で支えるからビジネスが成立するのであって、経営者は「経営という役割」を担っているに過ぎないのです。


役員報酬適正水準を決めるにあたり株主総会が無力であるなら、ビジネス界が率先して企業役員報酬の適正水準を定め、コンセンサスを共有すべきと思います。私欲をむさぼるような経営者には退場してもらいましょう。但しその場合、国家間のビジネス報酬の格差調整が問題となってくるでしょうが、意欲ある優秀な日本人経営者が日本企業を率いれば問題ないはずです。

 

世界的に貧富の格差が問題となっている今、報酬水準までアメリカ型資本主義に追随するのでなく、「私欲抑制型公益資本主義」のような日本独自の資本主義を検討してもいいのではないでしょうか。