外科医の peer review | 宮沢たかひと Powered by Ameba
Peer review。仲間内での相互評価と研鑽。外科医の世界では、当たり前の慣習です。しかし、外科医のチームによって、その完成度はさまざまです。

完成度の高いチームのリーダーは peer review を積極的に実施し、チーム全体の質の向上を目指します。

質の高いチームほど患者さんが集まり、難しい手術に挑戦する機会が増えます。しかし、難しい手術の場合、すべてうまく行くわけではありません。

たとえリーダーが手術して結果が悪かった場合でも、術後のカンファレンス(会議)では手術の内容が後輩たちによって科学的に分析され、ときには激しく糾弾され、術者にとっては針のムシロとなることもあります。それが、peer review です。

しかし、結果が悪かったからといって、常時責任が問われるわけではありません。難しい手術に挑戦するたびに責任を問われていたら、挑戦する外科医はいなくなり、患者さんにとって不利益であるばかりでなく、医学は進歩しません。今生きる我々は、先祖の患者さんと医師双方の挑戦による医学進歩の恩恵を受けているのです。

まともに peer review ができない外科医チームの質は徐々に低下し、患者さんが集まらなくなり、手術件数は減り、必然的に高いレベルの手術を経験したい若手外科医は去って行きます。

以上のように、peer review なくして医学の進歩はなく、チーム内ガバナンスとして極めて重要です。


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