2024年2月9日

 

 いよいよ個展が来週に迫り、準備も佳境を迎えているところです。今回は久しぶりにアトリエにこもって2ヶ月ぐらい集中して絵を描く時間が取れました。考えてみるとずっと壁画制作などで野外での制作が多く、ゆっくり椅子に座って絵を描くなんていうことをやっていませんでした。おかげで非常に集中して絵を描くことができ、満足しています。

 

 

 今回の絵本は、高校教科書「All Aborad!」でお世話になった明星大学の清田洋一先生からお話をいただき実現しました。いつか自分の絵本を出版したいという夢はあったのですが、なかなか実現できずに今に至っていました。何よりも清田先生の「Over the Wall」に対する強い思いと深い理解に突き動かされてここまできたのですが、構想から制作まで2年ほどかかりました。しかしゆっくりと時間をかけてブラッシュアップしたおかげで、本当に素晴らしいものができたと思っています。

 

 

書籍概要

 

世界中を飛びまわるツバメのサミー。彼には石巻に人間のヒロシという友達がいます。石巻にはOver the Wallプロジェクトが作成した壁画のひとつがあり、その絵の中にいるクジラのウィニーから、サミーは世界中の壁画の中の友だちを紹介されます。サミーは世界中を旅し、エクアドルではハチドリのタイニーと出会い、貧しさ故に法を犯した刑務所の中の悲しい囚人のエピソードを聞きます。絵の中の花は、蜜を飲むことはできないけれど、人々の心のなかに花を咲かせることができると伝えられます。東ティモールでは、ワニのフェリックスと出会い、太陽の大切さ、太陽が人々に生命を与えていることを教わります。命を守る象徴として、病院の壁に太陽が描かれていることを知りました。次にサミーはウクライナへ飛びます。そこにはカモメのキラがいて、ウクライナに伝わる昔話、旅人が落とした手袋の中で色んな動物が温まり、そのぬくもりが平和を作り出すという話を聞きます。

サミーは石巻に戻りウィニーと話します。ウィニーからここにもかつて大きな津波があったことを知らされ、自然も時に牙をむくことを知ります。ヒロシはサミーから世界中の壁画の話を聞き、スケッチブックに花やハチドリやワニを描きます。そこにほかのツバメがやってきて、ウクライナで戦争が起こっていることを伝えます。ウクライナの壁画は破損し、手袋の中の動物たちはいなくなったように見えます。動物たちは途方に暮れ、ハチドリのタイニーはせめてものできることとして、ひとしずくの水を口に含み、戦火を消そうとします。

翼を持たないヒロシは自分には何も出来ない、と途方に暮れます。しかしツバメのサミーがヒロシにはなった言葉とは――。

 

 

 絵本の原画展では全てのストーリーが公開され、絵本の先行予約もできます。ぜひお越しください!

 

 

絵本「Over the Wall」原画展

2024年2月15日〜2月24日(18、19日休廊)

11:00 - 19:00(土曜17:00まで)

ART FOR THOUGHT

東京都中央区銀座8-10-4 和考銀座8丁目ビル1階

Tel / 03-6228-5922

在廊予定日 16日を除く平日15時以降。17,23,24日は終日