※ 当時のブログを掲載しています

1月29日 「壁画五日目」

 今日は作業を少し早く終わらせて、今回の目的の一つでもあったオケッチの家を訪ねました。オケッチは昨年の火事で亡くなってしまった僕の友人です。2006年、2010年と壁画プロジェクトを手伝ってくれた、一番の理解者でした。
 オケッチの家はキベラの奥にひっそりとありました。迎えてくれた奥さんはまだ30そこそこで、子供4人を抱えながら、しかも妊娠中でした。僕が彼との関係を話し、お祈りをしたいというと泣いていました。
 伝えたいことはたくさんあったけど、まだ小さな子供たちを見て、大きなお腹を見て、かけてあげられる言葉が見つからなかった。あまりにも環境が違いすぎて、自分にできることはただオケッチを思って描いた絵を渡すだけでした。。。

 

オケッチの家においてきた絵


 滞在も一週間になり、ただ楽しいだけの時間から根本的な環境の違いを痛感するようになってきました。僕は友人としてできることをしにここに来ているけれど、彼らが求めているのは絵なんかじゃなく、生活を改善させるためのお金なんじゃないか?正直そう思ってしまうこともあります。
 しかし僕はこれまでやってきたように、絵の力を信じて描くしかないのです。人生はそんなに甘くはない、だけど絵が人を救うことは確かにある。はじめは伏せてあった僕の絵を、最後には部屋の一番いいところに置いてくれました。いつかこの絵を見て、少しでも明るい気持ちになってくれれば嬉しい。僕は彼女に家を買ってあげることはできないけど、優しかったオケッチの笑顔を思い出す手助けをしたいと願います。

 

その後、マゴソの壁画にもオケッチの姿を描きました。