どうしてがん難民が生じる? | がん治療の虚実

どうしてがん難民が生じる?

2018年12月22日東京での公開セカンドオピニオン講演会参加者アンケートより

* 今回は個人的に先生と話が出来てその点はよかったですが、やはり話をしているうちに医療者との隔たりがかなりあると感じました。正直、ショックでした。自分は患者としてそこまでワガママを言っているのか?自分がブランド力のある病院にしがみついているような言われようで落ち込みました。

士気を上げる為にセミナーに参加しているのに凹んだ気持ちになったのはガッカリです。病院難民の方が大勢いることを知ってもらいたいです!!一度、今の病院を離れたら二度と受け入れてもらえないという現状と、初発以外は受け入れてくれない病院が多数あるという事も本当のことです。悶々とした気持ちで帰宅しました。

 

【当方のコメント】

前回の公開セカンドオピニオン講演会のときの懇親会で上記のような不安と不満をお聞きしました。その結果医療者と患者さんとの隔たりがかなりあると再認識され、ショックを受けたということでしたので、その点について解説したいと思います。

 

まず、「医療者と患者さんとの隔たりがかなりある」のは、しごく当然のことです。

なぜなら立場も背景も全く違うわけですから、始めから食い違いがないはずがない、というのが当方の率直な意見です。

 

双方それぞれが「わかってくれるはず」という先入観があるために、たくさんの誤解を目撃してきました。

もちろんある程度の暗黙の了解(実はこれがおとなのがん教育)がないとがん医療が成り立たないのですが、始めから一致しない部分があるはずだという前提を持っていたほうが良いでしょう。

 

さて、なにをもってがん難民とするか定義が難しいのですが、そう感じる人にとっては確かにそうなのでしょう。

 

それでは、はっきりしている事実を整理してみます。

 

・今の病院を離れたら二度と受け入れられないという証言あり

・初発以外は受け入れてくれない病院が多数とのこと

 

ということを事実だとすると、

 

現実の病院は赤字の病院が多数といわれていますが、それではなぜ外来患者さんを減らそうとしているのでしょうか?

 

一つの理由としては、待ち時間が患者さんの不満の第一位というアンケートがあったように、病院外来は混みすぎ、医師は過重労働の状態であるからです。

ーーーーーーーーーー

参考: 医師働き方改革「勤務間インターバル義務化」厚労省方針

 

医療現場は24時間365日、患者の求めに応じる必要があり働き方が特殊なため、来春施行の働き方改革関連法の対象から5年間除外されている。同法では、単月100時間未満、2~6カ月平均月80時間以内の残業規制があり、違反すれば罰則が科せられる。これらの時間水準は「過労死ライン」と呼ばれる。

 

 厚労省の案では、過労死ラインを越えることを認め、「やむを得ず許容する水準」と位置付ける。充実した健康確保措置を設け、「1日6時間程度」という勤務日に最低限の睡眠時間を確保することも盛り込んだ。

医師や自動車運転手などを除く一般労働者は、原則として上限を「月45時間、年360時間」と定め、特例で「単月で最長100時間未満、年720時間」まで認める。

ーーーーーーーーーー

この

「過労死ラインを越えることを認め」

という言葉が強烈ですが(笑)、医師の過労死はたくさん見聞きしてきましたから、今更驚きません。

 

がん治療医がひましているどころか、赤字経営の病院側としては、もっと医師を働かせたいと思っているはずです。

 

しかし上記の限界でありながら、新規のがん患者さんも受け入れなくてはいけないというジレンマに陥っているわけです。

そして早く手術や治療開始してほしい新規のがん患者さんは、これまた長い予約待ちとなっており(食道がん、膵がんなどで1〜3ヶ月待ち)、この方々もがん難民の一部と考えられると思います。

 

極端な例が英国で、一年間の医療予算が低額で決まっているため、がんの手術が1年待ちとなり、途中で亡くなる患者さんが続出しました。あるいは自費でヨーロッパ大陸の国で手術する例がありました。

 

当方は該当する病院勤務医の立場で回答したのではありません。

 

その病院の内情を知っているわけではないのですが、その背景は全国の第一線病院に共通しているので、その裏事情を解説しただけです。

 

つまりアンケート感想を書かれた方は、がん難民の問題を、「患者さんvs医師」ととらえていますが、本当は

 

「患者さんvs患者さん」

 

が、がん難民の本質なのです。

 

こうなったのも、国民皆保険で、比較的低料金で、全国どこでも受診できるという制度があるためですから皮肉なものです。

 

病院側は困っている患者さんに、色々やってくれて当たり前という考えが染みこんでいます。

確かに数十年前は、手術という期間限定の医療がメインで、治るか治らないかという短期決戦型でしたから、病院側がやることは限られており、大きな問題は生じませんでした。

 

ところが治らなくても人生の延長ができるようになり、

 

専門家に治療してほしいが、

専門外の事も診てほしい、

がん治療生活人生の支援もしてほしい、

 

という非常に幅広く、期間も年単位のサポートを望むようになったわけです。

 

しかし、医療制度は一つ一つの医療行為に対してコストを払うことを前提としており、専門的医療や支援を包括的にカバーできる体制がもともとないため、患者さんの要望に追いついていないと言えるでしょう。

 

現場では何とかしようと、チーム医療やキャンサーボードなど、横のつながりを作って患者さんをサポートしようとしていますが、あれはみんな医療者が身を削ってボランティアでやっているのです。

その延長上に過労死リスクが浮上するのは避けられないことでしょう。

 

これはまさに、「長生きするリスク」そのものです(もちろん家族の負担も含む)。

 

専門的治療を最初からあきらめるなら、問題なかったのですが、保険診療という安価で、より良い治療が受けられるとなれば、それをあきらめられる人はほとんどいないと思います。

それが病院混雑の理由です。

 

(ここで個人的な話をさせてもらうと、当方が常勤医から非常勤医に鞍替えして、地元以外の病院への出張や東京での公開セカンドオピニオン講演会をやりはじめたのは、自分が過労死する寸前になったからでした。

一つの病院にいると、日常的に緊急だからと頼まれることの連続であり、断れないから、物理的に病院から離れるしかなかったわけです。)

 

じゃあ、現状どうしようもないかというと、そうではありません。

現時点では患者さん自身の工夫を活用する視点(効率的に受診する工夫など)が医療側には全くないため、そこに宝の山があるはずです。

当方の患者会、YouTube動画チャンネルの活動は、患者さんの隠れている力を発掘する試みです。次回公開セカンドオピニオン講演会は1月14日です。

登録はこちら

 

 

---新年のお年玉として特別動画は7日で一旦終了しました---

しかし強い要望があったので

再公開し1月14日までとします。

↓↓リンクをクリックしてください↓↓

 

 

世の中に、いろいろながん食事療法があります。皆さん、がんに効くと期待しているのでしょうが、その前にその食事療法が安全かどうか確認していますか?

薬ではない食物だから安全に決まっていると思っている人は大変危険です。

なぜなら、それ以前の問題として、がんがどうやって栄養状態を悪化させるか、それが次に何を引き起こすかを知らないと思われるからです。

さらに書店に積まれているがん食事療法本の内容は、がん関連学会では全く話題にも上がっていないのに、本当に大丈夫ですか?

このwebセミナーシリーズでは、医療側と患者さん側のすれ違いの原因となっている盲点をどんどん指摘、解説していきます。

 

 

ーーーー備忘録ーーーー

なかなか記事にできていませんが、いずれ必ず実行します。

 

・製薬会社講演会での医師洗脳マーケティング

・なぜ、腫瘍内科医は冷たいのか?(→すでに動画収録済み、未公開)

・なぜ、外科医は手術をしたがるのか?

・なぜ、緩和ケア医は苦痛緩和できても、希望を持たせられないのか?

・現状維持希望は退化と同じ

・リスクを恐れるリスク

・〇年再発しなかった、あるいは再発しても〇年たっても生きていることを喜びすぎてはいけない理由

・なぜ医療者と一般人が反目するのか?

・当方が政治的発言しないわけ

・がん治療の目標は勝つことではない、勝ち続けることだ。

・治療期間は治療だけが人生ではない

・病院に長くいるほど寿命が短くなります

ーーーー備忘録ーーーー

 

ーーー本日の動画ーーー

◎ 膵臓がん術後、造影CT検査期間をもっと短くできないかQ&A#95

(10分58秒)

 

 

 

質問「51歳男性ステージⅡBの膵臓がんで、七月に膵頭胃十二指腸切除術でそのあと術後補助化学療法でTS1内服し、それがちょうど終わったところです。三か月ごとに造影剤CTで、マーカー、三月までは毎月。画像は三か月に一回ということで、フォローアップしてますけど、その期間をもっと短くした方がいいんじゃないかなぁと。膵臓がんでのスピードが早くて、手術をするときも一刻も早く手術をしましょうという感じで追い立てられて手術した経緯がありましたので、三か月って随分長いんじゃないのという素朴な疑問があります。それとは別に四月の末にルーチンの造影CTを撮ったところ、主治医が術後瘢痕だろうというふうに言っているんですけどもやや大きくなっている影があるので、明日実はPETCTを撮影するのでちょっと不安なんですけども、フォローをどういう風にしたらよいのか、こういうフォローの期間を短くするという提案を主治医に話す時のコツ、アドバイスを教えていただけたらと思います。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

がん治療の虚実のYouTube動画チャンネル開設!がん治療に絶対役立つ動画を見逃したくない人はこちらからどうぞ。

また、チャンネル登録して、是非ともこのメルマガを応援してください。

 

こちらからどうぞ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

https://goo.gl/NNB19C

 

 

Facebookをやっていなくても、YouTubeチャンネル登録してもらえたら、公開セカンドオピニオン講演会ライブ動画開始通知が来ますのでお勧めです。

 

ーーお知らせーー

日時:2019年1月14日(月曜日・成人の日) 11:00 ~ 17:00

 

場所: NATULUCK茅場町新館 3階大会議室

東京都中央区日本橋兜町12-7 兜町第3ビル 3F

東京メトロ東西線 茅場町駅から茅場町駅 12番出口 徒歩30秒

プログラム

11:00 開場(会場準備設定含むので、自由歓談)

11:30~12:00 ミニレクチャー

「見逃されていた大きな武器、がん患者のアウトプット術教えます・I

がん治療は、がんを治すこと、がんを縮小させることにこだわりすぎる人が多いようです。しかし、患者さん自身は専門的な治療法自体に関与することは、ほとんど不可能です。

そのため、いかに治療選択していくのか、主治医にどうやって自分の希望や価値観を伝えるのか、治療の不具合を早く察知して主治医に対策取ってもらうための手法など、がん患者さんしか出来ないのに、最も重要なノウハウについては置き去りにされたままです。

こんなに重要で取り返しがつかない事が放置されていることを憂えて、公開セカンドオピニオン講演会を続けていましたが、精神科医・樺沢紫苑先生の30万部のベストセラー「アウトプット大全」に触発されて、がん患者さんのためのアウトプット術を企画しました。

 

12:10~12:50 自己紹介、近況報告

13:00 ~15:00 質疑応答(Facebook、YouTubeライブ動画配信あり、ただし出席者の顔は写りません)

15:00〜17:00 懇親会あり(参加される場合+500円)

 

※ 今回50人限定となり、事前登録が必要です。

 

※当日、一人1分で、自己紹介、近況報告をしてもらいます。後の質問回答コーナーで質問される方は、その内容については質問回答コーナーでお願いします。

 

登録はこちら

今後の東京支部会での公開セカンドオピニオン講演会予定

 

・2019年2月16日 11:00 〜 17:00 茅場町

・2019年3月30日 11:00 〜 17:00 茅場町(17日から変更しました)

・2019年4月13日 11:00 〜 17:00 茅場町

 

◎第76回宮崎善仁会病院院内がんサロンは2019年2月2日土曜日11:00~です。

今回は自然寺というところでの、食事会を兼ねた院外がんサロンとなります。

詳細は個別に問い合わせてください。

 

◎ 第106回宮崎がん共同勉強会


日時: 2019年1月13日日曜日

場所: 宮崎市新別府町船戸738-1
宮崎市郡医師会病院研修棟研修室。

駐車場は病院



今回のテーマ: 

「がん食事療法がアダとなるのはどんな場合か?」

11:30~13:00 患者さんだけの気軽なおしゃべり会


13:00~15:00 がん専門医によるレクチャーと質疑応答


15:00~16:00 おしゃべり会
初めての方も気軽にご参加ください。

ーーーーーーーーお知らせーーーーーーーー

がん治療の虚実ブログとして、以下のリンクで現在唯一、公式推奨早期緩和ケア施設を紹介しています。

 

早期から緩和ケア外来を受けることができる5つの方法

https://soukikanwa.jp/home/palliativecare-outpatient/

 

誰でもわかる緩和ケア情報

https://soukikanwa.jp/home/

 

早期緩和ケア外来相談

https://soukikanwa.jp/home/service/



 

ーーーがん治療の虚実のYouTube動画チャンネルーーー

 

 

2019年はさらに新規動画登録を増強します。

がん治療に絶対役立つ動画を見逃したくない人は

こちらからどうぞ

 

チャンネル登録のメリットは…

 

(1)新着動画をいち早く見ることができます。

 

(2)公開セカンドオピニオンYouTubeライブが始まったら、メールで「お知らせ」がきます。Facebookをやっていなくても、良いと言うメリットもあります。

(3)すでに見た動画が区別されますから、無駄に同じ動画を見なくてもすみます。

チャンネル登録して、是非ともこのブログを応援してください。

ーーーーメルマガのお知らせーーーー

 

------メルマガではブログに書けない事をかくことにしました。

時々、シークレット情報とブログに書けない本音を配信します。

 

世の中がん関連ニュースは多くなりましたが、偽情報だらけです。一説によるとネット情報は半分以上が不適切出という論文もあります。

そこで、がんについてのニュースピックアップと現場の専門医としての評価と、意見を書く記事も随時入れていきます。

登録時にメルマガ創刊準備号+がん患者心得集2017年4月版(PDF)をもれなくプレゼント。

バックナンバーは無く、後でさかのぼっての閲覧は不可能なので、今のうちに登録することをお勧めします。

↓↓以下のリンクからどうぞ↓↓

メールマガジン「がん治療の虚実」創刊告示

 

------2016年7月新刊紹介--------

孤独を克服するがん治療〜患者と家族のための心の処方箋〜

孤独を克服するがん治療〜患者と家族のための心の処方箋〜

1,620円

Amazon

 

がんに悩む友人へのプレゼントとしてもご活用ください。

残念ながら近日中に絶版となるかも。

(といっても絶版にならないのは、細々と買っていただけるおかげかも)

入手不可となる前にどうぞ。
---------------------------------