なぜインチキ免疫療法業者は治療成績を出せないのか?(拡散希望) | がん治療の虚実

なぜインチキ免疫療法業者は治療成績を出せないのか?(拡散希望)

前回記事

これは自費免疫療法業者のステルスマーケティングだろう

https://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-12376442051.html

に対してコメントいただきました。

----------以下一部引用----------

みゆさんよりコメント

私は、活性化自己リンパ球療法を

受けたことのある1乳癌患者

(詳細は省きますが、

あまりに転移リスクが高かったので

根治したなどとは思えたことのない、

3年経過観察して、ようやく寛解はして

サバイバーと呼べるのかも、という現況)

です。

 

3年前に免疫療法を受けるに当り、

素人なりに、かなり調べはしましたので、

先生の書かれている、

瀬田クリニックのステルスマーケティング

と私も感じました。

ので、元の記事には大いに疑問を感じますが

 

しかし、私は1患者として、

「検討するに値するような確率ではない。」

と決めるのは、医師ではないと思います。

 

瀬田クリニックはじめ免疫療法提供者には

後向き統計でもよいので、母数のはっきりした

治療実績を出して欲しいと思います。

 

それを見て、その確率でも、その費用をかけてでも、治療を受ける、という患者がいるのであれば、それは、患者の自由なのだと思います。

 

「抗がん剤の効果を免疫細胞療法の効果とばかりに宣伝に使われてしまった経験がある。」

のは問題だとは思いますが、

(私も巷に溢れる、リンパ球療法単独で固形腫瘍が縮小するとは思っていませんが)

 

・腫瘍の縮小のみを「効く」と定義する

のでなく、

ステージ4の治療の現時点の目的は

延命(癌を命に関わるほど増大させない)や

QOLの向上なわけですから、

その視点での治療実績を、抗がん剤も

免疫療法も、後向き統計で出して欲しい

 

・抗がん剤と免疫療法を併用したのであられば、

「抗がん剤だけの効果」であるとも断言出来ないと思います。

 

1患者としては、

免疫療法を、インチキと断言する前に、相乗効果としての治療効果有無を、治療実績の統計数値として、明確に出して欲しいと、

これは先生にでなく、がん拠点病院や厚労省へのお願いなのかもしれませんが、強く思います。

 

保険診療については、財源の問題もあり

データ操作の問題もあり、

難しいことは理解はしております。

(一方で、プラセボに当たることも考えると

患者としては、非人道的な手法だよなぁ、

患者にとって、命は1つなんで…

とは思いますが…)

 

自由診療の免疫療法、例えば、巷のリンパ球療法であっても、実績と副作用を明確に提示し、説明責任を果たしていただけるのであれば、

後は、患者個人の自由だと、私は思います。

 

私は藁と分かっていても、術前化学療法で、医師の指標では「効かなかった」(縮小しなかった)ハーセプチンに、標準治療で追加するものがありませんでしたから、活性化自己リンパ球を追加しました。

安心感、心の安定は得られましたので、費用対効果はさておき、私にとっての価値は、それなりにありました。

 

腫瘍縮小のエビデンスという医師の価値観以外の価値観もあるのではないでしょうか?

 

私は他人には勧めはしませんが、

自由診療、代替療法は、おまじない的な部分も含め、患者本人が納得して選択するのであれば、医師が「価値がない」と断言するものでもなく、

しかし、素人の患者には、まさにインチキな自由診療の識別が難しいので(相手は医師ですし)、

逆に、がん拠点病院などしっかりしたところで

併用療法の後向き統計も出して欲しいなぁ

と思う次第です。

ーーーーーーーーここまで引用ーーーーーーーー

 

「瀬田クリニックの治療効果・成績について」

https://www.j-immunother.com/case/record

 

ここで示された成績は、がん種や併用抗がん剤も区別されおらず、前述のように自由にデータを操作できる後ろ向き検討ですから、一般人は信じ込んでも、学会や論文では、まともに相手にされるものではありません。

 

同サイトの「手術後の再発予防効果について」

においては自己サイトカイン誘導性キラー細胞注射による、肝細胞がんの外科的治療後の再発予防の臨床試験結果を紹介しているだけです。

がん種が違ったら、全く参考にならないのはがん治療界での常識ですが、出せるデータがないので、論文引用だけでお茶を濁しているのでしょう。

この論法が通用するなら、他がん種でも再発予防効果が認められた抗がん剤は、何でも有効なことになっていますが、学会内では全くもってナンセンスな考え方です。

やはり、一般人向けに、いかにもすごいことをやっているという見せつけ方が、商売商売しているなあと感じます。

 

特に術後再発予防効果を検証するのは、実はものすごくたいへんなんです。

 

ステージ3大腸がん オキサリプラチンを含む標準的術後療法期間の短縮可能性を見極める大規模研究 ASCO2017

https://oncolo.jp/news/170617f01

 

 

この臨床試験では10年間かけて、世界12カ国、1万人以上の大腸がんステージIIIの患者さんを集めて、術後抗がん剤を6ヶ月から3ヶ月に短縮しても再発予防効果を保てるかを検証しましたが、短縮できないと結論づけています。

つまりまともな学会ではこれだけものすごい労力と時間をかけて、ようやく再発予防効果を検証しようとしているのに、一方で瀬田クリニックの文面は空虚感しかありません。

 

さらに言うと、安全性のデータ収集や検証も行われていません。

プラスアルファを求める人は多いのでしょうが、マイナスアルファの可能性は思いつかないのでしょう。

 

比較臨床試験(RCT)には外れがないと言われております。

コントロール群は標準治療、対照群は標準治療を凌駕するかもしれない新治療というのが比較試験です。プラセボ群に当たるのはいやと言っても、新規薬剤の副作用はよくわからない不気味な要素だからこそ、それを含めて臨床試験をやっています。

この世界、新薬を加えることで逆に成績が悪化するのは珍しくありません。

 

じゃあプラセボ群に当たる人にどんなメリットがあるか?

本当は、利益誘導による臨床試験登録は禁止されていますが、敢えて踏み込んで発言すると、実地診療より丁寧に診療してもらえると言うことでしょうか。

がん治療においては、一般の方にはピンとこないのでしょうが、実はかなり重要な意味を持ちます(ここでは詳述しませんが、薬剤副作用やがん進行の「不意打ち」の危険性を下げられるという意味です)。

 

治療選択の自由は、個人が持つべきであるのは当然です。

しかし、その判断の前提となる医学的根拠の虚偽に関しては厳しく警鐘していくことが、まともな医療者の責務と考え、記事にさせてもらいました。

以下は、自費免疫療法クリニック(瀬田クリニック関連)の宣伝実態です。

肝転移のある膵がん患者さんですが、本人がどうしても、免疫細胞療法を併用したいと言い、やむを得ず抗がん剤治療開始後に紹介状書きました。

 

抗がん剤治療で画像上、肝転移も原発巣も完全寛解(CR)になったと思ったら....

 

地元のローカルTV医療番組で、いきなり見たことのあるCT画像が出てびっくり!!

 

 

なぜ、免疫細胞療法のおかげで、抗がん剤の副作用が減ったという言い分がおかしいかというと、抗がん剤治療は定期的に行うも、免疫細胞療法は、3〜4か月ほど間が空くこともあって、一定しないのに、一貫して副作用は最小限に抑え込んでいたからです(でないと抗がん剤治療継続できない)。

 

しなみに、別の受け持ち膵がん患者さんから、標準治療が無効となったと、この番組を見て、免疫細胞療法を受けたいという申し出がありました。

「あの膵がん患者さんは、実は自分の受け持ち患者さんで、抗がん剤治療で効果あったのを、勝手に宣伝に使われてしまったのですよ」と説明したら呆然としていました。

同様な事態が、他の病院で行われていたかもしれないと思うと心が痛いです。

 

↓↓その事件をもっと詳しく動画で解説しました↓↓

 

 

 

 

ーーーーー参考動画ーーーーーーーー

自費がん治療クリニックのデータはどこがおかしいのか?Q&A#50

(13分3秒)

 

 

最近ではがん治療におけるエビデンス(科学的根拠)の重要性が世間的に認識されつつあります。

 

その最たるものが、各種がん治療ガイドラインです。

しかし、必ずしも治療ガイドラインに沿っていない治療を勧めてくる自費がん治療クリニックでも、ちゃんとした治療データやエビデンスがあると、自社ホームページや口頭で主張しています。

これらは本当に正しいのでしょうか?

残念ながら、患者さんや一般の方が、その真偽を判断するのは相当に困難です。そこで自費がん治療クリニックの主張する治療エビデンスのおかしなところ、虚偽に値するところを、分かりやすく説明しました。

 

 

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次回案内

◎ (第30回NPO法人宮崎がん共同勉強会東京支部会)

 

がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。

セカンドオピニオン以上に、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

 

日時:2018年6月10日(日曜日) 11:00 ~ 15:00

 

場所: NATULUCK茅場町新館 3階大会議室

東京都中央区日本橋兜町12-7 兜町第3ビル 2F

東京メトロ東西線 茅場町駅から茅場町駅 12番出口 徒歩30秒

プログラム

11:00 開場(会場準備設定含むので、自由歓談)

11:30~12:00 ミニレクチャー

「未定」

12:10~12:50 自己紹介、近況報告

13:00 ~15:00 質疑応答(Facebook、YouTubeライブ動画配信あり、ただし出席者の顔は写りません)

(今回も懇親会はありません。7月から懇親会は同時開催します)

(一部の参加者にはありますとお伝えしましたが間違いでした。すみません。)

 

※ 今回40人限定となり、事前登録が必要です。

先着順で40人に達すると自動的に終了となります。

当日予約無しで来られた場合、お断りすることがあります。


申し込み開始は5月21日からで、このブログで案内予定です。

(すみません延期しました)
 

今後の東京支部会の予定日

平成30年 7月14日 (土) 11:00〜17:00  東京都 茅場町

(2時間の会場での懇親会あり)

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◎ 第68回宮崎善仁会病院院内がんサロンは2018年6月9日土曜日13:30~
15:30です。


場所: 宮崎市新別府町江口950番地1 宮崎善仁会病院2F多目的ホール


予約不要です。

 

◎ 第98回宮崎がん共同勉強会
日時: 2018年5月26日土曜日
場所: 宮崎市新別府町船戸738-1
宮崎市郡医師会病院研修棟研修室。駐車場は病院

今回のテーマ:
「身内が、がんになる前に、家族として知っておきたかったことって何?」
11:30~13:00 患者さんだけの気軽なおしゃべり会
13:00~15:00 がん専門医によるレクチャーと質疑応答
15:00~16:00 FacebookとLINEなどを使ったスマホ勉強会をします。みん
なで教え合いましょう。
初めての方も気軽にご参加ください。

 

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残念ながら近日中に絶版となるかも。

入手不可となる前にどうぞ。
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