分子標的薬の皮膚障害③意外な盲点 | がん治療の虚実

分子標的薬の皮膚障害③意外な盲点


分子標的薬皮膚障害対策マニュアル2011
http://derma.medic.mie-u.ac.jp/doc/rashmanual1.pdf

皮膚障害はにきびのようなざ瘡様皮疹から皮膚乾燥、爪囲炎などがあるが、QOLに影響するだけでなく,特に女性の場合は外見に相当悪影響が出るので男性医師には理解できないショックを受ける場合がある。
新世代の抗がん剤としての分子標的薬はその効果と同じぐらい副作用のインパクトが強い。
なにせ薬剤によっては8割以上の発生率と皮膚障害が強く出る人ほど抗腫瘍効果が期待できるという,今までの常識を覆すジレンマがあるし、なんといっても医療側にまだ対策が十分認識されていない事に注意してほしい。

例えば以下のような事実がある。

・皮膚障害が発生しても,時間とともに軽減する場合がある(アービタックス、ベクティビックスの場合)。

症状が激しい場合は薬剤の減量が行われるが、同じ量でも時間とともに軽くなったり、ざ瘡様皮疹から皮膚乾燥、爪囲炎が主体となる場合があるので、早々に諦めない方が良い。
$がん治療の虚実-皮膚障害経過図


・ミノマイシンなどの抗生剤を使うことがあるが、皮膚障害の原因が感染である可能性は低いことは意外と知られていないケースがある。(アービタックス、ベクティビックス、イレッサの場合)

つまりこの場合の抗生剤は抗菌作用ではなく抗炎症作用が意味をなしている。
感染症が二次的に発生することがあり得るが、最初から感染対策目的でミノマイシン、ドキシサイクリン以外の抗生剤を使う医師がいるので上記の参考文献を渡して確認してもらうべき。

つづく