治療が無効になってから④情報に惑わされるな | がん治療の虚実

治療が無効になってから④情報に惑わされるな

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stage IVがん患者さんで望ましくない以下のケース

①標準治療が尽きてから慌てはじめる人。
②わらをもすがるようになんでも手当たり次第探す人
③ひたすら延命、治癒しか目にはいらない人」
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最初に追加説明を。

前回説明した標準治療というのは最も確実な治療成績が得られている治療法でもある。
そして標準治療は多くの場合初回治療のことを指す。

乳がんや大腸がんのように初回以降の治療法でも十分な臨床成績が蓄積されているものばかりではない。
その理由は以下のようなものだ。

stage IVの初回治療というくくりで患者さんを均一な集団として臨床試験に参加してもらう場合はまだいい。
しかし二次治療となると患者さんの状況が相当ばらけるため抗がん剤のパワーを調べるのは容易ではない。

というのは初回治療を早く諦めた方が二次治療の抗がん剤は奏功する余地が出てくるが、初回治療をぎりぎりまで引っ張ると二次治療を行う事さえおぼつかないことが起こりえる。

その判断基準は主治医や患者さん本人に意向に左右されるので二次治療の抗がん剤が本当に延命効果があるかを証明するのは非常に困難なのだ。

以前記事にしたが、日本ではメジャーな胃がんでさえ二次治療で本当に延命効果が正式に証明されている(エビデンスレベル2以上)臨床試験はない(もうすぐ出るはずではあるが)。

そういった意味で初回標準治療の効いている期間の大事さがわかる。

さて②の手当たり次第探す人はインターネットの発達した今、玉石混交の情報に圧倒される運命にある。
どの情報が信頼できるか見分ける力がないと人生の終末期にもっと困ったことになる。

その理由は以下に記載した。

エビデンスとは(再挑戦)⑪簡単な判断基準
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-11055561522.html
~・まずその情報は理論による推測か事実なのか→事実を優先すべき、など~

氾濫する医学情報に惑わされて貴重な時間をつぶすことほど残念なことはない。
それを避けるための最低限の情報としてガイドラインが整備されつつはあるが。

がん診療ガイドライン
http://www.jsco-cpg.jp/top.html

<良質な診療ガイドラインとは、それを用いて診療することにより、当該時点において最良の患者アウトカム(診療を受けた結果としての健康状態)が期待できるものである。>序文より引用