分子標的薬の皮膚障害①対策マニュアル | がん治療の虚実

分子標的薬の皮膚障害①対策マニュアル

予定を変更して有用書籍(記事)を紹介する。
最近グルっぽでの質問や実臨床で喫緊の問題になっている皮膚障害の事だ。

従来の抗がん剤では有害事象としての皮膚障害は抗がん剤の減量、中止しか対策しかなかったに等しかった。

しかし最近脚光を浴びている分子標的薬は戦略を変える必要が出てきた。

というのは分子標的薬の薬効ターゲット自体が皮膚組織内にもあるため、皮膚障害が強く出る傾向があるからだ。
しかも皮疹が強いほど抗腫瘍効果も出る傾向の薬剤も多い(ネクサバール、アービタックス、タルセバ、スーテントなど)。
イレッサなどその証拠がない薬剤もあるが、効果があっても皮膚障害で継続できなければ予後は短くなるのは容易に想像できる。

非常に問題なのは癌治療専門医もこれら新規分子標的薬の勉強はしていても、皮膚障害の包括的な管理については疎い事が多いという事だ。

なぜかというと、皮膚障害の副作用イコール抗がん剤の減量と言う常識が通用せず、皮膚科専門医や看護師らの協力を得ながら、うまく皮膚障害をコントロールする事が治療継続につながると言う概念が出現したからだ。

残念ながらこの事をしっかり理解している癌治療医ばかりではない。

自分の命に関わる事なので患者さん自身が積極的に訴え、主治医を啓蒙していく必要が出てきたとも言える。
幸いインターネットの発展で容易に医学情報が得られるようになった。

以下に主な分子標的薬による皮膚障害対策のいい資料が出ていたので、そのリンクを添付しておく。

分子標的薬皮膚障害対策マニュアル2011
http://derma.medic.mie-u.ac.jp/doc/rashmanual1.pdf

プリントして御自身の通院中の主治医や看護師に渡す事をお勧めする。

次回もう少し解説する。