HIFU(ハイフ)の即効性?? | 美容外科開業医の独り言

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当院の予約が大変混雑しており、ご迷惑をおかけしております。完全予約制であり、またクリニックの感染対策もあり、無理に予約を詰め込むことはしておりません。そのため予約システムに限界が生じており、当面は初診の予約枠を減らして対応しております。ご了承ください。

 

さて、

最近、ハイフが巷では大流行のようです。ハイフはHIFU、High Intensity Focused Ultrasound つまり高密度焦点式超音波機器のことを指します。機器名ではなく、一つの機構・メカニックです。

なにやら最新の機器のように言われていますが、たるみ治療機としては2008年頃から使われています。もうスタンダードな機器として定着しています。代表的な機器がウルセラで、当院では日本で最初に導入しています(販売機器としては世界で最初です:密かな自慢)。

ウルセラはHIFUですよ!!

 

つまり私自身はハイフ(HIFU)の使用歴が13年ほどになります。「最新の治療器ハイフ!」と聞くと、ずっこけてしまいます。。。。

 

最近では韓国製の安価なグレードのHIFUが多数登場し、痛みの少なさや医療機関側の導入の容易さ、様々な独自機能の搭載など、使いやすさや効果に多様性が出てきて、急速に普及しています。当院でも今まで5台のHIFUを使用してきており、現在でも3台を使い分けています(ウルセラ、ウルトラセルQプラス、リフテラV)。

 

HIFUを照射すると、点状もしくは線状に皮膚や皮下、SMAS(筋膜)が熱ダメージを受けて、その治癒過程によってしっかりとした組織(コラーゲンなど)を再構築します。

当然ですが治療時の痛みの強い機器ほどダメージが大きく、再生力も大きくなり、結果的に効果が高くなります。さらに痛みの少ない機器は持続が短いものです。

痛みと気軽さやリスクの少なさなどを考えて、ご自身に合った機器を選択すると満足度が高くなります。

 

さて、HIFUを照射するとコラーゲンが再構築されて効果が出ると書きましたが、その効果はいつ発現するのでしょうか。

HIFU照射直後に肌を触るとパンと張った感じがします。特に若い人ではそれが分かりやすいでしょう。浅い層を重点的に照射する、もしくは安価な機器ほど直後の状態は良くなります。「HIFUは凄い、照射直後から効果が実感できる!」と喜んでも良いのでしょうか。

これは皮膚内のコラーゲンを含む層(真皮やその直下)が熱ダメージを受けて、コラーゲンの構造的特性から一次収縮という即時性の縮む効果が出るという側面がありますが、ハイフの多くの機器はそこまで熱作用が強くはなく、大半は軽い炎症によるものです。もちろん照射直後に爆発的にコラーゲンが増えて、その日からコラーゲン増加なんて事は100%あり得ません。

そのため持続期間は短く、2週間ほどで収まってしまいます。

 

「HIFUを受けて効果は実感できたけど、直後から2〜3週間程度の持続だったので、また今月も治療したい。。。。」

このような希望をされる場合には、上記の理由をよく理解してから再治療を受けることをお勧めします。

当院においても一番軽い機器はダメージも少ないので、毎月(無制限ではありません)でも希望なら実施していますし、微小な損傷の積み重ねで加齢の予防的意味合いもありますので、適切な間隔と回数を守れば問題ないとは考えています。

 

本来のHIFUの効果はコラーゲンの損傷から再構築&二次収縮に至る3〜12週間で生じるものです(機器によって発現までの期間は異なります)。

 

昨今の、「HIFUは即効性がある最新の機器」という医学的に根拠のない情報に対して、専門家として少し警鐘を鳴らしたいと思います。

 

若い人がSNSに踊らされて、20歳頃からたるんでいると悩み、HIFUを受けるというのは甚だ疑問です(たるみではなく、輪郭を変えたいからHIFUというのであればウルトラセルのリニアタイプという治療選択肢はあります)。

 

若い人はたるんでませんから。。。。

そういう顔貌(大人の顔になった)なだけ、ですから。。。。

 

即効性というものの意味について理解して頂きたいと思い、今回のブログを書きました。

 

HIFUは良い機械です。しかしたるみの機器治療において万能ではありません。サーマクールやテノール(アクセント)、スムースリフト、Nd:YAGレーザー、近赤外線光などなど、それぞれの機器の特徴もあります。きちんとこれらを理解してHIFUを選択するべきであり、また医師側も商業主義に走りすぎないで、もっと正しい情報発信に務めて頂きたいと切に思います。