レーザートーニングの功罪 | 美容外科開業医の独り言

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最近、レーザートーニングをしてほしいと来院する患者様が増えています。

トーニング治療をするとシミやくすみが綺麗に取れるし、かさぶたも殆どできないと聞いたという事を仰います。

しかし魔法のような治療法ではありません。そもそもは肝斑というレーザー治療が難しいシミの一種に対してタイのNiwat Polnikorn先生が考案された手法で、今ではアジア中で広くおこなわれています。我が国でも広く普及していますが、大きな問題も起こっています。夢の治療のように宣伝し、商業的に適応を考えずに頻繁に照射をおこなっていくクリニックが一部にあり、トラブルを起こしています。色素が抜けすぎてしまう例や肝斑悪化例など。

どのような治療でも副作用・合併症はあり、色素が抜けることがあるから間違った治療法というわけではありません。ヒアルロン酸でも皮膚が壊死することはありますが、危険だから注射は駄目ということはありません。治療そのものが悪である場合は別ですが、このようなトラブルを起こさないよう施術者は勉強をして研鑽をするべきなのです。手法によって回避できるのであれば(もちろんゼロということはないでしょうが)、用いても良い手法になります。

今問題になっているのは、肝斑でもない人、殆どシミのないような若い人に対してまともな診断もせず、トーニング治療を宣伝して何でもかんでも実施してしまう、そのあげくにトラブルを生じているようなケースです。

 

確かにトーニングはシミなどを含めた一通りの肌のメラニン系の異常に対して有効であり、多発するシミなどが薄くなることもあります。私自身はピコトリプルと称してピコ秒レーザーの治療法の中に組み込んでいます。また肝斑に関しても効果を発揮します。

しかしながら、商業的な治療ではトラブルも生じます。適応をしっかりと見極め、治療の優先順位(内服や外用など)を考え、治療間隔を守り、適切な出力で正しく照射する、これを守ってこそのトーニング治療です。

私はレーザートーニング賛成派かつ慎重派です。昨今のあまりに商業主義的な照射には警鐘を鳴らさなければいけないと思います。

「正しいレーザートーニング治療を普及させる会」でも結成しようかな。