顔面のたるみ治療には靱帯を考慮するべき | 美容外科開業医の独り言

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美容医療とは人間愛!という信念で仕事をしている美容外科医のブログです。
レーザーなど最新の美容情報や普段の診療で感じたことなど、ぼやきを交えながら書いていきます。
外見だけではなく心も綺麗になり、自信が湧いて幸せになれる、そんな美容医療を目指しています。

さてさて、前回の続編です。
顔のたるみというと、殆どの方は「皮膚が伸びている」、「脂肪が落ちている」とだけ考えて,皮膚さえ引き上げれば若返ると考えがちです。実際には骨の萎縮などボリュームの変化も補わないと若い顔には見えません。ただ引っ張っただけの顔にしかならないのです。もちろん手術とは違って、レーザーや高周波、超音波などの機械でそんな作ったような顔にはなり得ませんが、基本的な考えとして皮膚の引き締めだけではなく、内部容積の補填は常に考える必要があります。

そして前回ブログで書いたように、ボリュームを補って単に膨らませるだけでは時代遅れの治療です。それと同時に、支持靱帯の固定によるリフトアップ効果を得るように注入する事が今できる最新の注入手法になります。

 

当院ではヒアルロン酸などの注入に加えて,機器を上手く用いて、容量補填と引き上げ、皮膚の引き締め効果を同時に得られるようにしています。

 

その上でもっと効果を求めるのであれば、糸を用いたリフトアップ:スレッドリフトをおこないます。

糸は引っ張って持ち上げるような印象をお持ちの方が多いと思います。事実、棘のついた糸で皮膚の裏側や脂肪を引っかけて、ぐいっと上外方へと引っ張り固定する手法が一般的です。

もちろんそのような手法も用いますが、最近当院で主におこなっているのは引っ張らない手法です。棘のない糸を埋め込みます。そんなので顔は引き上がらないと思うかもしれません。しかし顔の脂肪は2つの層に分かれており、その加齢によるたるみ・ずれを修正してあげるように、2つの層にまたがって、まつり縫いをしながら縦横に「網目状に」入れて固定すると頬や顎のラインの脂肪はずり落ちなくなります。本来、顔の浅い層の脂肪組織は幾つかの隔壁に区切られています。それを意識して固定しすることで外へ引き上げるのではなく、下から上へと持ち上げるように固定できます。

さらに重要な事は支持靱帯です。骨から皮膚までを貫き、顔の皮膚を下がらないように固定している靱帯(真性と偽性があります)を糸で補強、固定することができます。マリオネットラインや頬のゴルゴ線,ほうれい線などにのしかかっている脂肪・皮膚を引き上げることが可能となります。この靱帯補強・固定法は学会等で公開はしていない手法ですが、患者様の評判がすこぶる良く、最近頻用しています。

 

国内外の情報収集と自身のアイデアで、当院でしかできないたるみ治療の手技をより発展させていき、患者満足度を高めていこうと常に思っています。

 

時代は機器治療から注入や糸による治療の複合へと移行しています。機器だけで美容医療を完結させることは不可能です。本当に機器のことを理解している医師ほど機器の限界も分かっていますし、機器のプロは注入やスレッドリフトのプロであることも多いものです。

 

患者様にとっても、機器単独で満足度を得ることも可能ですが、それ以外の手法も1度検討頂ければと思います。