頬たるみの引き締め治療器:イージスYAGの新適応 | 美容外科開業医の独り言

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以前からテストしていた顔のたるみ治療、いよいよ本格的にクリニックで開始します。

今までも局所のしわ対策で実施していたイージスYAGという機器を頬全体に照射することで、たるんだ皮膚を引き上げます。いわゆるSkin-tightening機器に分類されます。
ダウンタイムは原則としてありません。1ヶ月ごとに3回ほどの治療となります。効果持続は半年程度なので、以後は半年ごとに1回をメンテナンスとして実施することをお勧めします。
治療費は両頬で1回5万円(税別)ですが、この費用は数ヶ月の暫定です(待ってもこれ以上安くなることはありません)。

モニターでの安全性と効果を確認するのに時間がかかりました。
その最大の理由は、効果発現に3ヶ月を要するためです。

従来の機器は軽度の腫れ・炎症によるコラーゲン組織の膨化などが即効性につながりました(いわゆる短期的な改善であり、時間経過で元に戻る)が、本来はじっくりとコラーゲンやエラスチンなどが増加して、皮膚を作り替え、肌本来の引き締め効果を得るのが正しい機序です。今までもウルセラシステムなどは同じ理由で効果発現に時間がかかりましたが、内部深層での「焼け感」が張りを自覚するのにつながり、長期的に効果が出る前から何となく効果を自覚されました。しかし今回の施術は治療直後から腫れもなく不必要なダメージを与えない分だけ、本質的な効果発現までの間はただひたすら待つしかありません。

しかし、人の体においてコラーゲンを増やすには現在のところ直接的には「焼く」つまり熱を与えるしかありません。その熱によってダメージを受けた組織が、傷を治す力によって徐々に再構築されていきます。ケガした時に傷跡が正常化するには数ヶ月かかることで分かると思いますが、その過程は時間を要するのです。逆に言えば、今回の機器施術は人体の生理的なコラーゲン増加作用に沿ったものです。施術後の腫れなどを生じずに、人体本来の力でたるみを改善していくイージスYAGの特徴をたるみに応用したものです。
今までは目尻や目の下などの局所が主たる治療部位でした。海外の学会でもこれらは発表され、もうすぐ英語論文も出来ると思うのですが、皮膚の薄く繊細な部位であれば、効果は比較的早くに発現します。僅かな変化でも自覚されるため1ヶ月後には効果は出てくるのです。
しかし今回のように頬全体の範囲となると、ある程度しっかり引き上げ効果が出るには3ヶ月が必要です。
イージス
3回施術後5ヶ月!の状態です。

サーマクールやその他の機器との使い分けですが、結果を急がず、本質的な変化を得たい人向けの機器となります。具体的な変化は、頬がこけることなく痩せたような締まり感を生じます。ぎゅっと引き締まるような感じです。友人などからは「痩せた?」と言われることが多いようです。自然な変化です。

これでイージスYAGは局所の「レーザーフィラー」としてのシワ改善目的だけではなく、頬全域での引き締め・引き上げ目的でも用いる事が出来る機器になりました。局所と全体の治療が可能なたるみ治療機です。

実はまだまだ様々な分野への応用が期待されています。また海外から機器に関する問い合わせも頂いており、今後上手くいけばGlobalに展開されていくかもしれません。

これらの話しを、来月初めに開催される医師向けセミナーでも講演予定。かなりの人数が参加されるようなので楽しみです。ドクターの反応は如何に?