治療費と効果 | 美容外科開業医の独り言

美容外科開業医の独り言

美容医療とは人間愛!という信念で仕事をしている美容外科医のブログです。
レーザーなど最新の美容情報や普段の診療で感じたことなど、ぼやきを交えながら書いていきます。
外見だけではなく心も綺麗になり、自信が湧いて幸せになれる、そんな美容医療を目指しています。

少し前のブログ「自分にぴったりの治療をするには」で、ワインの好みやソムリエ=医師などの話を書きました。今回は治療費について書いてみたいと思います。
ただ、お断りしておきますが、私は特にワイン通というわけでもありません。ある程度のことは分かりますが、医師仲間で飲むときは詳しい先生方にお任せしています。そんな程度のおっさんが思ったことを書いていますので、あまり詳しい内容のツッコミはしないで下さい。

さて、ワインというのは1000円程度の物もあれば何万円もする物もあります。よく芸能人格付けなどのバラエティ番組でブラインドにてどっちが高級ワインか当てる企画がありますが、有名な人でも結構外してます。それだけ味の好みは値段に左右されない証でもあります。
美容医療においても、高い治療が絶対に良いとは限りません。治療をお受けになる人にとって心地よいもの、満足度が高いものであればそれで良いのだと思います。高いから凄い、必ずしもそうではありません。
もちろん費用が高い治療にはそれなりの理由があります。多くの場合、治療費は消耗品や機器本体の値段が反映されます。ワインの製造にかかる材料・手間やコストなどと同じでしょう。客観的、プロの目から見れば高級ワインにはもちろん歴然とした差があります。しかし素人からはその判断は難しい事があるのも事実です。美容医療も同じ事が言えます。慣れた患者様から見れば、同じクリニック内での治療費の違いは効果の違いに直結する部分もあります。
しかし、ワインの価格同様、10倍の費用差があるから効果も10倍の差があるということはありません。。。。

また同じワインでもレストランによって価格が異なると思います。これはお店の格やサービスの度合い、ソムリエがいるのかどうか、そのソムリエのアドバイスや美味しく飲めるための保存状態、テクニックなど実に様々な要素があると思います。美容医療も同じで、医師がろくに診察もせずに看護師が実施する、最適な設定で時間をかけて実施する、事前に相談してベストな選択をする、などなど医療側の技術料やかける手間・時間・経験の差、施術者が誰かなどによって違いがあって当然です。

現実にはありませんが、安い居酒屋で何十万円もするワインを注文しても美味しく飲ませてくれることを期待するのは難しいでしょうし、高級レストランで数百円のワインを飲むのも本来のソムリエの腕を発揮するという意味では勿体ない話です(もちろん最大限のことはしてくれると思いますが)。
また、居酒屋では赤ワインといったらお店にある相応のワインのみで銘柄指定などはできない事も多いですし、高級レストランでは美味しいワインをソムリエと相談しながら選んでいく、そして好みに合わせるという楽しみもあるでしょう。
また同じボルドーでもピンキリです。居酒屋のボルドーと高級レストランのボルドー、同じボルドーだから中身も同じで安い方が素晴らしいという訳ではありません。沢山の銘柄があります。逆にボルドーならそれで良いという人もいて当然です。

美容医療においても、看護師主体で安価に大量の患者様を施術する所と、医師一人がきちんと診察して治療まで責任を持って実施する所では主役となる治療法に違いがありますし、同じもので比較するのは酷です。それぞれに合った治療方針、治療法を選択すれば、どっちが良い悪いではないのです。
また同じ「レーザー」(上述のボルドーをレーザーで置き換えてみて下さい)でも機種によって、手法によって効果に違いがあるものなのです。何が好みかは患者様次第。

しかし現実には美容医療では、居酒屋と高級レストランのワインを並べて優劣をつけようとするのと同じく、技術やその他諸々のことを考慮せず、また類似するものは全く同じものとして比較検討しようとする患者様がいるのも事実です。

案外、ワインと美容医療って通じるものあり、そう感じます。
私ももっとワインの勉強をしなければ。。。。