たるみの治療機器の選択 | 美容外科開業医の独り言

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先日から痛みの少ないサーマクールCPTを導入し、たるみ治療の方針がかなり変わってきました。
今まではサーマクールは痛いけどしっかり結果を出したいという人向けだったのですが、痛みという面が解消されたために、これを選択基準にすることが不要となりました。もっと普遍的になったというか、広く勧められる治療になりました。


当院にはたるみ治療機器として、サーマクールCPT、ウルセラシステム、リファーム・トリニティ、ジェントルヤグ、テノールがあります。
これをどう使い分けていくのかというのは非常に難しい部分もあります。
痛み無く、気楽にという場合はテノールとリファーム、ジェントルヤグのソフトな施術(ジェネシスと同様)になりますが、テノールはリンパや代謝に影響を与え、引き上げというよりも張り感、調子の良さをメインに考えた長期的予防を兼ねた治療で、定期的に継続していきます。綺麗に年を取っていきましょうというイメージです。
一方リファームは痛みが無く、引き締め効果を得られる機械ですが、持続性は他の機種に劣ります。予防的というよりも効果を維持させるための継続治療になります。もう少し皺にダイレクトに効かせたい、効果の持続を高めたいという場合はリファームを含めた複合治療トリニティを選択します。これはちょっと痛みが生じます。
ジェントルヤグはレーザーのシャワーとも称され、マシンガンのように1000発以上照射をします。暖かさを感じる程度の施術ですが、肌のもっちり感、張り感を感じる治療で、やはり効果持続が長くはなく反復が必要です。
痛みがある治療としてのジェントルヤグ照射方法もあり、これはバズーカのようにズドンと強い照射を行い、コラーゲンに熱を加えて引き締めを促します。

しっかりした引き上げとしてはウルセラシステムとサーマクールがあります。ウルセラシステムは米国で唯一リフトという言葉で承認を得ている機械で、その根拠として皮膚よりも深い部分への作用があるというものです。顔の組織を支えている筋膜、筋にダイレクトに作用するため、結果としてポニーテールをしたような印象を与えます。頬全体も中から引き締めますので、本当の意味でのたるみ治療と言えます。欠点は痛みと、その作用発現に数ヶ月かかることです。以前よりは早く結果が出るように照射方法に工夫はされてきましたが、他の機種と比較すると緩徐であり、じわじわ効いてきます。
サーマクールは引き上げ効果よりも引き締め効果が強く、これはスキンタイトニングという表現をしています。頬がぎゅっと引き締まります。フェイスラインには一番効果がある機器です。以前は痛みが強くそれ相当の覚悟をしていただいたのですが、今の機種サーマクールCPTは痛みに関してかなり改善されており、その面では気楽に受けていただけます。もう旧型とは別次元であり、旧型を選択するのは価格面だけしかメリットがないかもしれません。
サーマクールとウルセラシステムはそれぞれ1~2回の治療で終了し、1年ほど効果持続するというのがメリットです。

但し、機械で出せる効果は限定的であり、手術のようにはいきません。その代わり皮膚質を含めた全体の改善が得られることがメリットでもあります。
メスは入れたくないけど機械の効果では納得できないという人には注入剤を使う手法があります。特に法令線では機械よりも注入の方が良い結果が得られますし、頬の張りや顎の引き締め効果を出すのにはレディエッセ注入は優れています。但し無理はできません。小じわに対してなどヒアルロン酸やコラーゲンのような微調整ができない手法です(注入手技を誤ってのトラブルケースが幾つか報告されています)。

様々な方法が登場してきた現在、患者様のニーズに合うものを選択できるようになったと言えます。もう1種類の機器だけでたるみ治療ができますよとは言えない時代なのかもしれません。