広島平和宣言 2009 / 1974併載とインド核実験 | 安芸もみじ / Photos, Historys, Trains - Hiroshima JAPAN

広島平和宣言 2009 / 1974併載とインド核実験

被爆2世が語る平和記念日と世界史シリーズ


2009(平成20)年の「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」は父の名前が納められた、特別な広島平和記念式典となりました。


母も被爆者ですが、現在の生存の安否は分かりませんが、息災であればいいなと思います。


そして、これまでにソビエト連邦や中国の他、イギリスやフランスの初核実験の時の広島平和宣言を併載してきました。


今年は6ヶ国目の核保有国となったインドが、初核実験を成功させた1974(昭和49)年の平和宣言を併載します。


インドの核実験は1974(昭和49)年5月18日に成功し、この核実験はそのコードネームから″微笑むブッダ ″と呼ばれています。


微笑むブッダの由来は、各兵器の平和利用を目的としていることから命名され、「平和的核爆発」が名目となっています。


平和利用の平和的核爆発とは、核爆発であってもそれは巨大な発破であると定義し、土木工事や採掘などに限定して利用することです。


インドのインディラ・ガンディー首相は、国内で賛否両論だった平和的核爆発に対して1972(昭和47)年9月7日、ムンバイ近郊のトロンベイにあるバーバ原子核研究センターで、物理学者たちに核実験の許可を与えました。


核実験装置の開発責任者はラジャ・ラマナで、機密保持のため開発チームは75名ほどの少数の科学者・技術者で構成されました。


各爆弾の威力はその解放エネルギーによる甚大な爆発力にありますが、問題なのはその後の放射能汚染です。


またそれを保有していることのよる、″核抑止力″ならぬ核による脅迫″は、新たな国際紛争の火種となります。


核保有国が増えるに従って流出の危険も上がり、小型ならば街を破壊までできなくとも、テロには使い勝手の良い″道具″となります。


現在、各兵器の平和利用は国際法で認められておらず、平和的核爆発は禁止となっていますが、一度手にした各兵器は永遠の至宝として近隣諸国だけでなく、世界中の国々への脅迫と言う伝家の宝刀と化します。





広島平和宣言 2009


人類絶滅兵器・原子爆弾が広島市民の上に投下されてから64年、どんな言葉を使っても言い尽せない被爆者の苦しみは今でも続いています。


64年前の放射線が未だに身体を蝕み、64年前の記憶が昨日のことのように蘇り続けるからです。


幸いなことに、被爆体験の重みは法的にも支えられています。


原爆の人体への影響が未だに解明されていない事実を謙虚に受け止めた勇気ある司法判断がその好例です。


日本国政府は「黒い雨降雨地域」や海外の被爆者も含め高齢化した被爆者の実態に即した援護策を充実すると共に、今こそ省庁の壁を取り払い「こんな思いを他の誰にもさせてはならぬ」という被爆者たちの悲願を実現するため、2020年までの核兵器廃絶運動の旗手として世界をリードすべきです。


今年4月には米国のオバマ大統領がプラハで「核兵器を使った唯一の国として」、「核兵器のない世界」実現のために努力する「道義的責任」があることを明言しました。


核兵器の廃絶は、被爆者のみならず世界の大多数の市民並びに国々の声であり、その声にオバマ大統領が耳を傾けたことは「廃絶されることにしか意味のない核兵器」の位置付けを確固たるものにしました。


それに応えて私たちには、オバマ大統領を支持し、核兵器廃絶のために活動する責任があります。


この点を強調するため、世界の多数派である私たち自身を「オバマジョリティー」と呼び、力を合せて2020年までに核兵器の廃絶を実現しようと世界に呼び掛けます。


その思いは、世界的評価がますます高まる日本国憲法に凝縮されています。


全世界からの加盟都市が3,000を超えた平和市長会議では「2020ビジョン」を具体化した「ヒロシマ・ナガサキ議定書」を、来年のNPT再検討会議で採択して貰うため全力疾走しています。


採択後の筋書は、核実験を強行した北朝鮮等、全ての国における核兵器取得・配備の即時停止、核保有国・疑惑国等の首脳の被爆地訪問、国連軍縮特別総会の早期開催、2015年までの核兵器禁止条約締結を目指す交渉開始、そして、2020年までの全ての核兵器廃絶を想定しています。


明日から長崎市で開かれる平和市長会議の総会で、さらに詳細な計画を策定します。


2020年が大切なのは、一人でも多くの被爆者と共に核兵器の廃絶される日を迎えたいからですし、また私たちの世代が核兵器を廃絶しなければ、次の世代への最低限の責任さえ果したことにはならないからです。


核兵器廃絶を視野に入れ積極的な活動を始めたグローバル・ゼロや核不拡散・核軍縮に関する国際委員会等、世界的影響力を持つ人々にも、2020年を目指す輪に加わって頂きたいと願っています。


対人地雷の禁止、グラミン銀行による貧困からの解放、温暖化の防止等、大多数の世界市民の意思を尊重し市民の力で問題を解決する地球規模の民主主義が今、正に発芽しつつあります。


その芽を伸ばし、さらに大きな問題を解決するためには、国連の中にこれら市民の声が直接届く仕組みを創る必要があります。


例えば、これまで戦争等の大きな悲劇を体験してきた都市100、そして、人口の多い都市100、計200都市からなる国連の下院を創設し、現在の国連総会を上院とすることも一案です。


被爆64周年の平和記念式典に当り、私たちは原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げ、長崎市と共に、また世界の多数派の市民そして国々と共に、核兵器のない世界実現のため渾身の力を振り絞ることをここに誓います。


最後に、英語で世界に呼び掛けます。


We have the power. We have the responsibility. And we are the Obamajority.Together, we can abolish nuclear weapons. Yes, we can.

(私たちには力があります。私たちには責任があります。そして、私たちはオバマジョリティーです。力を合せれば核兵器は廃絶できます。絶対にできます)


2009(平成21)年8月6日

広島市長 秋葉 忠利






広島平和宣言 1974


本日、ここに、29回目の原爆記念日を迎えた。


相つぐ核実験と核兵器の拡散というまことに憂慮すべき世界情勢にあるこのとき、アメリカ、ソ連、中国、フランス、イギリス、インドなどの核保有国に対し、広島市民を代表して強く抗議し、警告する。


核実験を即時、全面禁止し、核兵器を速やかに廃絶せよ。


世界政治をリードする米・ソ両大国は、その新しい政治外交戦略として、開発途上国に核の供与を策し、自国の勢力拡大をはかるとともに、核の拡散を助長しつつある。


この際、特に、警戒すべきことは、核兵器が次第に小型化し、開発途上国にいたるまで核兵器を通常兵器として所有する可能性が強まってきたことである。


これは、局地戦争において、核兵器が容易に使用できることを意味するものであり、恐るべき新たな現実といわなければならない。


核均衡の理論や、自衛の名のもとに、核の拡散が急速に進むことは、まさに人類の自殺的破滅への道である。


いまや、真の危機が迫ってきた。


われわれは、危険な核拡散の進行を断固阻止するために、国連において、核保有国のすべてを含む緊急国際会議を開き、核兵器の全面禁止協定の早期成立に努めるよう提唱する。


同時に、また、日本政府に対し、核拡散防止条約の速やかなる批准を求める。


ヒロシマを繰り返すな”われわれは、核保有国に対し、また核保有を志向しつつある中小諸国に対し、かさねてこのことを警告してやまない。


いまこそ、われわれ人類は、一つの世界に生きる運命共同体であることを深く認識し、世界市民意識にもとずく地球共同社会の創造に邁進しなければならない。


これこそが、ゆるぎなき人類の恒久平和を確立する基盤である。


原爆犠牲者の御霊の前に、われわれの平和への誓いを新たにし、全市民の名において、このことを強く内外に訴える。


1974(昭和49)年8月6日

広島市長 山田 節男




にほんブログ村 歴史ブログへ
広島ブログ
Please follow the blogxTranslated profile page