381系 特急やくも XXVI / 岡山駅での転線 | 安芸もみじ / Photos, Historys, Trains - Hiroshima JAPAN

381系 特急やくも XXVI / 岡山駅での転線


引退迫る381系 国鉄型特急電車。

岡山駅へ到着した特急やくも18号、そして東引上4番線で転線して、特急やくも19号として2番ホームへ入線する381系です。

こういった姿も、もう見納めとなるんだと思うと、やはり寂しさが募ります。

時は5月、皐月の初夏はパワフルでエネルギッシュになる季節ですが、心の隙間にに秋風が吹き込むような、そんな一抹の哀しさを伴います。




突然ですが、平家物語と言えば京都 六波羅・宮島 厳島神社・関門海峡が特に強いイメージとして、思い起こされるのではないでしょうか。

しかし岡山県 倉敷市にも源平合戦の有名な古戦場があり、残念ながら水島臨海鉄道では訪れ辛いのですが、水島古戦場跡があります。

平家物語と言えば「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を現はす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢の如し。猛き者も遂には滅びぬ、偏ひとへに風の前の塵に同じ」。

平家物語 第1巻 初章 祇園精舎の冒頭ですが、祇園精舎の鐘の音には、この世のすべては絶えず変化していくものだという、その響きが含まれているとの語り出しです。




すなわち「時は移ろい 形あるものはすべて崩れ逝く」との自然の営みを、詩的に語り綴った文面です。

この長い文面を現す短い四文字熟語があり、それが″空即是色″なんですが、般若心経の一文にもなっているので、知っている方も多いのではないでしょうか。

さてここで平家物語を引っぱり出したのは、この形あるものは必ず失われると言う真理が、今の381系電車にピッタリとはまるなぁと。

151系 国鉄形特急電車は1958(昭和33)年11月1日デビューですが、381系 国鉄形特急電車は1973(昭和48)年7月10日デビューなので、みんな私よりも年下になります。




東海道新幹線が開業した年に生まれて、ヨンサントオダイヤ改正の時代を経て、物心ついた頃には国鉄特急全盛時代。

国鉄解体とJRグループ誕生を迎えて約35年、今、万感の想いを胸に最後の国鉄型特急電車を見送ります。

空即是色••••••••祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

まだ定期運用からの引退まで時間があった頃には「兵共が夢の跡」的な心境でしたが、こうして直前に迫ると、生きてきたことへの侘しさと重なって見えてきます。





鉄道車両は単なるマシンに過ぎないので、そこに感情や思い入れなどは勿論、持ち合わせていない無機質な存在です。

でもそれを取り巻く空間には、旅立った人、見送った人、職業とした人、泣いた人、笑った人、辛かったこと、悲しかったこと、嬉しかったこと、楽しかったこと。

人が乗るものだから、人の思いとずっと一緒に歩んできた存在です。

国鉄特急電車が誕生して約66年、これまでに携わった総ての人々の想いを乗せて、定期運用終了まで残す日々を、事故も無く災害も無くトラブルや事件も無く、どうか「ご安全に」。

2000年の愛と共にあらんことを。




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