備後庄原駅 / マイレールを守る旗印の駅 | 安芸もみじ / Photos, Historys, Trains - Hiroshima JAPAN

備後庄原駅 / マイレールを守る旗印の駅

-芸備線と維持困難路線・その17-

昨年12月に運転された 快速 庄原ライナーに乗って、備後庄原駅まで行きました。

今回はその時に撮影した駅舎と周辺の景観をUPします。

撮影した写真の枚数は少な目なものの、1回の記事でUPするにはやはり多めで、いつもより長い記事となっています。



私のブログは基本的に、鉄道ファンではない方々も多いので、歴史や郷土史などを流し読みできるように文章を起こしていますが、今回は読むにやや面倒臭いカモ知れません。

さて 快速庄原ライナーですが、普段は三次~広島間を結ぶ 快速 三次ライナー として運転されている列車を、庄原まで区間延長することで運転されます。

前提なき協議路線の筆頭として扱われている芸備線ですが、前提なき協議とは ことばを言い換えると 廃線前提とも受け取れます。



これはJR西日本からすれば「廃止ありきではないが視野に入れて話し合いましょう」という、一種の置換表現なことは間違いありません。

沿線地元の要望で運行される庄原ライナーですが、春の上野公園桜まつりの際やゴールデンウイークには運転されず、広島市内の住民からしても、もう少し使い勝手の良い日程で運行設定をして欲しく望んでいます。

事実、現在は高速バスの運賃よりも、芸備線の運賃の方が安く、車内のキャパシティの広さやトイレがあるなど、鉄道有利な条件は揃っています。



広島~備後庄原間で快速列車だと、所要時間も鉄道の方が速く、なぜもっと力を入れないのか不思議でなりません。

ただ、沿線利用者からは定期的に臨時快速が走るのなら、その分 普通列車が削減されて、ただでさえ本数が少ないのに生活が困ると言った声もあります。

ここにJR西日本の赤字ローカル線への本心が隠れていて、今更 利便性を上げようとは考えていないのではないか?との危惧が、沿線自治体にはあります。



そんな状態での協議会ですから、なかなか話し合いが進む訳でもなく、今もって硬直状態が継続している次第です。

ただ、昨年末の庄原ライナーはダイヤを新しく引いて設定されており、新幹線からの乗り換えよりも広島市~庄原市間の利便性に特化した列車となっていました。

また、今年のダイヤ改正では広島~三次間の快速列車が増便されたり、その態度で沿線自治体の懸念を払拭しようと、JR西日本も答えを模索しています。



ところで、備後庄原駅は広島駅から延伸されて芸備鉄道が開業させた駅で、備後庄原~備後落合間は庄原線として、備中神代~備後落合間は三神線として、鉄道省により建設されました 。


備中神代~新見間は伯備線を走行して、新見~広島間が全通したのは1936(昭和11)年10月10日で、翌1937(昭和12)年7月1日には芸備鉄道が買収され芸備線となりまた。


第二次世界大戦前と戦後の一時期には、姫新線と一体のダイヤが組まれ、姫路~広島間の直通列車も、複数往復が設定されていました。




年を追うと、1923(大正12)年12月8日、芸備鉄道が塩町(現 神杉)から延伸した際の終着駅として、備後庄原駅は開業します。


1934(昭和9)年3月15日、庄原線が備後西城駅まで路線延伸し、終端駅から途中駅になったことで、備後落合駅は鉄道省の所轄になります。


1936(昭和11)年10月10日、庄原線と三神線が締結されて備中神代~備後落合間は、名称が三神線に統一されました。




1937(昭和12)年7月1日、芸備鉄道直営区間が買収されて、備中神代~広島間が芸備線に名称変更されます。


1983(昭和58)年12月25日には貨物取扱廃止され、1986(昭和61)年11月1日付けで荷物扱いも廃止。


1987(昭和62)年4月1日、国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道の駅となりました。




2002(平成14)年3月23日、簡易委託駅となりましたが、地方自治体の庄原市が駅業務を請け負うことで、民間の簡易委託駅よりも業務が拡大され、指定券の発行や集改札業務なども行われて、業務委託駅並みのサービスが実施されます。


同年10月より部活動の帰宅生徒への対応として、備後庄原発着の列車を登校日に限り、備後西城駅まで延長運転を開始しましたが、2018(平成30)年7月6日に豪雨による芸備線全域の営業が休止。


この豪雨は数日前から続いた雨に追い打ちをかけた形となり、当初は平成30年7月西日本豪雨災害と呼ばれましたが、その後 全国に災害をもたらせたため、平成30年7月豪雨災害と名称が変更されました。




全国各都道府県で未曾有の死傷者を出した災害となりましたが、広島県は芸備線のみならず山陽本線・呉線・可部線が流失した上、高速道路や国道の他 農道に至るまで流失したことにより県全域でどことも繋がっておらず、広島県は陸の孤島と化しました。


2018(平成30)年10月4日、三次~備後庄原間が復旧して運転再開し、12月20日には備後庄原~備後落合間でも運転再開。


2019年(令和1)年10月23日、平成30年7月豪雨災害による営業休止から約1年3ヶ月、芸備線全線復旧を記念して記念列車の運転や記念式典が開催されました。




2020(令和2)年10月、備後庄原駅の駅舎リニューアルと駅前再開発事業による、バス乗り場新設を含めた駅前広場整備事業が完成。


11月2日、駅前広場のバス停供用開始と共に庄原バスセンターが廃止され、市内を営業する全てのバスが庄原駅前発着になりました。


備後庄原駅の駅舎もリニューアルの際に解体・建て替えは行わず、1923(大正12)年に建てられたものを耐震・免震対応の工事を施し、現代水準の設備へ内装を改めています。



待合室は鉄道とバスの供用として、発車標には市内バス・高速バス・芸備線の時刻が一覧で、発車時間順に表示される、全国初の試みも実施されています。

この駅舎のリニューアルには1億円以上の予算が投入されましたが、かつてならJR西日本は絶対に受け入れないプロジェクトで、少しずつ地域密着という軟化への姿勢の現れだと、庄原市の担当の方は言われていました。

駅前の整備も実施されましたが、周辺景観も手がけられていて、以前は雑木林で密林のような風景でしたが、美しく区画整理が行われています。



その分、閑散感が反対に増えてしまったように見えますが、庄原市はまだ整備事業に力を入れており、まだまだこれからと言った過渡期の途中段階です。

実は備後庄原駅には西城川側に北口が無く、宅地開発されて街が形成されつつあり、既にかなりの住民がいるものの、駅もバスターミナルも使えない状態となっています。

踏切は遠く、目の前にある公共交通機関の設備が使い辛いため、これからの課題は自由通路の整備となっていますが、前提なき協議路線の筆頭故に、全額自治体負担でも現時点でJR西日本は重い腰を上げない姿勢です。



また、新見方面から広島方面への列車は1番ホームを使用していますが、反対の新見方面もしくは折り返し列車は2・3番ホームを発着します。

エレベーターの無い跨線橋のバリアフリー化も課題ですが、旅客からは列車本数が少ないのなら、せめて折り返し列車は1番ホームへ到着して欲しいとの声が大きいようです。

地元利用者のみならず、他方からの観光客からも、そのような声が上がっていることはJR西日本にも届いている筈ですが、廃線を視野に入れている鉄道事業者としては、どのように捉えているのか気になるところです。




ただ私が乗った日は、庄原ライナーの利用客は過半数以上が鉄道ファンで、庄原市内への観光利用はせずに、折り返しの三次行き普通列車へ乗り換えて帰って行きました。

限りある予算の中からの工面には苦労も多いのでしょうが、これまでの芸備線と維持困難路線シリーズで主張してきた″インフラ・ビジネス・エンターテイメント″の3本核を、どれだけ充実できるかが、やはり存続のカギであることは間違いありません。

今回の記事は先日行われた第2回ヒアリングの記事を起こすために、その前哨とするために書きました。

次回は、5月10日に行われた芸備線協議会 第2回ヒアリングを基に、いろいろ綴ってみたいと考えています。


ー LINK集 ー

ーご了承事項と免責事項ー
● 芸備線と持続不能の日本のシリーズは、第1回からの連載となっています。

● 以前の記事を前提として積み重ねで記して行くので、特にスポットを当てた回でない限り、同じ解説を本文内では致しません。

● このシリーズは日本国の法律と下記の既成事実を基本として、中立的に私一個人の思いを綴っていますことを、ご理解とご了承のお願いを致します。

▼ ローカル線が使い辛いのと鉄道の優位性が発揮できないのは鉄道会社の責任で、沿線都市へ人が訪れない原因は、受け入れ態勢が脆弱な各自治体の責任である。

▼ 日本人口の減少と山間都市の過疎化は国政の責任で、諸問題を先送りにして国鉄分割民営化を強行させたのは国民の責任である。

▼ 公共交通の提供は日本国憲法と交通政策基本法に定める基本的人権の1つであり、安易に国民の権利を奪うことは許されない。

▼ 街の活性化は住民と訪問者の両輪が必須で、そのためにはインフラ・ビジネス・エンターテイメントの3要素に、恒久性が欠けては成立しない。

▼ 諸問題を先送りにして実行された諸事案件は、当時の有権者の責任であることは間違い無いが、先送りが実行された以上は当時まだ未成年や未誕生だった国民が、現在においてその全ての責任を負う。


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