芸備線 と 持続不能の日本・その7 | 安芸もみじ / Photos, Historys, Trains - Hiroshima JAPAN

芸備線 と 持続不能の日本・その7

-芸備線と維持困難路線・その7-

昨年10月23日に新山口駅で撮影したキハ40系です。

ブログUP用の写真が、ちょうど30枚ピッタシになったので、今回と次回の2回に分けて公開します。

新山口駅では山口線で運行されるキハ40系が発着するだけでなく、下関からやって来る回送列車もホームを賑わします。




キハ回送は広島への5両編成だけではなく、この新山口駅への5連回送列車もあるので、1両による単行車両から5両編成の列車まで、華やかに入り乱れます。

しかし、山口線は陰陽連絡特急のスーパーおきや、SLやまぐち号も運転される人気路線ではありますが、JR西日本が言及した輸送密度2000人未満の見直し路線でもあります。

今年1月に長谷川社長が、不採算のローカル線に関して「待ったなしの状態だ」との見解を明らかにし、バス転換などを含む輸送手段の見直しに意欲を示したことは記憶に新しいところです。




そしてJR西日本は今月、対象の17路線30線区の単独維持困難路線・区間の収支を初めて公表することとなっています。

全対象路線のうち山陰本線・山口線・芸備線など10路線の21区間が中国地方にあり、路線の実情を沿線住民や自治体と共有し、鉄道の在り方について具体的な議論を進めるたいとJR西日本は語ります。

しかしローカル線の見直しが先行している北海道では、収支公表後に廃線へ至った路線もある故、中国5県を始め沿線自治体はJR側の出方に警戒を強めているのが現状です。




木次線や山陰本線が公表対象となっている島根県の丸山達也知事は「路線維持は不可能に近いということを、数字で示していくために出されるんだろうと思い、我々は身構えています」と、胸の内を語っています。

「大量輸送機関としての鉄道の特性が発揮できておらず、経営努力だけで維持していくのは非常に困難。まずは実情と課題を地域、自治体の皆さまと共有し、最適な交通体系を模索、実現したい」とJR西日本は説明し、具体的な議論を深めるために収支の開示が必要との考えを表明しています。




しかし広島県庄原市と岡山県新見市では、輸送密度が11~81人にとどまる芸備線の3区間の利用促進を巡り、広島・岡山両県と庄原・新見両市との協議が昨年8月から始まってはいるものの、地元では「やれるものならやってみろと言わんばかりに数字を突き付け、結局は廃線を考えているのでは」との疑念がくすぶっています。

芸備線対策を担当する庄原市いちばんづくり課の足羽幸宏課長は「出てくる数字が厳しいのは想定できる。収支ありきで議論が進み、廃止も仕方ないと世論ができてしまわないかが心配」と気をもんでいる様子です。



収支公表後は、県沿線も自治体だけでなく、広域として5県による連携も視野に入れての対応が必要となると思われます。

スタートは芸備線問題として語られてきた不採算ローカル線問題ですが、やがてはもっと複数路線にも及ぶと想像はできていました。

しかしここまで一気にJR西日本全路線にまで広がるとは思ってもいなくて、それだけこのコロナ禍における経営悪化は鉄道のみでなく、日本社会全体において深刻であることが伺い知れます。





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