2010年──写真は、戦艦長門です。
戦艦大和がデビューするまでは、長らく日本海軍の旗艦でした。
戦艦大和が撃沈された後、稼動可能な唯一の戦艦で、日本の降伏後にアメリカ軍によって接収され、ビキニ環礁にて原爆実験の標的にされました。
今もビキニ環礁の海底には、65年間の眠りについたままの長門がいます。
そのビキニ環礁が、65年目の原爆の日を目前に、世界文化遺産に指定されました。
珊瑚礁など自然環境の保護目的の世界自然遺産の登録ではなく、核兵器による破壊を受けた珊瑚礁として、原爆ドームと同じ"人類の負の遺産"として、世界文化遺産への登録です。
核兵器関連の世界遺産は、これで2つ目となります。
ビキニ環礁はマーシャル諸島に属し、アメリカは1946(昭和21)年~1958(昭和33)年にかけて、核実験を67回実施しています。
1954(昭和29)年の水爆実験では、アメリカが核実験通達をせず、遠海操業していたマグロ船"第五福竜丸"が放射能を被曝し、全乗組員23人が原爆症(放射線障害)と診断されました。
ユネスコは、ビキニ環礁が『核実験の威力を伝える上で極めて重要な証拠』とした上で、『人類が本格的に核の時代に突入した証拠だ』と、決定理由を述べています。
尚、マーシャル諸島域からの世界遺産登録は、これで初めてでもあります。
珊瑚礁や島の形が、原形から大きく変わってしまったほどの核兵器の威力は、放射線障害と併せて、人類に対する最大の脅威だと言わざるを得ません。
瞬間的に人間を蒸発させてしまう熱線と、何十年も経ってから突然命を奪う放射線の、両方の威力を持つ核兵器。
これまでは経済力と化学力の両方を持つ大国しか保有できなかった核兵器。
しかし今は、どこの国ででも開発・保有をすることが可能になり。
国家ではなくテロリスト集団でさえ、秘密裏に核兵器を保有できる可能性も高くなりつつある昨今。
原爆ドームとビキニ環礁という、世界に二つ"負の世界遺産"が存在する意義は、とても大きなものと思われます。
核廃絶は総人類の悲願であり、自傷による人類絶滅の消滅であり、恒久平和への入口です。
戦艦長門の艦内には長門神社から分霊されたお社が祀られていましたが、現在、日本から一番離れた場所にある神社でもあります。
総ての人に、夢と希望のあらんことを☆
May the world be filled with peace and happiness.