2月17日、突然、「維新」の会の議員が名前を連ねて、宮本徹への懲罰動議を提出しました。

 不当な言いがかりであり、「白を黒と言いくるめる」ようなものです。

 

 多くの方から、宮本徹は、国会内の良識派だと評価をいただいていますが、これからも、宮本徹は、不当な「威圧」に臆することなく、議会人としての矜持をもって、おかしなことはおかしいと発言します。

 

 さて、今回のことの発端は、2月15日の予算委員会での公聴会です。

 

 国会では、議題になっている案件についての審議の参考にするために、公聴会や参考人質疑をしばしば行います。

 

 国会法で、予算審議に当たっては、公聴会を開くことになっています。

 衆議院規則を見てみましょう。

 

 第76条 公聴会は、議員又は議長から付託された議案の審査のためにこれを開くことができる。

 第83条 公述人の発言は、その意見を聞こうとする案件の範囲を超えてはならない。

 

 予算委員会の公聴会の案件は、いうまでもなく、新年度予算案です。

 公聴会の公述人は、国民からの公募と会派からの推薦を踏まえ、理事会で確認します。

 通例、各会派の推薦した人が、そのまま理事会で確認されています。

 

 ところがです。

 

 公聴会の朝の理事会で、各公述人から配布された資料を見て、理事会に参加している与野党の理事から、驚きの声がいくつも上がりました。それは、維新の会が推薦した原英史公述人の配布資料が「国会における誹謗中傷について」と題した、予算案についての公聴会のペーパーとはとても思えないものだっかたらです。

 

 理事会の場では、野党理事からは、「原公述人の資料を見た。公聴会の趣旨にそった議論になることを期待したい」という、旨の異例の発言がありました。

 

※原英史氏とは、官僚出身で、政府の国家戦略特区ワーキンググループ座長を務め、また、大阪市総合本部顧問を務めている方です。維新の会の政治資金収支報告書によると、原氏が代表をつとめる「政策工房」には毎年、数千万円の政党助成金(政党交付金)が維新の会から「政策工房」に支払われています。なお、宮本徹が、初めて原英史氏の名前を知ったのは、国家戦略特区を使った加計学園疑惑追及の時です。

 

 しかし、朝の理事会で表明された期待のようには、公聴会は、運びませんでした。

 

 原英史公述人は、冒頭、「国会における誹謗(ひぼう)中傷の問題にしぼって話したい」と述べ、原氏が毎日新聞や立憲民主党の議員と、裁判で係争中の案件について、原氏の反論をとうとうと述べました。この様子は、衆議院のインターネット配信でご覧になれますが、はっきり言って前代未聞です。私も、国会議員7年務めていますが、こういう公聴会や参考人質疑が、当たり前のようにまかり通るようになると国会運営はメチャクチャになるのではと、心底、嘆かわしい事態だと思いました。公聴会や参考人質疑で、公述人、参考人が議題と関係のない、自分の争っている案件について述べるというのは、おそらく憲政史上ないのではないかと思います。

 

 公述人・参考人の発言が与野党問わず、参考になる意見も多々あるのが公聴会や参考人質疑です。一方で、安保法制のような与野党対決法案の場合は、公聴会・参考人質疑も、法案の成立の可否をめぐる論争の場となります。いずれにしても、衆議院規則にのっとって、公聴会にしても参考人質疑にしても、議題に沿って行われるところに意味も役割もあります。

 

 そこで、私は、こうした事態を黙認すべきでないと考え、議会人としての責任を果たすべく、公聴会での質疑の冒頭で

 ・予算委員会での公聴会は、予算案について国民の意見をきき、その後の審議にいかす場であるということ

 ・原公述人の公述は、自らの抱える案件について私的な反論をとうとうと述べられるものであったということ

 ・予算委員会の公聴会のあり方としてふさわしいのかという点でいえば、甚だ疑問に感じていること

 ・推薦した会派の責任も問われること

 を述べました。

 

 さらに、原公述人の公述後の予算委理事会でも、あらためて宮本から、原公述人の公述について、予算委員会公聴会にふさわしくないと、前代未聞の事態ではないかと指摘しました。予算委員会ベテランの野党筆頭理事からも、長い間予算委員会をつとめてきた経験から、予算委員会の公聴会の性格について、大事な指摘がなされ、「公聴会が充実した議論となるよう、建設的に議論してきた。公聴会の本旨に基づいた議論を」との指摘がありました。委員長からも野党筆頭理事の発言に「そうだなと思う。公聴会の本旨に基づいた議論になることを望みます」という旨の発言がありました。一方で、維新会派の理事の方からは、宮本の発言は公述人に失礼であり抗議すること、推薦会派への言及があったので議事録を精査して対応する旨の発言がありました。

 

 その後、16日、17日と予算委員会理事会がひらかれましたがその場で、この問題について、維新会派からは発言がないままでしたが、突然、17日、予算委員会分科会の開催中に、維新会派が名を連ねて、宮本徹への懲罰動議が提出され、驚きました。

 

 維新の会派が推薦した原公述人の発言が、公聴会のあり方としてふさわしいのか、宮本徹の問題的を受けとめかえりみないばかりか、逆に、威圧的に懲罰動議をだし、自らへの批判を封じようとするやり方と言わなければなりません。懲罰動議は、不当な言いがかりそのものです。

 

 東京新聞がこの問題について、特報面で特集を組みました。維新会派による宮本徹への懲罰動議、維新代表の松井大阪市長による水道橋博士への「法的手続き」をかざしての「圧力」、維新の大阪府議が、大阪での医療崩壊について報じたTBS番組をBPO申し入れしたこと、維新の会の創始者の橋下徹氏がれいわの大石議員を名誉毀損で訴えたことの4つが2週間のうちに起きたことについて、維新を批判するものを強圧で抑え込もうとする維新の体質を論じていました。

 

 宮本徹は、そうした圧力には決して屈せず、これからも議会制民主主義と人権、平和を守るために、たたかい続けます。
 

 反省すべきは、維新です。

 

 その上で、「白を黒と言いくるめる」ために必死になっている人たちが、事実と異なることを繰り返し、流しているので、若干の解説を加えておきます。

 

 ネット上で、”公聴会終了後、宮本徹が原氏に詰め寄り、予算委員会は予算を議論するところだと述べた”ということが流されているようです。

 

 都合のよいストーリーをつくるために、いい加減なことを述べるのは恥ずかしいことだと指摘しておきます。公聴会や参考人質疑のは、慣例として、理事、オブザーバー、質疑者が、開会前もしくは終了後に、公述人・参考人にご挨拶にいきます。私もいつも行きます。これを「詰め寄る」というのは、日本語の使い方を知らないか、何らかの思惑があるかどちらかでしょう。挨拶の際、私は、原公述人には、「公聴会は予算について意見を述べる場」だと一言、お伝えしました。もちろん優しい顔で。他の公述人の方にももちろん、ご挨拶しました。そもそも、詰め寄るような場でないことは、お分かりいただけたと思います。

 

 ”「モリ・カケ・サクラ」は予算と関係なく議論しているのだから、原氏が予算と関係ないことをテーマにしてもいいではないか”という意見が来ました。森友疑惑、加計学園問題、桜を見る会はいずれも、予算の使い方が関わっている問題です。しかも、桜を見る会や加計学園問題は、総理によって行政の私物化が行われたのではないかという政治のあり方の根幹に関わる問題です。予算委員会では、政府の制作全般が議論する場で、集中審議も、与野党でコロナ対策などなど決めて行います。一方、原公述人は、政策を語ることなく、「「国会における誹謗(ひぼう)中傷の問題にしぼって」、お話しされました。原公述人が、自らの案件について、話したいのであれば、それにふさわしい場で話せばよいのです。原氏は、政府の国家戦略特区のワーキンググループ座長も務め、参考人で国会にきた経験もある方ですから、国会のルールを知らないとは思えないのですが。

 

 安倍元首相が、この案件に関わる原英史氏のTweetをコメントをつけて拡散していました。とてもわかりやすい行動です。安倍元首相は加計学園疑惑で窮地に追い詰められましたが、早くから鳥インフルエンザの権威の大槻先生を読んで準備し、ライフサイエンス分野でも実績を上げていた京都産業大学ではなく、加計学園だけが獣医学部新設の権利を手にしたのは、まさに、国家戦略特区の枠組みを使ってでした。平成30年4月開学という条件を設定し、そのスケジュール間を加計学園とだけ共有し、京都産業大学には知らせず、加計学園が教員の確保などすすめていきました。しかも、それまでの私立大学にはない巨大な定員を加計学園の獣医学部に認めたわけです。文科省からも愛媛県からも総理の関与が疑われる文書が次々出てきました。国家戦略特区ワーキンググループ座長代理の原氏がどこまで真相を知っているのかは、明らかになっていませんが、本来、こうした疑惑があれば、国家戦略特区ワーキンググループが検証の先頭に立つべきだったのですが、、国家戦略特区ワーキンググループはその役割を果たしませんでした。