「廃棄したので、わかりません」、桜を見る会をめぐる総理の問題は、こんな言い分で逃げ切れる状況ではなくなってきてます。

 

 マルチ商法により甚大な消費者被害をもたらした、ジャパンライフの山口会長(当時)が、桜を見る会の招待状をつかって勧誘していたことは、国会で問題になってきました。いったい、だれが山口会長を推薦したのか。私が5月に、質問主意書をだした際は、個人情報にかかわるのでおこたえをさしひかえるという答弁書でしたが、先日の、田村智子さんの質問で、招待者の区分ナンバリングから、安倍首相区枠ではないかという重大な疑惑がもちあがりました。

 

 山口氏の招待状の受付表のナンバーは、60−2357。「60」という区分は、2015年の政府の文書では「60〜63 総理、長官等の推薦」とあります。今年も、安倍昭恵総理夫人の関係者、山口の安倍後援会ツアー参加者が「60」からはじまる、受付表です。

 

 「60」は総理枠ではないのか。

 

 この問いに、今日の消費者特別委員会での私の質問に対しても、その後の追及本部ヒアリングでの各議員の質問に対しても、内閣府は、関係資料を廃棄したので、わからないという、驚くべき、説明を繰り返しました。

 

 毎年、国会議員は10、次官は20、局長は20、審議会の長は40、各界功労者は50番台など、招待区分のナンバリングは、同じ数字が使われています。当然、招待区分のナンバリングについての資料が残っているから、毎年、同じ番号なのでしょう。廃棄していたら、同じ番号が使われ続けるはずがありません。破棄したという説明は、逆立ちしても成り立ちません。

 

 にもかかわらず、「名簿も資料も廃棄した」ので「わからない」という、誰から見てもつじつまの合わない、おかしな説明を内閣府はし続けます。そこには、誰が総理推薦なのか、誰が官邸推薦枠なのか、示すわけには絶対にいかない総理側の事情があるのでしょう。後援会員や総理夫人のおともだちでも大問題ですが、高齢者を食い物にしてきた人物など、社会的に重大な問題のある人物を総理が直接推薦していたならば、総理の進退にもかかわる問題になるというおそれからではないでしょうか。

 

 公務員は全体の奉仕者です。桜を見る会の私物化をすすめてきた、安倍総理を守るために、いまのようなつじつまの合わない説明は、もうやめましょうよ。

 

 そして、今日、やっと桜を見る会の招待者名簿等を破棄したのが、私が5月9日12時すぎに、桜を見る会の資料請求をした後、午後13時〜15時の間のどこかということを明らかにしました。これまで、何度聞いても、時間はわからないという説明を政府はしてきましたが、日中にシュレッダーをみせてもらい、そこで予約表の管理の仕方をただすなかで、やっと正直に話がありました。なぜ、こんなわかっていることを隠し続けてきたのか、不信がつのるばかりです。

 

 さて、資料要求の直後にシュレッダー。資料要求をうけて、国会での追及を逃れるために、証拠隠滅のシュレッダーだったのではないのか?この問いに、内閣府は、資料要求をうけたのは、総務課で、シュレッダーをしたのは人事課だという説明をしました。総務課と人事課は廊下挟んでむかいだそうです。資料要求をうけたら、その資料が人事課のものにかかわるものであれば、すぐに資料要求があったことを伝えるべきでしょう。ところが、内閣府は、資料要求があったことを人事課に伝えなかった理由は、私の資料要求は、総務課でこたえられると判断したと説明しました。

 

 この説明もまた、つじつまがあいません。私の資料要求は5項目、核心は、「なぜ、参加者が増えたのか、具体的かつ詳細に明らかにされたい」というもの。5月の国会質問では、どうして参加者が増えたのかという問いに、政府は「廃棄したからわからない」という答弁をしていました。総務課でこたえられるどころか、内閣府全体でもこたえられなかったわけです。さらに私の資料要求は4項目でで参加者の選考基準を求めました。選考基準を記していた文書は各省庁への推薦依頼だったことが、いまではわかっていますが、この推薦依頼も、5月9日にシュレッダーしてしまったという説明です。そして総務課には選考基準をしめすものは残っていないという説明です。総務課でこたえられるどころか、どんぴしゃりの文章をシュレッダーで破棄してしまい、こたえなかったわけです。

 

 しかし、推薦依頼を破棄したら、翌年からの推薦依頼文書をどうつくるのか、前年の招待の仕方も招待者数もわからず、一からつくるのでしょうか。ありえないでしょ。招待者名簿、二階幹事長もおかしいといっているように、連続して同じ人を呼ばないという建前があるならば、翌年を待たずに破棄するなどありえないでしょう。

 

 さて、今日の説明をきいて、以前、うかがった話と大きく違う点がありました。11月15日に、秘書への説明で、シュレッダーした招待者名簿はファイルにとじられる数センチ程度のものだということでしたが、今日夕方の追及本部のヒアリングでは、突然、5月9日シュレッダーしたのは、ダンボール十数箱という説明がありました。また昼間には、招待者名簿は各入場門で何セットもあったという説明が今日初めてなされました。(なお、十数箱すべてが桜を見る会関連の文書だという説明はありませんでした。)

 

 なるほど、招待者名簿は、10セットも20セットも保存する必要はありません。来年以降のためには、招待者名簿、推薦依頼など一式を、文書と電子媒体のそれぞれで1セットづつ保存すればいいのですから、残りをシュレッダーにかけるというのは、ある意味普通です。

 

 ところが、内閣府は、一式を残すことなく、すべてシュレッダーにかけ、電子媒体も5月9日頃に破棄したという説明をくりかえします。こう説明しなければ、総理枠の真実を明らかにせざるをえなくなるからです。

 

 今日の説明では、はじめて、5月9日の予約は「4月22日」にしたというのが、担当者からの聞き取りで示されました。これらの内閣府の説明を前提に考えると、いくつかの可能性が考えられます。(前提が嘘でないことを祈って)

 

 4月16日、東京新聞が、与党枠、安倍関係枠の増大で参加、支出が増えていることを報道

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 「4月22日」に、内閣府人事課、桜を見る会や他のもろもろの文書をシュレッダーする予約をとった。

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 5月9日12時すぎ(内閣府の説明は15分)宮本徹が、なぜ参加者が増えているか、選考基準など5項目の資料を内閣府に要求。内閣府総務課うけとる。

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 5月9日 内閣府人事課、13時〜15時にシュレッダー。

 

 ・考えられる可能性のひとつは、このシュレッダーの際に、本来は保存しておくべき、招待者名簿、推薦依頼など一式も、あわせて廃棄し証拠隠滅

 ・考えられる可能性のその2は、シュレッダーの後も、招待者名簿、推薦依頼などの一式は保存していたが、その後、国会からの追及を逃れるためにそれも廃棄

 ・考えられる可能性のその3は、シュレッターの後も、電子媒体等で、招待者名簿、推薦依頼などの一式は保存しており、廃棄したという説明だけを表向きしている。

 

 この3つ以外、考えられる可能性があるでしょうか。