物証の力はすごい。

 

 安倍事務所による、総理主催「桜を見る会」ツアーの案内状と参加申込書を手に入れたメディアの報道が昨夕からはじまった途端、今日の夕方には、菅官房長官が、総理大臣や与党に推薦依頼をおこなっていたことをとうとう認め、来年の桜を見る会の中止を表明しました。動かぬ物証に、隠し通すことができなくなったのでしょう。

 

 その直後の、野党合同ヒアリングでは、安倍事務所からの推薦が含まれているのかという私の問いに、内閣官房の担当者は、安倍事務所からの推薦があることを認めました。その一方で、安倍事務所から何人の推薦があったのか、内閣官房担当者は「資料を破棄したからわからない」との主張を繰り返しました。「資料を破棄したのでわからない」「個人情報にかかわるので明らかにできない」というのが、政府の次の防衛ラインのようです。

 

 いずれにしても、安倍事務所のとりまとめによる「桜を見る会」への参加については政府は認めました。次の焦点のひとつは、安倍首相の「私はとりまとめに関与していない」という答弁などが虚偽答弁だったのではないかという点です。そして、もうひとつの大きな焦点が安倍首相の公職選挙法違反の疑いです。税金を使って、「芸能人、著名人にあえ」しかも飲食・おみやげつきという、選挙区サービスが、公選法違反ではないかという点です。また、5000円会費の安倍後援会主催の桜を見る会前夜祭が、実際のひとりあたり費用が五千円を大きく上回っていれば、公選法違反になりますし、後援会の収入支出があれば政治資金収支報告書への未記載となります。さらに、ホテルから桜を見る会会場へのバスについても安倍後援会が手配していますが、安倍後援会の収入支出があれば政治資金収支報告書への記載がないので政治資金規制法にひっかかります。こうした点が追及点です。そして、安倍首相に総理の資格があるのか、ここをただしていかなければなりません。

 

 私が桜を見る会を一番初めに国会質問でとりあげたのは5月13日の決算行政監視員会でした。その少し前に東京新聞の特報面に参加人数が年々飛躍的に増え、支出が膨らみ、与党枠があるのではという報道があり、私も問題意識を持ちました。そこで、内閣府に支出を問い合わせても、問い合わせても、資料がみつからないとか、整理できていないという、およそ役所とは思えない返事が繰り返されました。これはあやしいと思い、国会でただすことにしました。そして、5月13日の決算行政監視員会の質問でやっと2014年から2018年までの支出を明らかにしました。国民に隠れて、支出が増え続け、なんと、国会で承認された予算の3倍にもなっていたのです。一方、予算は2019年度まで毎年同じ金額を計上しつづけ、概算要求書だけでは、支出の膨張が国民にはわからないようにするという巧妙なやり口でした。

 

 この日は、あわせて、安倍政権応援団といわれているインターネット番組の「虎ノ門ニュース」が出権者一同で桜を見る会に招待されたという当事者のブログをもとに、安倍政権に近い人がどんどん呼ばれているのではないかをただしました。菅官房長官は「各界において功績、功労のあった方々を招く。各府省からの意見を踏まえて、幅広く招待をさせていただいている」と。これが、その後ききあきる答弁のはじまりです。(この質問以降、決算行政監視委員会は今日にいたるまで事実上の未開催)

 

 質問後、他の野党の方、何人かからもこれは大問題だという声がかかり、国民民主党や立憲民主党の議員もとりあげはじめました。私も5月21日、財務金融委員会で2回目とりあげました。ここで開催要項は1万人に対し、招待状の発送がどんどん増え2019年は1万5400人だということを政府が明らかにしました。なぜ、招待者の人数が増えたのか、どの省庁が増えたのか、与党枠があるのではないか、ひとつひとつとただしたのですが、「結果的に増えた」「資料はない」「ことしの資料も破棄をした」と驚くべき答弁をしたのでした。

 

 この日のうちに、質問をみた方から、各省庁の文書管理の保存期間表をみると、文部科学省など残っているはずだという情報がよせられました。確認するとそのとおりです。

 

 そこで、各府省庁に推薦が残っていることを前提に、5月28日付で質問主意書をだしました。「各府省ごとの推薦人数とその推移」「桜を見る会の資料を破棄という答弁は訂正が必要ではないか」「ジャパンライフの山口会長はどの省庁から推薦されたのか」などなど。これに対して、閣議決定された答弁書の文言は今国会でみなさんが聞くことになった答弁の原型です。「取りまとめのための検討過程における情報であって、これらを明らかにすることは、当該取りまとめに係る内閣官房及び内閣府の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあること等からお尋ねについて、お答えすることは差し控えたい」「「桜を見る会」の個別の招待者の推薦元については、当該招待者の個人に関する情報が明らかになるおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。」

 

 この答弁書の「事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」という逃げ口上は、今日夕方の「桜を見る会」の中止によって、これからは使うことができなくなると思われます。

 

 この後も様々な資料要求をしましたが、内閣府は資料をまったくだしてきませんでした。そして資料をださないまま、来年度の概算要求では、居直って、予算に合わせて支出を削るのでなく、支出に合わせて予算を3倍以上に増やしたのでした。このことを告発すると、ひどいという声が広がりました。

 

 情報を隠したまま、居直る政府に対して、衝撃的な報道をおこなったのが、しんぶん赤旗日曜版です。総理の地元、下関などでの徹底した取材で、安倍事務所がとりまとめて、安倍後援会の行事として前夜祭と合わせて、桜を見る会に、数百人規模で参加していること、安倍昭恵夫人枠があること、閣僚も後援会と参加していることなど、3ページにわたる大スクープ記事をだしました。日曜版報道をみたメディアから、私のところにも、かなりの問い合わせがありました。しかし、後追い調査をして記事にするメディアはほとんどありませんでした。他紙、赤旗の独自ネタで大手メディアが記事をかくというわけにはいかなかったのでしょうか。

 

 局面がかわったのが、田村智子議員の先週の質問です。私も参議院の部屋に傍聴にいきましたが、赤旗日曜版の調査をもとに、安倍後援会参加の事実をつきつけた質問に、他の野党のみなさんも委員会でいっしょに追及している雰囲気に。この質問を受け、桜を見る会について、沈黙をしてきたNHKはじめ大手メディアも報道をはじめました。

 

 そして、野党国対で、野党全体として最大の焦点として徹底追及することが確認されると、メディアも気合いの入った報道をはじめました。メディアが本気で報道をはじめるとやはり力があるので、安倍事務所からの案内状という「物証」もまたたくまに手に入れました。

 

 まさに、野党の結束した追及姿勢が、メディアも動かし、今日の事態をつくりだしたということだと思います。今週から、野党合同追及チームを結成し、野党合同ヒアリング、各委員会での野党連携しての徹底追及がはじまっています。私もチームの一人として、また、春から追及してきたものとして、しっかりとりくんでいきます。