MRJ 失敗の本質 | 宮本 茂@横浜 書きたい事を書くブログ

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MRJが「正式に」開発終了を先日宣言しましたが、何故このプロジェクトは失敗、成果を何も出せないまま終了したのか。




MSJの失敗の原因(本質)についてはこれ以外に、HONDAのように米国に会社を置かなかったからだとか、YS11の時のように複数企業でやらなかったことに問題があったなど各筆者によってさまざまな失敗の理由を挙げています。

でも、問題の本質をついていると思うのは最初の記事だと思うんですよね。
つまり、国産ジェット旅客機を航空機ビジネスとしてきちんと捉え、それを成立させる事を目標に政府、つまり経済産業省とその意向を受けて手を上げた三菱重工は意識して準備をきちんとしていたのかというところです。
ビジネスですから投資を回収し、その先の利益が見込めなければ意味がありません。
実際、プロジェクトが開始して一年後にもなって経済産業省も慌てて参加しています。
当初はメーカーに任せておけばなんとかなるという程度の認識だったのでしょう。

航空機ビジネスで先ず最初のハードルは型式証明という商用の旅客機として十二分な安全性が担保されているかどうかを確認、試験する制度の突破です。
半世紀前のノウハウしか持たない日本政府が超甘々な見通しで挑んだわけですが、完成機ではなく部品の段階からその安全性、品質の証明を求められます。
米国の型式証明は特にハードルが高く、ボーイング社でも新規の旅客機はあまり作りません。
大半は派生型です。
つまりこの部分で政府と三菱重工がとんでもなく見通しを見誤ってしまっていたわけです。
直後に海外の有識者、経験者を大量に入れればまだしも、気づいた時点では自分たちだけで何とかしようとしたのも大失敗の要因です(かなり遅れて経験者は入れましたが時すでに遅し)。

三菱重工は豪華客船事業でも顧客のニーズを掴みきれず、その要素を埋めるのに自社で何とかしようとして失敗。
結局事業からこの撤退しています。
これが企業体質なのかも知れません。
だからこそMRJでも時前に拘りすぎたのかも。

そして時間ばかり費やし、遂に他社の同タイプ機に対するメリットもなくなってしまいます。
事業から撤退するならこの時(4回目ぐらいの延期)だったかと思うのですが、サンクコストを惜しんで更に積み上げ、コロナでも中断とはせず凍結として先延ばししました。

世間は日の丸〇〇に過度の妄想をいだき、三菱重工は戦闘機を作っているのだから技術はあると旅客機をあまりにも甘く見ていたのでしょう。
結果から語るのは簡単ですが、何れにしても政府が関わるとろくなことにはならないですね、ビジネスセンスがないのだから。
半導体のラピダスも心配です(苦笑)