夫がなくなって丸14年になる。

  夫の死後7年間は、兵庫北部の夫と共に建てた家でのひとり暮らし。

  息子たちは九州、沖縄とはるか遠く、周りは夫の親族ばかり。

 

  老いていく私を案じ、もう少し西に住むことを考えたらと息子の意見。

  転勤族の息子との同居はできず、中学の頃2年過ごした

  広島あたりに住むのがいいかなという漠然とした考えで

  PCで住まい探しを始めたのです。

 

  兵庫北部では冬、大雪に悩まされることが多く

  一人暮らしになると、その雪が恐怖でした。

  だから気候の温暖なところと、いうのが一番の希望だったのです。

 

  そして、あまり迷うことなく今の地に転居しました。

 

  何かに導かれるようにして、この地に来たのではと。

 

  新しい地での新しい出会い、今はその出会いに感謝しながら

  日々を過ごしています。

 

  以前の地を去ると決めたとき、一人の友人にそのことを話すと

  「貴女、ご主人と一緒に建てた家を捨てるの!」

 

  そうです、あの懐かしい家、庭の木々や花たちを

  人手に渡しました。

  非常勤講師のかたわら、大勢の生徒たちの声が響いていた部屋、

  夫と息子2人と愛犬との暮らしが、ここそこにあった家。

 

  しかし、転居すると決めた頃には、もはや迷いはありませんでした。

  我ながらクールな人間だと思いつつ、夫には悪いことをするなぁ~と

  思う気持ちはありましたが、私の心は新しい地へと飛んでいたのです。

   

  兵庫北部は私の人生で一番長く住んだところです。

  夫と知り合い結婚し45年以上を、そこで過ごしました。

 

  今も、あの家が木々が、私を呼んでいるように思ってしまいます。

  「ごめんね。ごめんね。」といつも謝っているのです。

 

  生まれた地で子供時代、青春時代、そしてその地で

  歳を重ねていける人は幸せだなぁ~と、今の歳になってわかります。

 

  終焉の地はどこになるのかなぁ~