今日のA新聞の声欄で『どう思いますか。老害という言葉』という

  見出しで、読者の声を載せていた。

 

  『老害』という言葉はいつから使われ始めたのだろうか。

  たしか、内館牧子さんによる「老害の人」という小説が出版されている。

  知人から借りて読んだが、もはやその内容をはっきりとは覚えていない。

 

  乗り物などで、泣きじゃくる幼子に対して顔をしかめて「うるさい!」と

  言わんばかりの老人。病院で長く待たされると、「いつまでまたせるんじゃ!」

  と大声で怒鳴る人。

  輝かしき現役のころの自慢話をとうとうとしゃべるり続ける人。

 

  確かに老害と言われても仕方ない場合もある。

    

        

        (マンションの周りの花々)

 

  私は今、介護予防という名目で、リハビリデイに参加している。

  ほぼ、80,90歳以上の方が多い中、職員に反抗的な態度を

  とる女性もいる。

  自分の要求がなかなか通じない時、きつい表情でブツブツと不満を

  いう女性。

  ユーモア(時にブラックユーモアになることも)たっぷりの方。

 

  しかし、ほとんどの利用者は、優しく接してくれる職員さんに感謝している。

   

        

 

  難病で80歳にして歩行が困難になり、押し車を押しながら

  一歩一歩歩いている小柄な方は、マスクの上の目がいつも笑っている。

 

  デイに通っている高齢者は、何かしら体に不具合を抱えている。

  だから、笑顔が出てこないのは当然だろう。

 

  だが、笑顔が一番似合うのは、高齢者ではないだろうか。

 

  笑顔で応答する高齢者を『老害』と呼ぶことはできない。

 

  

      

 

  デイで色んな方々とお話していると、

  その方の歩んでこられた人生が透けて見えるように感じることがある。

  

  老いたからと言って卑屈になる必要はないし、長く生きてきた道のりが

  現在のその人をかたち作っているはず。

 

  老いていく状況は人によって違うが、できることなら、

  穏やかに老いていきたいと思うこの頃である。

  

              

 

    (14歳を過ぎたチャーは怖がりだが、愛しい存在)