クリストファー・リーが93歳で亡くなった。
90歳を越えても現役で作品に出演し、
その出演本数は、映画・テレビ合わせて270本以上！
ギネスブックに登録されるほどだ。
007シリーズ『黄金銃を持つ男』（1974年）に登場する
殺し屋スカラマンガ役を始め、
『スター・ウォーズ』でのシスのドゥークー伯爵役、
『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』での、
魔法使いのサルマン役
と言えば、
｢ああ、あの悪役の怖そうな人ね｣
と、思い出す方も多いだろう。
しか～し！
クリストファー・リーと言ったら、
その代表的当り役……いや、もはや役そのものとも言えるのが
『吸血鬼ドラキュラ』（1958年）のドラキュラ伯爵役である。
『ドラキュラ復活・血のエクソシズム』DVD
子供の頃に、テレビの洋画番組で初めて見たドラキュラ伯爵が
クリストファー・リーだったこともあり、
私の中では、ドラキュラ
と言ったら背が高く、面長で血走った目、そして低く太い声の
彼のイメージがすっかり刷り込まれてしまっている。
ついでに言うと、
ドラキュラを追い詰めるヴァン・ヘルシング役はピーター・カッシング
フランケンシュタイン役はボリス・カーロフ
この3人は、ゴシックホラー好きにとっては永遠なのです
吸血鬼やフランケンシュタインなどのゴシックホラー映画は
怪奇でありながら、ロマンティックで耽美的。
メルヘン映画のダークサイド的な、独特の空気感が魅力。
中世ヨーロッパの古城や教会
などが舞台になり、モノトーン的な映像の中に、
衣装もインテリアもデコラティブで美しい。
だいたい、ルーマニア発祥の『ドラキュラ伝説』自体、
｢吸血鬼｣という、人の生き血を吸う殺人鬼ものでありながら、
永遠に生き続けなければならない｢化け物｣という宿命を背負い
どこか、悲しみが漂っているのがたまらないのだ。
その悲しみを、体全体から漂わせていたのが
クリストファー・リーのドラキュラ伯爵だった。
表情も変えず、瞬きすらしない血走った赤い目
抑えた演技の中に
恐ろしさと切なさが漂っていた。
『ビートルジュース』『シザーハンズ』
『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』『スリーピー・ホロー』
などでお馴染みの、現代ゴシックホラーの巨匠
ティム・バートン監督などは、
クリストファー・リーを心からリスペクトしており、
『スリーピー・ホロウ』（1999年）、
『ティム・バートンのコープス・ブライド』（2005年）
『チャーリーとチョコレート工場』（2005年）
『アリス・イン・ワンダーランド』（2010年）
『ダークシャドウ』（2012年）
の5作品に、彼をキャスティングしている。
『チャーリーとチョコレート工場』パンフレットより
ちなみに、この5作品は全てジョニーデップが主演格ということで、
ジョニデファンである私は、ダブルで嬉しい。
『スリーピー・ホロウ』では、ニューヨーク市長役
『チャーリーとチョコレート工場』では、
ウイリー・ウォンカの父親の歯科医
『ダークシャドウ』では、漁師のボス
と、意外な役で顔を出していて、
｢あ！ クリストファー・リーが出てる～っ！｣
なんて、ファンにはまた、たまらんのである。
とにかく、出てくるだけで存在感大。
2009年にナイトの爵位を授与され、
英国
が誇る伝説の名優の一人だった。また、なんとヘヴィメタル
をこよなく愛し自らもヘヴィメタのヴォーカリストとして活躍。
4枚のアルバムをリリースしていることでも有名だ。
91歳のとき、シングル「Jingle Hell」が
Billboard Hot 100の22位（最高位18位）にチャート・インし、
Billboardにチャート入りした史上最年長のミュージシャンとなった。
驚いたことに、昨年5月27日92歳の誕生日には
新ミニアルバム『Metal Knight』を出したばかりだった。
93歳のメタルの騎士
素敵じゃありませんか！
このまま100歳目指して頑張れ～～！
と思った矢先の突然の訃報だったので、非常に惜しまれる。
当たり前だけれど、
ドラキュラのように不老不死ってわけにはいかないのですね……。
ご冥福をお祈りいたします
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